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バレンタインSS13

先代霖のバレンタイン。
たぶん10年ちょい前。

先代は巨乳、そして横乳という訴えを僕は続けていきたい。
そんな先代のイメージ画像はこちら。
先代巫女バレンタイン


霖之助 先代巫女







「潤い欲しいなぁ……」


 巫女は頬杖をつきながら、そんな言葉を漏らした。


「博麗の巫女ともあろう者が、滅多なことを言うね」
「そうかしら」
「そうだとも」


 彼の言葉に、彼女は首を傾げる。

 巫女と言えばこの幻想郷では博麗の巫女を指す。
 なので彼女は巫女、とだけ呼ばれていた。


「ところで僕は見ての通り、店番中なんだがね」
「いいじゃない、そんなこと。
 他にお客もいないんだし」


 現在、霧雨道具店には親父さんも他の客もおらず、ふたりきりだ。
 ……誰もいない時間に来るのか、彼女がいると誰も来なくなるのか。
 その因果関係は、いまだに不明である。

 それに、たまに誰かがやってきたと思ったら……。
 彼と彼女の姿を見て、そそくさと去っていくのだ。

 お邪魔しました、と言わんばかりに。

 つまり客がいないのは彼女のせい、と考えるのが妥当だろう。


「……なぁに?」
「いや、なんでもないよ」


 ……立派な営業妨害じゃないか、と思う。
 修行中の身で迷惑をかけたくはないのだが……。

 しかし霧雨の親父さんは巫女が来るのを止める気配すらない。

 まあ、いつ妖怪の被害に遭うかわからないこのご時世。
 巫女がいて困る家などこの幻想郷にはないのだろうが。


「昨日も今日も、明日も妖怪退治だよ……」


 彼女はため息を吐きながら、上体をゆっくりと倒した。

 胸が机に圧迫されて形を変える。
 ……苦しくないのだろうかと、見ててたまにそんなことを思う時がある。


「巫女の仕事に飽きでもしたのかい?」


 妖怪の脅威はどこにでもある。
 いつ異変が起きるかわからない。

 だからこそ、博麗の巫女の力は必要不可欠なのだ。


「どうして?」
「いや、だって君が……。
 やりがいがないと感じているんだろう?」
「わたし、そんなこと言ってないけど」


 首を傾げる巫女。
 ……ややあって、ポンと手を叩いた。


「違うわよ。
 わたしが言ってるのは張り合いややりがいじゃなくて潤い。
 日々の彩りが欲しいって言ってるの」
「ふむ?
 つまりなんだ、誰かといい仲になりたいと」
「できればね……」


 なるほど、勘違いだったらしい。
 一安心と同時に……次の疑問が湧いて出た。


「どうしていきなりまた、そんなことを?」
「どうしてって……来る日も来る日も妖怪退治してたら、そう思う時だってあるわよ」


 大きなため息。
 ……確かに、青春を妖怪退治に捧げて来た彼女ならそう思うのも無理はないかも知れない。
 妖怪と人間のハーフたる彼と違って、純粋な人間は寿命が短いのだし。


「君がそんなに結婚願望が強かったとはね」
「そりゃあね、気が付けば同世代がみんな結婚してたってことに気付いちゃったからね……」


 彼女は再び、大きなため息を吐き出した。
 そして再び、同じ言葉。


「潤い、欲しいなぁ……」


 聞いているほうが切なくなってしまうような魂の呟きだった。
 ……仕方なく、彼女の相手をするために向き直る。


「男の知り合いくらいいるだろう」
「そりゃあこう言う仕事だもん。知り合いはいるわよ。
 でもみんな博麗の巫女としてっていうか……仕事上の付き合いってやつだと思うの」
「そういうものなのかね……」


 彼はその言葉に、首を傾げた。
 霧雨道具店で店番していると、たまに自分と彼女の関係を聞かれる時があるのだが……。

 どのみち自分にはあまり関係のない話だ。
 ……と思う。


「丁度今日はバレンタインだというのに、浮いた話のひとつもないようだね」
「ばれんたいん? なにそれ」
「ん? ああ、外の世界の行事さ。
 お祭り……と言ってもいいがね」


 巫女が興味を持ったようなので、バレンタインについての知識を披露することにした。
 ……自分もあまり詳しくはないが。


「チョコを世話になった人や好意のある相手に贈るイベントだそうだよ。
 後者のほうが主流みたいだけどね」
「ちょこを、ねぇ」


 んー、と首を捻る巫女。
 やがて何を思ったか、彼女は急に立ち上がった。

 商品棚から何かを取ってくると、テーブルの上にあった急須を掴む。


「はい、あげる。
 猪口(ちょこ)欲しいんでしょ?」
「チョコ違いだ」


 彼女はお猪口にお茶を注ぎ、差し出してきた。
 苦笑しながらそれを受け取り……ふと、首を傾げる。


「僕にくれるのかい?」
「……だって、お世話になってる人にもあげるんでしょ、ばれんたいん」
「ふむ」


 まあ、彼女がそう言うならそうなのだろう。
 くれるというなら……ありがたく貰っておくことにする。


「しかし普通、お猪口には酒を注ぐものだろう?」
「特別な日なら、普通じゃないものを注いだっていいじゃない」


 からからと笑う巫女に、つられて微笑んだ。
 普通じゃないお茶を味わう。
 ……味はいつもと同じだが、確かに普通ではない感じがした。


「しかし商品を勝手に使ってもらっては困るな。
 いくら巫女のやることでも、親父さんに怒られてしまう」
「あら、わたしが買うわよ?
 だって言ったじゃない、あげるって」


 なるほど、本気だったらしい。
 ……しかしあえて、首を振る。


「そこの棚を見ての通り、このお猪口は夫婦でね。
 片方だけ売れてしまうともう片方の行き場が無くなってしまうんだが……」
「商売が上手いのね。
 修行の成果かな?」
「おかげさまでね。指導のたまものだよ」
「う~ん……。
 じゃあ、こうしましょう」


 しばらく彼女は考えていたが……やがて目を輝かせた。
 もう一度立ち上がると、残っていたお猪口を手にカウンターへと戻ってくる。

 そしてそちらにもお茶を注ぐと、一息に飲み干した。


「そっちは貴方、こっちはわたし専用のお猪口ってことで、ここに置いといて。
 次からはこれで飲むから」
「お茶をかい?」
「うん」


 ……なるほど、彼女らしい。
 空になったふたりのお猪口に、彼は再びお茶を注いだ。


「お猪口でお茶を、ね。
 特別な日ならいいんじゃなかったのかい」
「あら、何を言っているのかしら」


 乾杯、と打ち鳴らしながら、彼女は言う。


「特別じゃない日なんてないわよ」


 そう言って微笑む巫女の笑顔は、十分潤っているようだった。

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非公開コメント

う~ん、いい感じ
画像のおかげで脳内再生がしやすかった!!

No title

雰囲気が最高でしたb

霊夢には彼女の面影を見ているって設定だと直義!

No title

先代霖大好きな僕はもう荒ぶっちゃいます!
ゴホッ!なかなかのダメージですね。
最近支部に書いているとはいえ、道草さんの足元にも及ばないです・・・。
愛なら負けない!・・・と言えるといいな。
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