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ブンキシャ! 第09話

文ルートを書くつもりだったのだけど。

先日神戸で開催されたトレジャーフェスタにて、
実行委員会オフィシャルフィギュア『射命丸文』のキャラ見出しが、
なぜだか『紅魔館のメイド』になっていたらしい。

これはつまり、と思ったらこうなった。

霖之助 文  咲夜







 霖之助は文々。新聞の人気ランキングを眺めていた。
 稗田の家には新聞のアンケート回収箱があり、人気コーナーが一目でわかるように集計される。
 ただし阿求の優しさなのか嫌がらせなのかはわからないが、関係者に公開されるのは上位組のみだ。
 そして稗田書店で売れた新聞の売り上げを使い、賞与が渡される。

 もちろんアンケートなので出す人間は限られているし、
稗田の家で回収されるため妖怪が読んでてもそこに入れられることはない。
 現に小さい子に大人気、と言われる魔理沙の記事ですらあまり上位に食い込むことはない。
 読者層と購買層が違うからだ。
 特にその年代は字が読めない子や書けない子が多いからこればかりは仕方ない。
 しかも題材になっているのは寺子屋に寄贈された古い記事なわけで。

 そう、仕方がないのだ。
 叡智に富んだ妖怪や里の年長者はわざわざそんな投票はしないわけだし。
 だから仕方ないのだ。
 霖之助の記事が今まで一度しかランクインしたことがないことも。


「ずいぶん悩んでますね、霖之助さん」
「いや、そんなことはない」
「そう言えばずいぶん評判よかったみたいですね、これ」


 霖之助の向かい側に座り、ネタの整理をしていた文が指し示したのは前回の文々。新聞だ。
 阿求の新連載……先日霖之助に話していたものが掲載されている。

 発行されて間もないためまだ投票結果は出ていないが、人気上位になるのは間違いないだろうという話だった。

 というのも、話の続きが気になった文が編集長権限で直接阿求の家まで聞きに行ったせいだったが。
 その場に数人の他の人間や妖怪がいたのはご愛敬、と言うやつだろう。
 みんな考えることは同じらしい。
 しかも今回に限って、妖怪からも投票が多いという話だ。

 しかし話はすべて阿求の頭の中にあるようで、話の続きを聞くことは出来なかった。


「そう言えば阿求はどうしたんだい?」
「ああ、今日は人里の集まりがあるらしいです。そう言ってました」


 稗田はかなり地位のある家なのだし、たまにそう言うことがあるのは仕方がない。


「しかし新連載。何とも心躍る響きですよね」
「そうかな? ……まあ、そうかもしれないな。だがやはり、今あるものを大事にすべきだ。僕はそう思うよ」
「ふむふむ、なるほど」
「……しかし、少し書き方を変えるくらいはありだろうとも思う」


 これは決して人気がほしいから言っているわけではない。
 もし霖之助が歴史書をしたためたとき、読む人間が数人だったらどうなるだろうか。
 正しい歴史は闇に葬られ、結局読んだ人間の思うとおりに改竄される恐れがある。

 つまり、目指すところは一家に一冊、いやひとりに一冊の歴史書であり、誰にでも読まれる必要があるのだ。
 なのでそういう文章を訓練する必要がある。


「今すごく理由を後付けしてますね」
「そんなことはない」
「別に今のままでもいいと思いますよ」


 文は一度口を開きかけて、閉じる。
 そしてやや視線を逸らしながら続けた。


「その、私も霖之助さんの記事は好きですし」
「ありがとう、僕も君が好きだよ」
「え? あ、どうも」


 一瞬言葉を詰まらせる文だったが、ため息とともに苦笑を浮かべる。
 ……彼の言葉からは、往々にして肝心な部分が抜けているのだから。

 その様子に疑問を覚える霖之助だったが、気にしないことにしたようだ。


「外の道具について興味を持ってもらえれば尚いいのだが」


 そうすれば客も増えるというものだ。

 書き方は、魔理沙に見せたり慧音の授業を見たりして思いついたことがいくつかある。
 問題はどう店の商品と繋げるかだが……。


「やっぱり、ほとんどすべて時価というのが敷居が高いと思うんですよ」
「しかし安定した供給など望むべくも無いからね」


 基本的に無縁塚で拾うしか入手法がないのだから仕方がない。
 どこぞのスキマ妖怪に頼めば可能かもしれないが……見返りに何を要求されるかわかったものではない。


「なかなか難しいですねぇ」


 そう言って文が手元に視線を戻す。
 彼女も先ほどからなにやら悩んでいるようだった。


「ところで文は何を考え込んでいるんだい?」
「え? 別に看板記者な私がもっと人気の取れる記事を考えてる訳じゃないですよ?」
「そうか」


 それだけでわかってしまうのがなんともはや。
 結局同じことを考えていたのだろう。

 安定した人気があるのはアリスとパチュリーだった。
 あのふたりに目を付けたのはさすがといったところだが、引き入れた当の本人がへこんでいては意味がないのではないだろうか。


「文の記事は真実が目的なんだから、そこまでこだわらなくてもいいんじゃないか。見る人は見てるさ」
「霖之助さんの記事も、そうだと思いますよ」
「…………」
「…………」


 お互い顔を見合わせ、ため息。
 欲というものは尽きないものだ、と実に思う。


「休憩しましょうか、何か作りますよ」


 やがて文は気分を変えるように勢いよく立ち上がった。



     ☆



「材料がほとんど無かったんですけど」
「僕にはあまり食事が必要無いからね」


 そう言いながら文が用意した食事は、言葉と裏腹にきちんとしたものだった。


「よくわからない材料ならたくさんあったんですが」


 料理を並べ終わり……首を傾げて彼女が言う。


「……たぶん諏訪子とかの私物だろう。饅頭とかの」
「それであんなに小豆が……ん? でもそしたらあれはなんで……? これはスクープの予感かも」
「せっかくだから、暖かいうちに食べようじゃないか」


 なんだか怖いので、それ以上突っ込まないことにした。
 そもそも自分の家の台所にそんな得体の知れないものが眠っているなど考えたくはない。
 ……まあ、数日もすればまた諏訪子たちがやってきて使い切るだろう。
 そう願いたい。


「……ん、旨い」
「そうですか?」
「そんなにじっと見られると食べにくいのだが」
「あややや、すみません」


 文が用意したのはご飯と漬け物、文が持ってきたらしい豆腐料理と、置いてあった小豆を使った小豆煮。
 それと……これは揚げ餅だろうか。
 先ほどから烏がよく飛んでいたのだが、ひょっとして材料を運ばせていたのかもしれない。


「まさか料理できるとは」
「長く生きてるといろいろ出来るようになるものです」


 正直予想外だった。


「烏は雑食ですからね」


 そう付け加える文。
 確かに、わりかし何でも食べるのだろう。


「でも残念です」
「何がだい?」
「私の料理の腕を披露する機会が少なくて。霖之助さんはもっと食に関して貪欲になるべきですよ」
「いや、そうは言ってもね」
「……そうだ、食に関する記事なんかいいかもしれませんね」


 突然思いついたようで文花帖を開く文。
 このあたりはやはり根っからの新聞記者なのだろう。

 食に関する見解を語り合いながら、料理を片付ける。
 普段簡単に済ます霖之助にとって、久々に満足のいく食事だった。


「誰かいるかしら?」
「あや、この声は……」
「お客の声だよ」


 ちょうど食べ終わった時を見計らうかのように、店のほうから声がする。
 実際はそんなことないのだが、いつもやってくるスキマ妖怪のせいでつい疑ってしまうのだった。


「お客……ですか?」
「ああ、とびきりの上客さ」


 今日の来店者は霖之助も聞き覚えのある声だったため、自信を持って客を言える。
 少なくとも、金払いに関しては。
 洒落っ気が効き過ぎてるところが玉に瑕ではあるが……。


「やあ、いらっしゃい」
「休憩中かしら? 相変わらず開いているかわからない店ね」


 皮肉とも取れる紅魔館のメイド……咲夜の言葉に、霖之助は肩をすくめる。


「ふむ、じゃあ今度から営業時間を明記するべきかな」
「してもいいけど、私は見ないわよ。その方がいつでもこれるし」


 軽口を叩くふたりを見比べ、文は思い出したように言った。


「あやや、そう言えば常連さんでしたっけ、数少ない」
「最後は余計だが、常連……ではないな。もっと来てくれればこの店も繁盛するかもしれないんだが」
「あいにく忙しいもので」


 にっこりと完璧な笑顔で返す咲夜。
 そう言えば、文は彼女に何度かこの店で会ったことがある。
 その度に霖之助が上機嫌だったのはそういう理由だろう。
 ……何となく、面白くはないが。


「それにしても珍しいね、この時間から
 またご主人様のお使いかい?」
「いえ、今日はお嬢様から突然休暇をもらったのだけど……」
「休暇、ね」


 あのプライドの高い当主がよくもまあ、と霖之助は思ったが、すぐに打ち消した。
 プライドが高いからこそ休みをあげたのかもしれない。
 紅魔館のメイドは年中無休だということになったら困るのだろう。

 問題は、当の本人がいまいち休暇に乗り気ではないことだが。
 本人の格好を見れば一目瞭然だ。


「休暇なのにメイド服ですか?」
「これは私のライフワークですから。
 あなただって休日だからと言ってカメラを手放さないでしょう」
「それもそうですね」


 なにやらよくわからない納得をする文。


「でも、突然休みを出されても意外とやることないのよ」
「神社とかに行けばいいのに」
「もう行ってきたわ。巫女と鬼が干からびてたけど」
「ああ……」
「それは……」


 ……今度差し入れにでも行こうか、とふたり同じことを考える。
 霊夢のことだ、いよいよ危なくなったらこの店に食料を取りに来るだろう。ツケで。


「それはともかく、何か面白いものがないかと思ってきたのよ」
「面白いかはともかく、今期のやつが入荷してるよ」
「あら、それはいいタイミングね」
「今期? なんですか、それ」


 首を傾げる文に、見たほうが早い、と霖之助は店の奥に積み上げていた衣装箱やタンスを引っ張り出してくる。
 ひとつではなく、結構な数だ。
 キャスター付きのため中身が詰まっていても少ない力で動かすことができる。
 これも無縁塚で拾ったもので霖之助のお気に入りだった。


「はぁ……よくこれだけ拾いましたね」
「こればかりは品揃えが勝負らしいからね。これも歴とした外の道具さ。自分を飾るための、ね」


 中にはずらっと外の世界の服が入っていた。
 季節ごとに流れてくるため入手難度は低い方の部類だ。
 しかし望んだ柄やサイズがあるかどうかは別問題。

 ちなみに文や咲夜くらいの見た目年齢対象の服が一番多い。
 残念ながら小さい子向けのはあまりなく、よく咲夜が探しに来るご主人様用の服ではないことが多いのだが。

 しかしサイズが合わない気に入った服があれば、霖之助やアリスが仕立て直すこともできる。
 いわゆる業務提携というやつだ。
 とはいえ主な購入者の咲夜は自分で直してしまうので、全く意味はないのだが。


「こんな商品があったんですねぇ……知りませんでした」


 なにやら感心したように言う文。

 常連以上に入り浸っている彼女が知らないと言うことは、宣伝に問題があるような気がしなくもない。
 ふと、そんな考えが脳裏をよぎった。


「とにかく、ゆっくりしていくといい」
「この色はお嬢様に……あら、これは美鈴に似合うかも」


 咲夜は真剣に選んでいるようで、霖之助の言葉にも反応がない。


「ふーん、いろいろあるんですねぇ」
「ああ。漫画と言い服と言い、よっぽど外の世界は流行のサイクルが早いのだろうね。
 もっとも、僕はその恩恵にあずかっているわけだが」


 霖之助はいつもの席に座り、いつも通り外の世界の本を開いて読み始める。
 ふたりとも服に集中しているようだし、少しの間なら問題ないだろう。
 今読んでいるのは外の世界の語学の本だ。
 春を過ぎたあたりからこの系統の本がよく落ちているのは、春に卒業と入学という大きな節目を迎えるためのようだ。

 そういえば、慧音の寺子屋はいつ卒業式をやっているのだろうか。
 情に厚い彼女のことだ、きっと別れは涙で飾ってしまうのだろう。
 その光景を簡単に想像できてしまうほど、彼女の性格は昔から変わらない。


文メイド


「霖之助さん、この服とかどうですか?」
「え? ああ……」


 懐かしい気分になっているところに突然声をかけられ、内心飛び上がる霖之助。
 するといつの間に着替えたのか、文が外の世界の服を着ていた。

 ロングスカートにフリルのエプロン。
 確か本来はヘッドドレスもセットだったはずだ。

 咲夜の着ているものとデザインこそ違えど、この服の名称はメイド服だったように霖之助は記憶していた。
 本人がなにやら嬉しそうなので、あえて言わないでおくが。


「似合ってるよ、でも商品だ」
「うぅ」


 そこでふと思い直す。


「……と思ったけど、一着くらいあげよう」
「本当ですか?」


 文が着て歩けば宣伝にもなるかもしれない


「じゃあ、どこかに出かけましょう」
「……何故」
「服は人に見せるための物です」
「じゃあひとりで行けばいい」
「プレゼントした人と一緒だから意味があるんです」


 なんだかとても力説する文。


「しかし僕には見ての通り仕事があるんでね」
「本読んでたくせに……しかも妙にニヤニヤして」
「……なんのことかわからないな」


 しっかり見られていたらしい。


「あら、それじゃ貴方たちを紅魔館に招待するわ」
「……紅魔館に?」
「いいですねー。あそこならムードもありますし」


 横から口を挟んだのは商品を選び終えたらしい咲夜だった。
 手に数着の服を抱えている。


「突然だな……それで、買うものは決まったようだね」
「ええ、ここにあるもの……」


 ぽん、と持っていた服を片隅に起き、事も無げに続ける咲夜。


「以外、全部貰うわ」


「……なるほど、上客ですね」
「いや、ここまでとは僕も……」


 そもそもこれだけ買うならなんのために選んでいたのだろうか。
 前回は……そう言えばタンスひとつ分しか入荷していなくて文句を言われたのだったか。


「あら、吟味を重ねてこの結果ですわ。品揃えに自信を持っていいのではなくて?」
「一応褒め言葉と受け取っておくよ」
「それで、お嬢様のために仕立て直しもしなくてはならないのだけど」


 咲夜は自分の買った服と、霖之助たちを見比べる。


「配達、してくれますわよね?」


 紅魔館に招待とはつまり、そう言うことだ。
 断ることも出来なくはないだろう。
 しかしそれではせっかくのお客を逃してしまうことになる。


「文、君の望んだ外出だ」
「……ちょっと後悔してます……」


 ふたり並んでため息。


「あと思ったんですけど。ほとんど咲夜さんが買ったら新しいお客なんて呼べませんよね」
「…………」


 私も買えませんし、と文は霖之助を半眼で睨み付けるのだった。









「レミィ、わざわざ図書館まで来て何やってるの?」
「え? ううん、なんでもないわよ」
「そんなに寂しいなら休暇なんて出さなければいいのに……」
「そんなわけ無いでしょう。私にはパチェがいるもの」
「パチュリー様-、お出かけの準備整いましたよー」
「ご苦労様。じゃあ私は魔理沙のところに行ってくるから」
「へ?」
「いってらっしゃいませー」
「……うー……」

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