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友人として

スレに上がってたネタより。
オリキャラ注意。

広い意味での天狗×霖之助。
霖之助が天狗と呑まなくなった理由。

天魔デザイン
天魔
妖怪の山の天魔さんじゅうななさい。
きっと趣味は焼き討ち。
座右の銘は点火夫無。


霖之助 天魔







 人里から見て、迷いの竹林と正反対の方角に妖怪の山はそびえ立つ。
 人間より古くからこの地にいる妖怪たちの住処。

 ……その麓に、彼は立っていた。
 一歩進めば、そこは『彼ら』のテリトリーだ。

 仲間意識の高い山の妖怪たち。
 侵入者はあっという間に追い返されるという話だった。

 だからこそ。
 彼は、歩みを進めようとして……。


「何の用だい? ここから先は天狗の山。部外者は立ち入れないよん」


 近くの木から声をかけられた。

 いや、正確には木の上にいた人物だ。
 山の内部にいるということは間違いなく妖怪だろう。

 木の枝に腰掛け、そのまま上下反転したような姿勢でこちらに視線を送ってくる。


「……ま、人間でも妖怪でもないみたいだけど。なんでも一緒さねー」


 その妖怪……少女は、反動をつけるかのように枝でくるりと回転した。
 そのままジャンプし、くるくる回りながら彼の目の前に着地する。

 鮮やかな身のこなし。
 おそらく……いや、間違いなく天狗だろう。


「どんな用事があるか知らないが、ケガしないうちに帰った帰った」


 ひらひらと手を振る彼女に、彼は首を振って答える。


「いや、もう用事は済んだよ」
「んん? どういうことだい?」
「簡単さ。君に会いに来たんだ」
「うちに? なんで?」


 少女は怪訝な表情で首を傾げた。

 まぁ、当然だろう。
 ふたりとも、初めて会ったわけだし。


「ここは妖怪の山。入ろうとすれば全力で追い返される。有名な話だね」
「ふぅん。……それがわかって、うちに会いに来た、と?」


 少女の目が、すっと細くなった。
 見た目からは想像も付かないほどの力を肌で感じる。

 ……どのみち幻想郷の少女は、見た目があてにならないことこの上ない。


「それで、なにが狙いだ? ことと返答によっちゃ……」


 射貫くような視線のプレッシャーに、しかし彼は肩を竦めた。
 両手を挙げ、首を振る。


「そう警戒しないでくれよ。荒事は出来ないタチでね」
「はん。それがどこまで本当やら」
「すべて本当さ。ああ、自己紹介がまだだったな。僕は森近霖之助。今度魔法の森の近くで店を開くことにしてね。
 今日はその宣伝に来た、と言うわけさ」
「……宣伝?」


 予想外の言葉だったのだろう。
 彼女は目を丸くしたまま、固まってしまった。


「ああ、その通り。山の妖怪にも贔屓にしてもらおうかと思って来たんだ。来て損はさせない商品を集めるつもりだよ。
 ……これくらいかな。じゃあ、僕はこれで」
「いやいや待て待て」


 言うだけ意って踵を返した霖之助に、少女は慌てて追いすがる。
 その顔には、好奇心の笑みが浮かんでいた。


「本当にただの営業で来たっていうの? わざわざこんな所まで」
「ん? ああ。天狗なら誰でもよかったんだ。入ろうとしたら誰かは出てくるだろうと思ったよ」


 飄々と答える彼を、少女はしばらく呆然と見ていたが……。
 やがて事態が飲み込めると、思い切り吹き出した。


「あっはっは。いいねぇ。つまりお前さんは、自分の店への案内をしに来たわけなんだねん」
「まぁ、そうなるね」


 バシバシと彼の肩を叩きながら、彼女は心から笑う。
 よほどツボに入ったのだろう。

 少女はひとしきり笑うと、自信たっぷりに胸を張る。


「案内されっぱなしでは道案内役たる天狗の名折れ。せっかくだから、うちがこの山を案内してやるよん」
「いいのかい?」
「もちろん」


 それは魅力的な提案だった。
 一度妖怪の山には入りたいと思っていた。
 人間より遙かに高い技術を持っているらしい、天狗や河童の住む山を。


「しかし、そう簡単に部外者を入れていのかい? 聞いた話だと……」
「いいっていいって。だって……」


 彼女は霖之助に顔を近づけると、唇の端を吊り上げた。
 まるで、悪巧みをするかのように。


「うちは丁度暇しててね。たまにはいいじゃないの。こういう遊びも」









「ほっほー。外の世界の道具をねぇん」
「ああ、外の世界の文明は進んでいるからね。取り入れていけばもっと生活が豊かになると思うんだ。僕がこれからやるのは、そういう店だよ」
「つまり拾いものを売りつけると」
「……その一面があることを否定はしないよ。しかしそのままでは使えない道具を使える状態にしたり、道具を持つべき者の所へ導くのも立派な仕事だと思うがね」


 霖之助はそう言って、肩を竦めた。

 名も知らぬ天狗の少女とふたり、妖怪の山を歩く。
 空は晴れ渡っているが、標高が高いせいか風は涼しい。


「でも霧雨の親父さん……ああ、僕の師匠なんだけど。独立するとき、随分反対されたよ。でも霧雨道具店じゃ僕の能力は生かせないからね」
「手放したくなかったんじゃないのん?」
「だと嬉しいがね」


 ひとつため息を吐くと、首を振った。
 隣で少女が楽しそうな笑い声を上げる。

 山を案内すると提案してきた彼女だったが、空を飛べないという霖之助に合わせて歩くことにしたらしい。


「あそこの木には毎年秋に美味い実がなるんだよん。
 確か河童が保存してるはずだから、食べたいなら取ってくる」
「いや、今はいいよ。……いろんな意味で申し訳ないからね」


 霖之助は少女の案内で、妖怪の山を見て回っていた。
 妖怪の山は危険な場所だと言われていたのだが、他の妖怪にも妖精にも襲われる気配がない。
 天狗といるからだろうか。

 そんなことを考えていると……ふと彼女が、首を傾げた。


「それにしても変な能力だねん。目的がわかって使用法がわからないなんて」
「まあ、我ながらそう思わなくもないがね。これはこれでなかなかいいものだよ」
「そお?」


 目を丸くする少女に、霖之助は頷く。

 ……本当は自分の能力のことまで話すつもりはなかったのだが、豪放磊落な彼女は話し上手で、聞き上手だった。

 一緒に歩いているうちに、いろいろなことを話した気がする。
 ……普段喋らないことまで。


「どうやって使うのか、それを考えるのもひとつの楽しみだからね」
「あー、なるほど。わからないでもない。つまり極上の酒があって、美味いと言うことはわかってるのに、どうやって呑むのが一番美味い方法かわからないそんな感じだわねん」
「いや、酒と一緒にするのはどうだろう……」


 疑問符を浮かべる霖之助だったが、彼女の言っている意味はわかるのであながち間違っているとは言えない。

 ……かもしれない。
 だがしかし……。


「ほら、行くよん」
「ん?」


 首を捻りながら思考に沈む彼の手を、突然少女が取った。
 そのまま小走りに駆けると、一気に視界が開ける。


「到着ー! ここがうちの一番お気に入りの場所だよん」
「……ほう……」


 大瀑布を一望できる、見晴らしのいい場所だった。
 霖之助は思わず感嘆のため息を漏らす。

 なるほど、一番だというのも頷ける。


「ここにいるとすべてが見渡せる。そんな気がしてこないかい?
 サボってる天狗の様子も丸わかりだし。ほうらあそことあそこと……」
「……さすがにそこまで目は良くないが」


 苦笑を浮かべる霖之助。
 改めて眼下に広がる滝へと目を移す。

 水の落ちる轟音が遠くに聞こえる。
 いつの間にか結構な高さまで登ってきていたらしい。


「それにしても、ここの景色は気に入ったよ。なんというか……小さいことが気にならなくなるね」
「だろだろ~」


 少女は頷き、楽しそうに霖之助の背中を叩いた。

 麓の森はおろか、人里までが視界の中だ。

 ……なるほど、こういう景色が見られるのなら。
 空を飛んでみるのも、悪くないのかもしれない。


「もう少し上に行くと開けた場所があるんだけど。あと、あっちの雲の所まで行けば天界に……」
「……しかし詳しいね、さすがと言うべきか」
「ん? まあねん。自分の庭みたいなもんだしー」


 そう言って空を見上げる少女につられて、霖之助も天を仰いだ。
 だいぶん日が傾いてきたようだ。


「……おっと、いつの間にかこんな時間だね」
「ようやく宵の口じゃないか。今日はこれからだよー? まだあそこにも行ってないしそれに……」
「宵の口だから、だよ。これから妖怪の時間だからね」
「むぅ」


 妖怪ではない自分にはこれくらいの時間が丁度いいのだが。
 唇を尖らせる少女に、霖之助は肩を竦めた。


「また来るから、その時に案内頼むよ」
「絶対だからね。……開店したら遊びに行くよん」
「ああ、待ってるよ。その時は是非買い物していって行って欲しいものだね」
「むぅ、ちゃっかりしてる」


 ふたり、笑い合う。
 ……そこでふと、彼女がイタズラっぽい笑顔を浮かべた。


「でも、他では手に入らない道具を売るわけなのよね」
「まあね。捨てる神あらば拾う神あり。真に価値のある道具は、自然と持ち主を選ぶものさ」
「だったらさ。道具が正しい持ち主を選ぶなら、営業活動すること自体お門違いだったりして。だって、自分で選ぶんだからー」
「それも一理あるね……。ふむ、なるほど。そう言うのもあるのか……」
「ああいや、えっと」


 感銘を受けた様子でしきりに頷く霖之助に、思わず冷や汗を浮かべる。
 ……彼女にしてみればほんの冗談だったのだが。


「しかしお前さんがこうやってこなければ、うちらは会うことがなかったわけだわね。
 その点で言えば……やっぱりやるべきかな?」
「ああ、違いない」
「だろー。じゃあ麓まで……いや、魔法の森まで送ってあげるよん」
「……え?」


 そう言うと、少女はどこからともなく団扇を取り出した。
 すると風が霖之助の身体にまとわりつく。

 少女が団扇をひと振り。

 霖之助の身体がふわりと浮き上がり……。


「――!」


 風で聞き取れなかったが、彼女が何か言っていた。
 きっと別れの挨拶だろう。

 霖之助はなにか応えようとして……。

 目の前の景色が、ものすごい速さで遠ざかっていった。









 店の経営というのは難しいものである。

 説明してわかるという類の商品でもないし……説明できる商品ばかりを扱っているわけでもない。

 結果的には、あの天狗の言うとおり。

 来る客、興味を持った客の自由に商品を見させておき、客の欲しい商品があるときだけ紹介することにしていた。

 つまりはまあ、あまり宣伝の必要がないな、と思い始めたわけで。


 そんな事を思い出したせいだろうか。
 霖之助は久しぶりに山へと足を向けていた。


「一年ぶり……くらいかな?」


 山の境界。
 麓の森で、ひとり呟く。

 このあたりまではよく来るので、森にいる神々とは顔見知りになっていた。
 今ではたいてい顔パスだ。

 人間と妖怪のハーフである彼が、ほとんど襲われることがないと知っているのだろう。

 しかし。


「止まりなさい」
「ん?」


 妖怪の山へ足を踏み入れた瞬間、凛とした声が響く。
 初めて聞く声だ。

 ……もっとも、妖怪の山の知り合いなど、ひとりを除いていないのだが。


「ここは妖怪の山です。どのような用件があろうとも、すぐに立ち去りなさい」


 剣と盾を構えた、白い少女。
 厳しい表情で、霖之助の前に降り立つ。


「いや、僕は天狗に用があってきたんだが」
「天狗に……? 私にですか?」
「ああいや、天狗にと言うか……」


 向こうが名乗らなかったのであえて名を聞かなかったのだが。
 こんな時に後悔しても遅い。


「その場凌ぎを……。どうしても出て行かぬというのなら、排除するまでです!」


 剣を突きつけ、少女は言った。

 逃げるべきか。
 一瞬の迷い。


「待て」


 その時、霖之助の後ろから声が響いた。


「手出しは無用。そいつはオレの客だ」
「てっ……」


 白い天狗が、驚きの表情を浮かべる。
 視界に広がる、漆黒の翼。


「天魔様!」
「天魔……?」


 白い天狗の言葉に、霖之助は怪訝な表情を浮かべた、
 だって、彼女は……。


「……失礼しました」


 一礼して、少女は去っていく。
 霖之助は改めて……黒い天狗に視線を向けた。


「……久し振りだねん」


 彼女はバツが悪そうに振り向く。
 考えていることはわかっているのだろう。

 先ほどの威圧感はどこへやら。
 天魔と呼ばれた彼女は、困った表情を浮かべていた。


「どうして黙ってたんだい?」
「どうして、かぁ」


 うーん、と考える。
 ……だが、考えるまでもなかったのだろう。

 たったひとつのシンプルな答え。


「天狗の頭としてではなく……ただの妖怪としての友人が欲しかったんだよん」


 肩を落とし、少女は呟く。
 消沈した様子に……霖之助はため息を吐いた。


「しかし参ったね、どうも」


 彼の言葉に、残念そうな笑みを浮かべる天魔。
 しかし。


「天狗は挨拶代わりに樽を飲み干すほどの酒好きだという。だったら……」


 ハッと顔を上げる天魔と目を合わせ、霖之助は唇を吊り上げた。


「天魔と友人になるにはどれだけ呑めばいいのかな。
 ……いや、その必要はないか。だって……」


 飛べない霖之助に合わせて山歩きをした彼女は、既に友人と呼べるのだから。

 霖之助の言葉を聞いて……彼女は翼を震わせた。


「よしわかった。一緒に呑もうじゃないか」









「ごめんよう~」
「……絶対にもう天狗とは呑まない」


 いまだ二日酔いの抜けきらない頭で、霖之助は首を振った。

 まさか本当に樽で呑まされるとは思わなかった。
 普通に考えて無理だろう。物理的に。

 ……霖之助以上に呑んでいたはずの天魔は、顔色ひとつ変えていないのだが。


「だって、つい」
「ついじゃないよ。まったく。……まあ一度だからいいけど。相手に合せるのが友人だからね」


 だが相手を思い遣るのも友人である。
 ……だから。


「僕は静かに呑むのが好きなんだよ。今度呑むなら、是非そうしてもらいたいね」
「……もちろん!」


 ぱっと顔を輝かせる彼女に、霖之助はため息を吐いた。


 約束とは随分違う形になったが、まあいいだろう。

 もう少し酔いが抜けたら彼女に外の世界の道具の説明をしよう。
 そんなことを、考えながら。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

俺の天魔のイメージがガラッと変わりました、いい意味で
うん、これから天魔は17歳で決まりですな

No title

もう何と言ったらいいか・・・・・・本当に、ありがとうございます。
適当な事でも書き込んでみた甲斐がありました。

しかし、別の所で「道草さんが書き上げたら俺も書く!」みたいな事を言った直後だったり。
え、ええと・・・・・・とりあえず、ゴールデンウィークを目標に。
ともあれ、ありがとうございました。またいずれ出番がある事を期待させて頂きます。

No title

この発想は驚きです…!うぷろだで読んだ時は途中で途切れていたので、最後まで読めたのは嬉しいですねぇ。道草さんもAllenさんも絵師さんも、素敵な作品ごちそうさまでした!

No title

今日もにやにやさせて下さいまして、ありがとうございました!
これからの作品も、期待致します!

No title

天魔様かわいいよ天魔様

No title

はたてといい、天魔といい……今妖怪の山はお祭り騒ぎですねww

No title

さんじゅうななさい
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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