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四季、一季

あえてチル霖と言い張ります。
南国少年ネタなんて何人がわかるんだって言う。

独自設定気味ですが、ひまわり妖精説を支持しております。

かなり遅くなったけど小町、チルノと書いたことのないキャラのリクエストはこれで一段落のはず。
さて、次はどうするかな。


霖之助 チルノ






 子供の泣き声は苦手だった。
 ……放っておけなくなるから。


「うわぁぁあああん」
「やれやれ……」


 霖之助はいつもの本片手に、もう一方の手で泣きじゃくるチルノの頭を撫でる。
 彼女は霖之助の膝の上で、大声で泣いていた。

 ズボンが彼女の涙と冷気で冷たい。
 だがいつものことなので、もう慣れた。

 昔よく魔理沙もこうやって撫でた覚えがある。
 なんだかんだ言って、自分は甘いのだろう。
 霖之助はそう考え、苦笑する。

 自分の子供の頃はどうだっただろうか。
 もう記憶の彼方に沈み、すぐ思い出すことは出来ない。


「今日はなんだい? また友達とでもケンカしたのかい?」
「ひっく……ちがうもん……」


 顔を霖之助の服に擦り付けたまま、チルノは首を振った。
 となると魔理沙にからかわれでもしたか、あとは……。


「あたいがあそんでたら……緑色の妖怪が……」
「……ああ、いじめられたのか」


 緑色の妖怪に心当たりがあった。
 おそらく、植物を操る大妖怪のことだ。

 彼女にしてみれば、おそらく植物を守ろうとしただけなのだろうが。
 雹害や霜など、氷は植物の大敵である。
 ……もっとも、チルノにそれをわかれというのも酷な話だろう。

 それにいくらチルノが妖精としては強いとしても、さすがに幽香と比べれば分が悪い。
 いや、まともにやったら勝負にすらならないだろう。

 泣くチルノを、霖之助は無言で撫で続ける。
 やがて落ち着いてきたころ、思い出したように口を開いた。


「そうだ、こんな話を知ってるかい?」
「なに……?」


 いまだしゃくり上げるチルノに視線を向け、本を閉じる。
 思い出すのは過去の記憶。


「昔ね、ものすごく強い妖精がいたんだ」
「……さいきょうだった?」
「そうだね。多分そうだったんじゃないかな。
 僕も人から聞いた話なんだけど」


 正確には妖怪からだったが……些細なことだ。

 さいきょう、と呟き、チルノが顔を上げる。
 どうやら興味が湧いたらしい。


「あたいよりも?」
「それはどうだろうね」


 首を振る。
 聞いた話というのは尾ひれが付くものだ。
 もっとも、その妖精の強さは話半分だとしてもあり得ないのだが。


「その妖精は強すぎてね。
 妖精でありながら妖怪も凌ぐ力を持っていた」
「うんうん、まるであたいみたい」


 チルノが得意げに頷く。

 さっきまで泣いていたのが嘘のようだ。
 そしてこの辺が、彼女の魅力でもある。


「妖精はみんなから妖怪化もすぐだろうと思われていた。
 事実、そうなったんだけど……」
「だけど?」


 途端、心配そうな表情に変わる。
 その妖精に感情移入しているのだろう。

 もしくは、自分を重ねているのかもしれない。


「彼女には、どうしても勝てない……天敵みたいな妖精がいたんだ」
「妖精? 妖怪じゃなくて?」
「そう、妖精さ」
「妖怪にも勝てるのに?」


 チルノの疑問はもっともだった。
 妖精は妖怪より弱い。
 それが幻想郷の常識である。
 ……まあ、彼女が言っても首を傾げざるを得ないのだが。


「話は簡単さ。
 彼女はひまわりの妖精だったし、もうひとりは雪の妖精だった。
 雪の妖精は冬しか出てこないからね。そしてひまわりは冬に咲かない。
 だから、ずっと勝てなかったんだよ」
「へぇ~。すごいすごい」


 喜ぶチルノに、霖之助は苦笑を浮かべる。
 きっと今度はその雪精に自分を重ねているのだろう。

 まあ、機嫌が直ったようなので良しとする。


「だからね、どんなにチルノが強くても勝てない相手がいるんだよ。
 もちろん、その逆もね」
「う~ん」


 しかし今度はチルノが首を傾げた。
 そして目を輝かせ、言葉を続ける。


「ねえ、そのあとのふたりはどうなったの?」
「ん? いや、この先は聞いてないんだ。
 さっきも言ったとおり、僕も人から聞いた話でね」
「そっかぁ」


 残念そうなチルノの表情に、霖之助は再び本を開いた。

 もう大丈夫だろう。
 ……どうせまたすぐに、泣きながら来るのだろうが。


「あたいも妖怪になれるかな?」
「そうだね」


 本の文字を目で追いながら、霖之助は頷く。
 今までも何度か、妖怪になった妖精を見てきた。
 なら、きっと。


「なれると思うよ」
「ねえ、なれたらここに住んでもいい?」
「ん?」


 そう言えば、妖精は普段木の中などに住んでいるらしい。
 人間には見つからない場所に。

 ……阿求から聞いた話なので、信憑性は微妙だったが。


 そして妖怪になれば、木の中に住むわけにもいかないのだろう。

 チルノはうすうす感付いているようだった。
 もしかしたら、意外と妖怪化も近いのかもしれない。
 そんなことを考える。


「ダメだよ。
 きちんと独り立ちしないと、立派な妖怪にはなれないからね」
「む~」


 このあたりはやはり妖精ということか。
 そんな彼の思考を遮るように、チルノの声が響く。


「じゃあ、りんのすけとけっこんする!」
「……結婚?」
「そう! 大人になるとするものだって、あたい聞いたもの」
「ああ……」


 自慢げに胸を張るチルノに、思わず霖之助は笑みを浮かべた。
 昔、似たようなことを子供の魔理沙からも聞いた気がする。
 あの時はどう答えただろう。

 そして今は……。


「チルノがもっと大きくなって……そうだな」
「うん」


 霖之助は読んでいた本から視線を上げ、再びチルノの頭を撫でた。


「156センチになったらね」









「懐かしい話を聞いた気がするわ」
「来てたのか」


 元気になったチルノが店を去って、しばらく経ったころ。
 日傘の少女が店にやってきた。


「来てたのか、ね。白々しい。
 気付いてたくせに」
「まあね。泣かせてしまって心配だったんだろう?」
「……あら?
 どの口がそんなおかしな事を言うのかしら」


 彼女の視線に、霖之助は首を振る。
 目が笑っていない。
 これ以上下手に刺激すると店が破壊されてしまいかねなかった。


「……で? なんであなたが知ってるのかしら」
「言っただろう。人から聞いたんだよ」


 霖之助の言葉に、幽香は目を細める。
 舌打ちひとつ。


「またあのスキマの仕業ね……」


 ……なにやら勘違いしているようだったが、あえて霖之助は何も言わなかった。
 確かに、妖怪の賢者なら同じ話を知っているだろうが……。


「そういえばあいつ、今頃何してるのかしら」


 あいつというのは雪精のことだろう。
 懐かしむような彼女の声に、霖之助は思案を巡らせる……ふりをする。


「そうだね。
 君みたいに、妖怪になってるかもしれないよ」
「ありえなくはないわね。
 でもそれだったら、会わないはずはないのだけど」


 無理もない。
 ふたりとも活動期間がずれているのだし。

 冬に咲く植物は少ない。
 必然的に、冬の幽香の行動範囲は狭くなる。

 対して、雪精は……雪女は、冬が本番だ。


「今度会ったら、冬だろうと叩きのめしてやるのに」
「やれやれ、物騒だね」


 苦笑する霖之助に、幽香はふと視線を遠くに移す。


「ほんと、何してるのかしら」


 そう呟いた幽香の表情は、まるで旧友を懐かしんでいるようだった。


「ああ……きっと」


 窓に映る景色は、ようやく秋の訪れを示していた。

 冬の妖怪が出てくるには、もう少し時間がある。


「どこかで昼寝でもしてるんじゃないかな」

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