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カラオケシリーズ11

冬は紫さんが冬眠中につき。

藍様のゆったりとした服は柔らかい素材なので
動きに合わせて身体のラインが浮き彫りになるという電波が降ってきたが何の問題もないぜ。


霖之助 藍









「補充、完了しました。
 これでしばらくは大丈夫と思います」
「ああ、ありがとう。助かるよ」


 霖之助の言葉に、しかし彼女は首を振る。
 当然だ、と言わんばかりに。


「礼には及びません。
 それが私の仕事ですから。
 紫様からもそう仰せつかっております」
「それでも、僕がお礼を言いたいんだ。
 迷惑かな?」
「いえ……そう言うことなら」


 最強の妖獣……八雲紫の式神としてではなく。
 八雲藍として、彼女は微笑んだ。


「どういたしまして、霖之助さん」
「……相変わらず固いね。
 それとも、わざとそうやっているのかい?」
「さぁ、どうでしょう」


 藍の微笑みに、霖之助はため息を吐いた。

 出会い頭の慇懃無礼で事務的なやりとりも毎度のことだ。
 彼女とももうずいぶん長い付き合いになるのだが、いまだにペースが掴めない。
 真面目で固い少女かと思えば、たまに予測も付かない行動を取る。

 妖狐という種族的なものなのか、彼女の性格なのか。
 それはわからなかったが。


「もうストーブがないと冬を越せる気がしなくてね。
 燃料が早く切れてしまい、先日なんて危うく店の中で凍死するところだったよ。
 いや、来てくれて助かった」
「どれくらいの火力で使えばどれくらい燃料が減るかはわかっているでしょう?」
「ああ、もちろんだとも。
 ただ、いつでも僕が火力を調節しているわけじゃないからね……」


 魔理沙や霊夢、そして早苗が暑すぎるとか寒すぎるとか言ってよく火力調節のつまみをいじるのだ。
 火力を強くすれば当然燃料は早く減る。

 もちろん、暖まる方法はストーブだけではないし、燃料を手に入れる手段も他にあるのだが……。
 結局一番楽なのは、紫との取引なのだった。


「寒いのが苦手なんですね」
「ああ、昔からね……。
 そう言う君はどうだい?
 紫の式なら、ストーブも使い放題だろう?」


 冗談めかしたその問いに、藍は首を振った。


「あまり得意というわけでもありませんが、ストーブはそれほど使ってません。
 賢者……八雲は質素を旨としてますから
 能力を乱用して堕落しては示しが付かないのです」
「ほう……大したものだね」


 霖之助は思わず感心していた。
 しかしそんな彼の様子に、藍は照れたような表情を浮かべる。


「……とはいえ体調管理も仕事のうちですから。
 寒い時は、無理せず使ってますけど」
「ああ、それがいいよ」


 言ってふたり、笑いあう。


「……しかし君は温かそうだね」
「そうですか?
 ……って、どこ見てるんですか」


 霖之助の視線に気付き、藍は苦笑を漏らした。
 9本の尻尾が、ふわふわと揺れる。


「いや、単純にそう思っただけだよ」
「尻尾が温かくても、身体のほうはそこまででは。
 自分を包むことが出来るわけでもありませんし」
「それもそうか。
 自分の後ろに生えてるわけだしね……」


 世の中というものは、なかなか上手くは行かないものだ。

 ……と、ふと霖之助は思いついたように口を開く。


「じゃあ、僕ならその尻尾に包まれることができるのかな」
「構いませんけど。入ってみます?」


 予想外の返答に、霖之助は思わず絶句した。

 ……寒さで思考がおかしくなっていたのかも知れない。
 咳払いをひとつして、姿勢を正す。


「……まあ、機会があれば、お願いするかも知れないね……」


 実際のところ、そんな場面を誰かに見られたら恥ずかしくて仕方ないので頼むことはないのだろうが。


「そうですか……」


 何故だか残念そうな藍の表情が、妙に気に掛かった。


「……それはともかく、燃料の対価はちゃんと払うよ。
 好きに持って行ってくれたまえ」
「はい、では遠慮無く」


 藍は紫が香霖堂から持って行く道具には、幻想郷にあってはなら無いものも含まれる。
 危険な道具ほど霖之助のお気に入りに入っている率が高いのだが、ストーブと引き替えにされては仕方がない。

 店内を物色し始めた藍を、霖之助は何となく眺めていた。
 傾国の美女とも言われる妖狐の美貌は、なるほど噂通りのものだ。

 女性の魅力は容姿がすべてではないと思うが……。
 ……まあ、いいものを見るのはやはりいいことだ、とも思う。


「夜の駐車場で、アナタは何も言わないまま」


 商品棚を見ながら、藍は歌を口ずさんだ。

 そう言えば、紫はよく彼女と一緒にカラオケをやると言っていた。
 やはり藍も歌うのが好きなのだろう。


「ラジオから流れるメロディ……私は今日を振り返るの」


 見られていることに気付いているのだろう。
 藍は一瞬目配せするかのように、霖之助に視線を送る。


「あの海あの街角は……思い出に残りそうで……。
 この恋が遊びならば……割り切れるのに、簡単じゃない」


 藍は商品棚から何か見つけたようで、それをカウンターの上に置いた。
 可愛らしい意匠の、女の子用の小さなキーホルダーだ。


「霖之助さん、これを買ってもいいですか?」
「ん? ああ、燃料の対価だから好きに持って行ってくれて構わないよ」
「いえ……これは橙に、と思いまして。
 八雲としてではなく私の私用ですから、ちゃんとお代を、と」
「なるほど、そういうことなら」


 霖之助が提示した金額を、藍は自分の財布から取り出す。
 これぞ商売というものだろう。


「君のようなお客がもっと来てくれると助かるんだが」
「あら、もっと来ていいんですか?」
「ああ、僕としてはそちらのほうが嬉しいよ」
「そうですか……。
 仕事、と割り切るつもりだったのですが」
「うん?」


 藍の言葉に、霖之助は首を傾げる。
 しかし当の彼女は、既に店内の物色に戻っていた。


「『じゃあね』なんて言わないで『またね』って言って
 私のモノにならなくていい。そばに居るだけでいい」


 藍は歌いながら、妖艶に笑う。
 最初に事務的なやりとりをしていたときとは大きな違いだ。


「アノコにもしも飽きたらすぐに呼び出して……
 壊れるくらいに、抱きしめて」


 もし、事務的なのがわざとだったら。
 わざと、壁を作ろうとしたのだったら。


「壊れるくらいに……愛して」


 何故だかふと、そんなことを考えた。


「霖之助さん?」
「ああ、なんだい?」


 カウンターの上に置かれた商品を見て、そう言うことかと
 いつの間にかボーッとしていたらしい。


「今回はこれを持って行きます。対価として」
「……さすがの目利きだね。諒解したよ」


 ……きっと狐にでも化かされたのだろう。


「では霖之助さん、私はこれで」
「ああ、じゃあ……」


 ね、と言いかけて、藍の視線に気が付いた。
 しばし迷い……言い直す。


「また、ね」
「はい。また」


 ……全く。
 傾国の美女とは、よく言ったものだ。

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No title

あれれ、紫よりも断然霖之助の藍への好感度が高いのは気のせいかw

相変わらず道草さんの藍×りんのすけはいいですね
by読む程度の能力
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