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カラオケシリーズ08

過去作は『まとめ』で。

完全に趣味に走っているが気にしない。
わかる人がいるかなんて気にしない。

……いや、気にするべきか。


霖之助 幽々子







「初めての出会いは平凡だったけど
 会う度に過去の誰よりも惹かれてく」


 そう言えば、と霖之助は思い返した。
 彼女との出会いは、どんな感じだっただろう。


「こんな気持ちの訳うまく言えないけど
 運命の恋と……人は呼ぶのでしょう」


 確か彼女の従者がやって来たしばらく後だった気がするが……。

 そんなことを考えながら、霖之助は歌声に耳を傾けた。

 ああ、そう言えば。
 最初は普通の客として来店していた気がする。
 そのせいか……出会った時のことをあまり覚えていない。

 彼女は今日も歌を口ずさみながら、商品を物色していた。
 新年に向けて、おめでたいものを探しているらしい。

 ……冥界のおめでたいものとはなんなのだろうか。
 彼女が選び出すものに霖之助は興味があった。


「ひとみ閉じたら、ふたりになれる
 今、たとえこの部屋ひとりでも」


 瞬間、何かに視界が奪われた。
 霖之助は慌てず騒がず、犯人の名を呼ぶ。


「目隠しをしないでくれないか、幽々子。
 本が読めない」
「あら、だーれだ、のほうがよかったかしら」


 言って、亡霊のお嬢様は優雅に微笑んだ。
 霖之助は目隠しされている幽々子の手を取り、外す。


「紫が冬眠しちゃって暇なのよ。
 ねえ、退屈凌ぎにお話ししましょう?」
「あいにくと僕は暇を持て余していないんだがね」
「あらあら、じゃあ別の欲を持て余しているのかしら」
「そうだね、知識欲が疼いてたまらないよ」
「なぁに? お姉さんが何でも教えてあげるわよ~」
「あいにく、人に教えて貰うより自分で調べたい性分でね。間に合ってるよ」


 コロコロと笑う幽々子に、霖之助は首を振った。
 彼女は紫ほど胡散臭いわけではないが……何を考えているのかわからない。

 一見、何も考えていないように見えなくはない。
 しかし短絡的に判断したら、間違いなく痛い目を見るだろう。


「暇つぶしなら君の従者でも教育したらどうだい。
 ただ、教材は僕の店以外で頼むよ」
「あらあら、冷たいのね。
 妖夢泣いちゃいそうだわ」
「当然の反応だろう。
 それに冷たいと言っても、君のところの幽霊ほどではないよ」


 寒い中、相手をさせられる方の身にもなって欲しい。
 まあ、雪かきの手間が省けるのは楽なのだが……。


「あと君は従者に給金を出すべきだ。
 手持ちもないのに道具屋にやってこようなど間違っていると思わないかい?」
「それは妖夢のためかしら?」
「もちろんだとも。
 そして僕の店で買い物をしていくよう勧めるといい」
「つまり自分のためなのね」
「そうとも言うかもしれないね」


 まあ、給料を貰ったからと言って香霖堂で買い物するかはまた別問題なのだが。
 幽々子は少しだけ考える素振りを見せる。


「考えてもいいわ。
 妖夢が一人前になったらね」
「やれやれ、気の長い話だね」
「そうね、ずっと先の話でしょうね」


 どうやらまともな客が増えるのはまだまだ先の話のようだ。

 霖之助のため息を楽しそうに見つめながら、幽々子は霖之助から身を離した。
 ふわりとした甘い香りが、残り香となって霖之助の鼻孔をくすぐる。


「誰かを思う時、苦しくなるなんてね
 これまでの自分が次々に崩れてく」


 商品棚で何か見つけたらしく、彼女はふわふわと飛んでいく。


「ポーズとは裏腹、巻き込まれてゆく感じ
 見えない力で、引き寄せられてゆく」


 くるくると回る、姫君と歌声。

 幽々子が取りだしたもは、真空パックされた外の世界の餅だ。
 最近では鏡餅すら切り餅を使うようだが……。

 まさか幽霊の縁起のいいものも、やはり餅なのだろうか。
 ふと、そんなことを考える。

 もしくは、単に食べるためなのか。


「そう言えば、幽霊は冷たいから、人恋しくて現れる……と聞いたこともあるな。
 亡霊の君はどうなんだい?」
「うふふ、さぁどうかしら」


 妖艶な彼女の笑みは、懐から取りだした扇子で半ば隠されていた。
 表情が見えない。だからこそ、より艶めかしい。


「ねえ不思議……彼を想って泣ける夜があるって
 まるでLove Song……」


 幽々子の呟きは、ため息に乗って霖之助に届いた。
 ……何故だろう。

 彼女は、ただ歌を歌っているだけのはずなのに。


「だから……アイタイ
 だけど……アエナイ」


 霖之助の耳に、吐息がかかる。
 いつの間にか、幽々子はそこにいた。


「もう戻れはしない
 これが……最後の真実」


 続いて、背中に柔らかいものが触れる。
 先ほどの甘い香りが再び満ちる。

 背中から回された手が、霖之助の頬を撫でた。


「ねぇ。私が温かいかどうか……。
 試してみる?」

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