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鵺の呼び声ぷち 06

ぬえ霖強化週間。
早苗Bの相手をしたぬえはいい人だと思いました。


霖之助 ぬえ









 扉の開く音で、誰が来たかわかるものだ。

 咲夜は音もなく。
 萃香は音もなく。
 こいしはいつの間にか。

 ……幻想郷の防犯事情がどうなっているのか本気で考えたくなってきた。

 そして彼女の場合。


「エイリアンがいると聞いて飛んできました!」


 けたたましい音を上げ、扉が開け放たれる。
 まるで開くのが当然と言うかのごとく。

 神の来訪だ。
 本来はかくあるべきなのかもしれないが……。

 最近似たような光景見た気がしつつ、霖之助はため息を吐いた。


「そんなもの、うちでは取り扱っていないよ。そのまま回れ右をするといい」
「私は神様ですよ。だからお客様です。
 エイリアン捜索のついでに買い物に寄ったんですよ」


 いろいろ逆のような気がする。
 しかし客ならばむげに扱うわけにもいかないだろう。


「……ぬえ、そろそろ離れたらどうだい?」
「うぅ。だって……」


 ぬえは霖之助の背中に隠れるように、彼の服にしがみついていた


「あいつ、人の話聞かないんだもん」
「……わかる気もするが……」


 彼女たちの間になにがあったのかはわからないが、ぬえは早苗をひどく警戒していた。
 きっと前回の異変の時に何か痛い目にあったのだろう。

 自業自得だ、とは思うのだが……。
 だからといって放置するのも気が引ける。
 というか、万が一にでも店の中で暴れられたら困る。


「あ、そんなところにいたんですね、エイリアンさん」
「確かにそれでいいと言ったけど」


 言って早苗は笑顔で近づいてきた。
 ……言いようのない圧力を感じる笑顔。

 なるほど、彼女はぬえを宇宙人と勘違いしているようだ。


「霖之助、言ってやってよ。
 私はエイリアンじゃなくて妖怪だって」
「ふむ……」


 霖之助は口を開きかけ……ふと、月から来たという永遠亭の面々を思い出した。
 月の住人、即ち宇宙人だ。
 しかしとりあえずここでは妖怪で通っている。
 つまり。


「確かに妖怪もエイリアンも同じものかもしれないが」
「ほらやっぱり!」
「り、霖之助ぇ~」


 目を輝かせる早苗と対照的に、目に涙を浮かべるぬえ。
 霖之助はふたりに挟まれ、首を振った。


「しかし残念ながら、君の探しているエイリアンはここにはいないよ。
 ……これみたいなのはね」


 霖之助は早苗に一冊の本を手渡した。
 早苗がいつも買っていってる本の今月号だ。

 代理で買いに来たことのある神奈子曰く、眉唾ものの情報が盛りだくさん、らしい。
 ……ちなみに霖之助も毎号読んでいたりするのだが。


「本当ですか?」
「本当だとも」
「本当よ!」


 じっと早苗はぬえと霖之助を見つめてくる。


「……せっかく見つけたと思ったのに……」


 ……やがて諦めたようにため息を吐いた。
 ぬえは助かったとばかりに、霖之助に抱きついてくる。


「それで、買い物のほうの用件を聞こうか」
「あ、どうでもいいことなのですっかり忘れてました」
「……ひどい話だな」


 悪びれもなく言い切る早苗に、霖之助は苦笑する。


「妖怪退治ばかりで鈍ったんじゃないかい?
 見境無く退治するのは感心しないね」
「いいえ、ちゃんと区別はしてますよ。
 退治するのは神奈子様を信仰しない妖怪だけです。
 お寺の妖怪はうちの神社と提携してるからいいんですけど」


 そう言って早苗はぬえにじっとりとした視線を送る。
 ……あまり説得力がない。

 霖之助に抱きついたままのぬえの腕が、ますます強くなった。


「わかってると思うが、ここで……」
「わかってます。暴れたりはしませんよ。
 今日はねずみ取りを買いに来たんです」
「ねずみ取り?」
「ねずみ取りって……ねずみでも出たの?」
「それ以外になにに使うんですか」


 ねずみと聞くと、どうしてもひとり思い出してしまう。
 それをわかっているのかいないのか、早苗は言葉を続ける。


「先日諏訪子様のおまんじゅうがねずみに食べられてですね。
 諏訪子様の怒りと言ったらもう。
 危うく地球を破壊しそうな勢いでした」
「なかなか宇宙規模の話だね。
 ……ねずみ取り……か。あったかな」


 商品を探すため、霖之助は席から立ち上がる。
 まだ早苗が気になるのか、一緒にぬえがついてきた。

 服を掴まれていると大変歩きにくいのだが……。


「やれやれ、なにやら物騒な話をしているね」
「あ」
「うん?」
「あ、いつかのねずみ」


 聞き覚えのある声に振り向く。


「……今日はいろんな客が来るね。
 いらっしゃい、ナズーリン」
「残念ながら、客ではないんだ」


 ハハハ、と笑うナズーリン。
 そしてぬえのほうに視線を向ける。


「ぬえ、聖がお呼びだよ」
「私?」


 首を傾げるぬえ。
 呼ばれる理由が思い浮かばないのだろう。


「というわけで、連れて帰るから」
「ああ、ナズーリン」


 踵を返した彼女を、霖之助は思い出したように呼び止める。


「なんだい、霖之助君」
「君はねずみと話が出来るのか?」


 霖之助の言葉に、ナズーリンはふむ、と頷く。


「出来ると言えば出来るが、何故だい?」
「実は、山の神社からねずみを追い出して欲しいらしくてね」
「そうなんですよ」


 ナズーリンの顔を見て思いだしたのだが、香霖堂にあるねずみ取りは売り切れていた。

 ……他ならぬナズーリンによって。
 そのまま処分したらしいから、捨てられたといっても過言ではないのだが。


「わかった。あとで行くよ。
 山の神社だろう? 一度行ったことがあるからね。
 もちろん報酬は頂くことにするけど」
「じゃーね、霖之助」
「ああ、またおいで」


 ナズーリンとぬえの背中を見送り……早苗は霖之助に向き直る。


「それにしても、仲良いですね」
「そうかい?」
「そうですよ。
 お客でもないのにまたおいで、なんて」
「ふむ……」


 早苗の言葉に、霖之助は少し考える。
 その様子に、早苗は楽しそうな笑みを浮かべた。


「ひょっとして霖之助さんのお気に入りなんだったりして。
 ……あ、じゃあねずみさんを迎えるんで帰りますね」
「ああ、またおいで」
「今度はお客として、ですね」


 わかってるじゃないか、と霖之助は頷く。
 騒がしかった店内に静寂が戻り……。


「……そうかもしれないな」


 誰に対してでもなく。
 霖之助はひとり、そっと呟いた。

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