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手の平大の世界

咲夜さんはかなり天ry
改め、無自覚(?)両思いシリーズ。

レミリアはある意味オチ担当。そんなシリーズ。


霖之助 咲夜







 小気味よい音を立てて世界が切り取られる。
 手の中には静止した香霖堂の景色。

 霖之助は満足そうに、手にしたカメラを眺めていた。


「あら、写真ですか。
 まるでどこかの天狗みたいですね」


 突然、横から声がする。
 玄関のカウベルは鳴らなかったはずだ。


「いきなり現れないでくれ、といつも言ってるじゃないか。
 心臓に悪いよ、咲夜」
「それは失礼しました」


 紅魔館のメイドは、瀟洒な笑顔を浮かべる。
 そして……霖之助が持っているものを見て、首を傾げた。


「でもあまり見ない形ね。
 そんなカメラ、持ってたかしら?」
「ああ、これはデジタルカメラと言ってね。
 ただ、外の世界のデジタルカメラとは少し違うんだが……」


 そう言って、霖之助はデジタルカメラの下面をトントンとつつく。
 本来バッテリーが収められている空間には、河童の作った燃料が詰められていた。

 ……何で出来ているのかは、わからなかったが。


「少し前に知り合った烏天狗が、似たようなものを持っていてね。
 河童が作ったと聞いて、店にあった商品を改造してもらったのさ」
「烏天狗? 河童?」
「ああ。と言っても烏天狗と会ったことあるかは知らないけどね。
 河童の方はにとりだよ。先日山に行って……」
「……ふぅん」


 なにやら咲夜の反応が悪いことに疑問を抱きつつ、霖之助はカメラを机の上に置いた。
 背面には使ったことのボタンがまだまだ沢山並んでいる。
 同時に、同じだけの機能も。


「しかし説明書が無いからわかりにくいんだよ。
 試行錯誤している最中さ」


 貰うときに、機能の説明は受けた。
 だがいかんせん河童の技術はわかりにくい。
 おそらく自分たちのためのものなのだろう。
 基本的に、知らない人向けに使いやすくしようという考えがほとんど無いのだ。


「へぇ、ここに画面が出るのね」


 気が付けば、隣に咲夜が立っていた。
 覗き込むようにしてデジタルカメラを見つめている。


「ファインダーを覗く必要がないのが気楽でいいね。
 ……まぁ、先日文にそう言ったら随分不機嫌な様子で味気ない、とか言われたんだが」


 眼鏡をしているとファインダーを覗くのが大変だった。
 その点画面が大きいタイプは安心である。


「押すだけで写真を撮ることも、見ることも出来る。
 なかなか素晴らしい道具だと思うよ」
「なるほど、それがデジタルカメラなのね」


 霖之助の説明を、咲夜は感心したように聞いていた。

 ……密着した状態で。
 気付いていないのだろうか。


「あら? でも普通の写真みたいに紙で出てこないのかしら?」
「いやもちろん出すことも出来るよ。
 ただ、その機械は別売りらしくてね……」


 それに印刷費も別料金という。
 なんとちゃっかりしてることか。

 まあ、とはいえ。
 純粋な妖怪ほどではないが、人間より遙かに長い寿命を持つ霖之助だ。
 ずっと残しておくほどの想い出など、そうそうあるわけではない。

 消えたら消えた、その時である。


「それにしても、どうして写真を始めようと思ったのかしら?
 もしかして、写真持ちと何かあったとか……」
「何かって、なんだい?
 単純に興味からだよ。
 それにこうして写真で見るのも違う風景に見えて悪くないな、と思ってね。
 まるで時間が止まったみたいじゃないか」
「あら、じゃあお揃いね」
「お揃い、ねぇ」


 なにやら嬉しそうな声を上げる咲夜に、霖之助は苦笑を浮かべた。
 まあ、間違ってはいない気もするが。


「じゃあお揃いがてら、被写体にでもなってもらおうか」
「へっ」


 何となく聞いてみただけだったのだが……。
 咲夜は完全に固まってしまった。

 この時になって密着していたことにも気付いたらしく、顔を真っ赤にしていそいそと身体を離す。


「……まあ、嫌ならいいさ」
「いいいいいえ、嫌なんかじゃなくて。
 むしろ構わないっていうか。
 でも霖之助さんが私の写真で……その……」


 彼女は口をぱくぱくと開け……。


「……コホン」


 ひとつ、咳払い。

 ……一体なにを口走るつもりだったのだろう。


「でも私だけ撮られるってのも不公平よね。
 せっかくだから一緒に写りましょう」
「一緒に? 僕とかい?」
「ええ。
 それとも、そういうことはできないのかしら、このカメラ」
「いや、確かタイマーがあったはずだが……」


 いつの間にか、一緒に撮る流れになっていた。
 特に断る理由もないので、霖之助はカメラのボタンを探る。


「このボタンだったかな」


 設定することしばし。

 こういう時、画面が引き出せるタイプだったら楽だったのかもしれない。
 そんな事を思う。


「じゃあ5秒後に、シャッターが切れるはずだよ」
「はい」


 カウンターに座る霖之助の横に、咲夜は付き添うように立つ。
 まるで主人に仕えるメイドの姿のようで……何となく、むず痒い。

 程なくして軽快なシャッター音が響く。


「……撮れたんですか?」
「ああ。見てみるかい?」


 霖之助はカメラを手に取るとメモリーを呼び出した。
 にとりに教わった通りに操作していく。


「なるほど、そうやって操作するのね」


 次々と呼び出される写真に、咲夜は感嘆の声を上げる。
 霖之助が撮った写真のあとに、ふたりで撮った写真。


「どうだい、上手く撮れてるだろう?」
「ええ、そうね」


 にっこりと微笑む咲夜に、霖之助は違和感を覚えた。


「それでは私はこれで。
 また来ますわ、霖之助さん」
「あ、ああ」


 その感覚が何かわからないまま……咲夜の背中を見送る。


「……なにしに来たんだ?」


 結局彼女は何も買わなかった。
 お使いだった……というわけではないのだろうか。


「うん……?」


 霖之助はカメラを操作しながら、ふと首を傾げた。

 いつの間にか、メモリーが増えている。
 撮った覚えのない写真。


「やれやれ……」


 時を止めて、自分で撮ったのだろうか。
 柔らかな笑顔で微笑む……咲夜の写真が、そこにあった。


「……印刷でも、頼みに行くかな」


 別料金だが、仕方ない。
 それに……。


 この写真は、永く残すのも悪くない。
 そう、考えていた。









「で?」
「いつも通りね」


 ぼすん、とレミリアはベッドに腰掛けた。
 むぎゅ、とシーツの中から声がする。

 ……横で聞いていたパチュリーが、少しだけ不満そうな顔。


「いつも通りといっても、パターンがいろいろだからね。
 結果はひとつだけど」
「そうね……」


 レミリアの言葉に、パチュリーは持っていた本……日誌帳を開く。

 かいつまんで説明すると、こうだ。


「写真を残してきたらしいんだけどね」
「うん」
「使い方よく知らない上に自分撮りだからなかなか上手く行かなくて、何度か失敗したらしいのよ」
「まぁ、河童のカメラだし……わからないでもないわね」
「で、あとから気付いたらしいのよ」
「……なにが」
「失敗した写真もそのまま残してきたこと」
「…………」


 レミリアは大きくため息を吐いた。


「私のお使いすっぽかしてまでやって来た結果が、それ?」
「別にいいでしょ、炭酸ジュースなんて買い忘れても」
「そうですよ、歯が溶けますよ」
「いや、小悪魔は黙ってて」
「はい……」


 シュンとうなだれる小悪魔をよそに、レミリアはぽんぽんとベッドを叩いた。

 シーツの下で、涙で濡れているはずの使用人。
 ……しかも、くだらない理由で。


「それともうひとつ」
「まだあるの?」


 続く言葉に、レミリアは疲れた表情を浮かべる。
 もうお腹いっぱいなのに、これ以上あるというのか。


「郵送されてきた写真をどうしたらいいか困ってるのよ」
「……うん? いやいや」


 レミリアはその言葉に首を振った。
 それではあまりにも、あまりにも。


「……で、写真がなんだって?」
「だから言ったじゃない。
 咲夜と店主のツーショット写真が送られてきたんだって」
「うん、それは聞いた」
「……ああ、そう。
 ついでに写真立ても贈られてきたのよね。白いやつ」


 なるほど、パチュリーの言葉通り。
 レミリアが机の上を見ると、ひとつの写真立てが飾られていた。

 なかなか上品な品だ。
 意外といい目利きなのかもしれない。

 ……いや、古道具屋の店主なのだから当然かもしれないが。


「それで?」
「写真を飾るためにあるんでしょ、写真立てって」
「そうよね」
「贈ってきたって事は飾れってことよね」
「そうなるわね」


 何を当たり前のことを言うんだろうか。
 レミリアは呆れた顔で、魔法使いを見る。

 そんな親友の表情にパチュリーは首を振り、口を開いた。


「ついでに、向こうも同じ写真を飾ったって手紙に書いてあったらしいのよね」
「まあ、写真だしね」
「それって恋人同士みたいよね、って言ったら咲夜は照れてるのよ」
「……それで?」
「それだけ」


 なるほど、自分が間違っていた、とレミリアは思った。
 呆れた顔を向けるのは、親友にではない。

 このメイドに対して、だ。

 涙に濡れているなんてとんでもない。
 ……自分の時間を返して欲しい。


「……何を当たり前のことを言うのかしらね」


 まったく……。

 さっさとくっつけ。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

乙女な咲夜さんを読むと心がほっこりしてきます。いつかはくっついて欲しいけど、今の二人の距離感をもう少しだけ見ていたくもありますね。

停まった時間の中でも使えるカメラ…、河童の科学力は(略)。
それはともかくとして、毎回自分の行動を後で恥ずかしがる咲夜さんと、それに振り回されるお嬢様が微笑ましいです。

No title

ここの咲夜さんは本当に可愛いなぁ!
本当に無自覚両想いなのかと疑いたくなる甘さです。
道草さんと拝さんは咲霖の道に容赦なく引き込んでくるから油断ならないですぜ。

突然ですが、ブログを作ってみました。
とりあえずまだ何もないような状態ですが、リンクさせて頂いても大丈夫でしょうか?

あと、天魔様をシリーズ化しようかと思っているのですが、
紹介用ページで天魔様のイラストを使わせて頂いても大丈夫ですか?

No title

尊敬の念をこの一言に込める・・・さっさとくっつけwww

No title

はああああああああああああっ!!さっさとくっつけ!!

う~~~~~~~~~
道草さんとこの咲夜さんは可愛いなぁもう…!
と、失礼…初めまして初コメントです、どうぞよろしく。
他の作品も拝見させて頂きました。日々楽しみにしてますので頑張って下さい。

ぁ…忘れてた…
くっつけ!くっつけ!!

No title

ああ、全くもって・・・・・さっさとくっつけこのバカップルwww
最後の悶える咲夜さんがすごくかわいい・・・・・

No title

いつもは瀟洒な咲夜さんも、やっぱり恋する乙女なんですね。
…まあ、この無自覚咲夜さんシリーズは瀟洒とはかけ離れてますがw
ああんもぅ、さっさとくっつけ。

No title

続きがきになりますの~><
さっさとくっつけ!とも思いますが
この2人の関係もまだ見ときたいですよね~
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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