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例えばこんなアリスEND

どんなカプにもそれぞれの良さがある。
僕に出来るのは、こんなカプも良いよと提案することだけじゃけぇ……。

まあそのキャラが好きってことが前提条件なんですけどね。
アリスもかわいいよ!

『非売品の法則』の続きかもしれないし『少女測定中』の続きかもしれない。
そんな感じでひとつ。


霖之助 アリス








「似合っていると言えば似合ってるし、違和感があると言えばあるわね」
「そうかい?
 あいにく僕には違和感しか感じられないが……。
 生地が軽すぎて落ち着かないよ」
「それは慣れの問題ね。
 いい機会だから、この際洋服を普段着にしたらどうかしら」


 霖之助はダークスーツに身を包み、姿見の前に立たされていた。
 後ろではアリスが忙しなく動き回り、布の余り具合や寸法を細かくチェックしている。


「それはともかく、着心地はどう?
 あ、ちょっと腕上げてみて……ふむふむ」
「着心地の方はまったく問題ないよ。
 ……確かにこれなら、普段着にもいいかもしれないけどね」


 彼が今着ているのは、アリスが作った服だった。
 さすがと言うべきか、彼女に洋服を作らせたらこの幻想郷で右に出るものはいないだろう。
 霖之助も含めて。



 知り合ってからずっと、ふたりは良き理解者であり、師であり、ライバルだった。

 同じ知り合いが多いこともあって……特に常連ふたりに関することはアリスとばかり相談していた。
 よく愚痴を聞かされもしたし、聴いて貰った気がする。

 それに裁縫や魔術の知識はお互いの知識を尊重する間柄だった。
 アリスは主に洋服や西洋魔術を。
 対して霖之助は和服や東洋魔術に造詣が深い。

 お互いがお互いに教えを請い、競い合っていたように思う。



 そして些細なきっかけから……理由を忘れてしまうほど小さなきっかけで、
お互いの腕を評価し合うため、服を贈りあうことになったのだった。


「どこか突っ張ったりするところはない?
 ベルト周りの余裕はこれくらいでいいかしら」
「……アリス。
 その辺の寸法は自分でチェックできるが……」


 腰のあたりに腕を回してくる彼女に、霖之助は困惑した表情を浮かべた。


「何言ってるのよ。
 私が服を作るんだから、私が調べてみないと意味ないでしょう」


 言って、彼女は霖之助のネクタイに手をかけた。
 少し弛めて、また締め直す。
 ……加減が気に入らなかったのか、もう一度。

 間近で見るアリスの瞳が、なんだかとても眩しかった。


「うん、これくらいかな」
「こんなに念入りに仮縫いを繰り返すとは思わなかったよ」
「そう?
 ……そういえば、ちゃんと服を仕立てるのは初めてだったわね」


 満足したのか、アリスはなにやら寸法表に書き込んでいく。


「普段は仮縫いなんて必要無いもの。
 私も初めてだわ」
「……うん? どういうことだい?」
「そんな真剣に考えるほどの話しじゃないのよ。
 ほら、私が普段作るのって人形でしょう?」


 首を傾げる霖之助に、アリスは手を振った。


「私の人形はね、服も一緒に作るから。
 人形にとっては、身体の一部なの。
 その服を着るために生まれてくると言っても過言でないかもしれないわね」


 そういえば、アリスの人形は着せ替えできるように作られてはいなかった気がする。
 もちろん例外もあるだろうが……。


「だから、生きてる相手に合わせようとするなら、仮縫いを繰り返すしかないのよ」
「なるほどね」


 彼女のこだわりというやつだろう。
 仮縫いを繰り返すたびに服が成長しているのが実感できた。


「しかしこれだけ手間をかけてるんだ。
 完成したらすごいものになるだろうね。
 ……僕もうかうかしてられないな」
「あら、残念ね」


 霖之助の感心した声に、しかしアリスは首を振った。


「これは下書きみたいなものよ。
 本命はまた別のやつで作る予定なんだけど……。
 貴重な生地だったからね、失敗はできないのよ」
「いいのかい?
 そんな貴重なものをこんなことに使って……」
「ええ。こういう時に使わないと……。
 それに、私にとってはこんなことなんかじゃないわ。本気であなたに勝っておきたいのよ」


 アリスはぐっと身を寄せ、挑発するように霖之助を睨み付ける。
 その勝ち気な瞳に、霖之助は苦笑を浮かべた。


「残念ながら、僕もその点は同感でね。
 負けるつもりはないよ。相手が君であっても」


 ……もっとも、アリス相手だからこそ負けるわけにはいかないのだが。

 しばらくお互い睨み合い……どちらからともなく、笑顔を浮かべる。


「じゃ、楽しみにしてるわね。
 でも、あなたは寸法チェックしないでいいのかしら」
「僕が何着君の服を仕立てたと思ってるんだい?
 もう完璧に覚えているよ……隅々までね。
 ……もっとも、最後の微調整はやはり着て貰うことになるが」


 つまり、霖之助はギリギリまで手の内を見せないと言うことだ。
 アリスは彼の思考を覗き込むように、じっと見つめる。


「もったいぶるのね」
「ああ。こればかりはもったいぶらせて欲しいものだね。
 問題は……」
「……?」


 霖之助は言葉を切り……ため息。


「いや、なんでもない。
 そうだ、少し測らせて欲しい寸法があったな」
「いいけど……
 あなたが測ってない場所なんてあったかしら。
 そんなに体型変わってないつもりだけど」


 自分の身体を見下ろすアリスに、霖之助は巻き尺を手に首を振る。


「僕も君が太ったなんて思ってないよ。
 測らせて欲しいのは頭と手、かな。
 僕の服は小物もコーディネイトのうちだからね」
「コーディネイト、ね。
 何が出てくるのか楽しみにさせて貰いましょうか」
「そうしてくれると助かりますよ、お姫様」


 姫に仕える騎士のように恭しく傅くと、霖之助はアリスの手を取った。
 五指のサイズを確認すると、彼女は少しくすぐったそうにしていた。

 測り終えるとアリスの背後に回り込み、彼女の金髪を櫛でとかす。

 帽子を仕立てるにしろなんにしろ、髪を隠してしまうのではなく引き立てるべきだ。
 その方法を考えながら、少し髪をいじらせてもらう。


「……ねえ、霖之助さん」
「なんだい?」


 金髪を少し持ち上げると、彼女の白いうなじが目に入る。

 香水か何かつけているのだろうか。
 甘い香りが芯に染みてくる。


「私の服、受け取ってくれるかしら?」
「おかしな事を言うね」


 言って……霖之助は内心驚いていた。
 アリスの悩みが、霖之助と同じものだったからだ。

 もし受け取って貰えなかったら……。
 考えただけで、落ち込みかける。


「ここまで仕上げた服じゃないか。
 実際、こうやって作業をしていても全く気にならない。
 同じ寸法で作れば、どんな生地でも立派に完成すると思うよ」
「ううん、そうじゃなくて……」


 それきり、アリスは黙り込む。
 なにやら考えているようだ。


「……済んだよ、アリス」
「そう」


 解放されたアリスは、霖之助へと向き直り……。
 そのまましばらく見つめ合う。

 そしてどちらからともなくそっと……。


「おやおや、邪魔したかな」
「……!?」


 驚いて振り返ると、いつの間に入ってきたのかナズーリンが立っていた。
 ニヤニヤと笑みを浮かべている。
 しっかりと一部始終を見られていたらしい。


「……やあ、ナズーリン。いらっしゃい」
「あら、ネズミさんじゃない。どうしたのかしら」


 慌てた様子のふたりに、ますます笑みを深める。
 ナズーリンは得意げに胸を張った。


「どうしたもこうしたもないよ。
 道具屋に客が来るのがそんなに不満かい?
 ……まあ、気にせず続きをやってくれたまえ」
「いや、そう言うわけにもな……」


 ばつの悪そうな表情を浮かべる霖之助に、ナズーリンは視線を送る。
 上から下まで、たっぷりと。


「もっとも、今日の霖之助君は道具屋というより執事のようだね」
「……道具屋に見えないと言うことかい?」
「いやなに、似合っていると言っているんだよ。
 よほど大事に作られた服みたいだし」


 そう言って、彼女はアリスへと顔を向ける。
 何となく気恥ずかしそうに、アリスはそっぽを向いた。


「見ての通り、少し取り込み中でね。
 用がないならあとにしてくれると助かるんだが」
「言っただろう、私は客として来たんだと。
 先日依頼されてた宝……」


 ナズーリンの言葉を、霖之助は手で制した。
 続きを聞く前に、アリスへと向き直る。


「すまないがアリス、僕は少し商談があってね。
 今日のところはこれでお開きにしていいかな?
 また服は返すから」
「そう……?
 えっと……」
「なに、気にすることはない。
 私はネズミだが、他人のものを盗る趣味はないよ。
 ……身内からなら気兼ねなくイケるんだが」


 身内からでもダメだろう、と思わなくもないが、話しがややこしくなりそうなので口には出さないでおく。


「まあデータも取れたし、作業できるからいいけど。
 でも洗わなくていいわよ。洗い方、知らないでしょうし」
「ああ……そうだね」
「それじゃ、またね。霖之助さん」
「またおいで、アリス」


 扉の向こうに去っていくアリスを見送る霖之助。
 彼女の姿が見えなくなって、ようやくナズーリンが口を開く。


「いいのかい?
 追い返すような真似をして」
「彼女との付き合いも長いからね。
 わかってくれるさ」


 その言葉に、ナズーリンは聞こえよがしに盛大なため息を吐いた。


「それは甘えだよ、霖之助君。
 女はいつだって、言葉にしてもらいたいものさ」
「……ご忠告、痛み入る」


 霖之助は苦笑を浮かべ……奥のクローゼットに歩み寄った。
 厳重に封印してあるそれに、鍵を差し込む。

 重々しく開いた扉の奥には、純白のドレスが収納されていた。


「……はっきり言葉に出来れば、どんなに楽だろうね」


 ここ最近、霖之助はずっとこのドレスにかかりきりだった。
 寸法はすべてアリスに合わせてある。
 完成もあと一息と言ったところだ。

 問題は、そう。
 受け取って貰えるか……。


「これももうすぐ完成じゃないか」
「ああ、そうだ。
 そしてひとりで作るのも、そろそろ限界でもある」


 これ以上はどうしても、アリスに着て貰う必要がある。
 つまり……これを見せる日が近いと言うことだ。

 ……もし、断られたらどうしよう。
 そんな不安が頭をよぎる。


「ダメだったら、うちのご主人様にでもあげるといい。
 きっと喜ぶと思うよ。
 そしたら気兼ねなく横取りできて、私も喜ぶ」
「縁起でもないことを言うんじゃないよ」


 霖之助は苦笑して、クローゼットを閉めた。
 カウンターに腰掛け、ナズーリンと相対する。


「さて、あのドレスに似合う指輪を作るための宝石。
 ようやく君の言う条件のものを見つけてきたわけだが、いくらで買うかい?
 目安は収入の3ヶ月分……らしいが」


 ナズーリンはそう言うと……店内を見渡し、ため息を吐いた。


「そんな常識にとらわれない、素敵な金額を期待しているよ。
 じゃあ、戦闘を開始しようか」
「ああ。望むところだ」
「もっとも、賢明な君のことだ。
 結婚指輪を値切ったなんて噂を広めたくはないだろうが……」
「……それとこれと話が別だろう、ナズーリン。
 僕はまだまだやることがあるんでね。
 悪いが勝負はさっさとつけさせて貰うよ」
「いいだろう。いつぞやの宝塔の借りをまとめて返してあげるよ、霖之助君」


 そう、これから指輪も作らなければいけないし……。
 自分の分の服だって残っているのだ。

 アリスの答えがわからない以上、その辺は後回しにされていた。









 人形たちに出迎えられ、アリスは家へと帰ってきた。
 仮縫いの服は置いてきてしまったが、寸法は頭に入っているので問題はない。

 ……むしろ問題は。


「はぁ……」


 アリスは盛大にため息を吐いた。
 家の隅、隠れた場所にあるクローゼットの扉を開ける。


「私の服、受け取って貰えるかしら……」


 クローゼットから取り出したのは、純白のタキシード。
 本当はもうほとんど出来ているのだ。

 ……寸法チェックなど、渡すまでの時間稼ぎに過ぎない。


「……はぁ……」


 受け取って貰えなかったらどうしよう。
 ……悪い考えを、頭を振って飛ばす。


 受け取って貰えたとしても、今度作るのは自分の服だ。

 そもそもなんて言って渡そうか。
 白いタキシードを渡しただけじゃ気付かないかもしれない。


「これを着て私の隣に立って……?」


 なんかしっくりこない。
 ……こういうとき、誰に相談すればいいのだろう。


 眠れない夜は、まだしばらく続きそうだった。


アリス
相方にアリスを描いて貰いました。
感謝感謝。

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非公開コメント

二人が純白の衣装を纏う日が来て、自分が作った服より霖之助の作った服の方が質が良くて複雑な気持ちになるアリスまで見えたぜ。

No title

続きをお願いいするぜ

はい死んだアリ霖好きな俺は今萌え死んだ

我が生涯に一片の悔い無し

No title

うまい人のは先が読めても楽しめる。さすが道草氏。

にやけっぱなしで、この頬の緩みをどうしてくれようかw

No title

はい俺も死んだ。死んだよ、どうしてくれる?続き書いてくれる?全裸で待機しておけばいいんですかね?

No title

初コメ&悶死余裕だったのぜ
これは続かざるを得ない

しかしどのカップリングでも違和感ないな霖之助

電車内で読んでてポーカーフェイスを保とうとしてもにっちもさっちもいかなくなってきた………

相変わらずのじらしプレーにぼかぁ限界ですよwww

No title

輸血を
輸血を全力で要請します
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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