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鵺の呼び声ぷち 12

ぬえ霖紅魔郷編その5。

久し振りに書いた気がします。
ぬえ霖はもっと増えるといいと思うよ!


霖之助 ぬえ









「どう、すごいでしょう」


 ふふん、とぬえは胸を張った。
 首のリボンが動きに合わせてふわりと揺れる。


「ああ、そうだね」


 霖之助はこめかみを押さえながら、渋々と頷く。
 確かに彼女の言うとおりだ。

 言うとおりなのだが……。


「すごい、というか。
 どうしてこういう発想になるのか、実に興味深い」
「でしょう?」


 その言葉が嬉しかったようで、ぬえは羽根を揺らめかせる。

 ……褒めたつもりは、無かったのだが。


「私、発見したのよ。
 美味しいものに美味しいものを合わせるとやっぱり美味しいものになるんだって」
「うん、なるほど。
 すぐに考え直したほうがいい」


 それはとても危険な思想だった。
 霖之助の知り合いにも、その考えに取り憑かれ、大惨事を引き起こした者がいる。

 ……まあ彼女の場合、基本的な料理スキルを持っていなかったせいもあるが。
 その時のことを話題にしたせいで、幻想郷の歴史書に手酷く書かれてしまった。
 記憶だけを頼りに料理をするからそんなことになるというのに。


「大丈夫だって。
 ちゃんと味見もしてるもの」


 そんな霖之助の言葉も、ぬえには届かないらしい。

 目の前にあるのは、その結果だった。
 幸いにして、おかしなものではないようだが……。


「カレーってまさに正体不明よね。
 隠し味がたくさんあるし、家ごとに味が違うって言うし。
 とてもいいと思うの」
「だからって、カレーラーメンになる理由が僕にはわからないんだが」


 カウンターの上で湯気を立てるどんぶりに、霖之助は苦笑を浮かべた。


「えー、せっかく紅魔館まで行って作り方習ってきたのにー」
「……咲夜か」


 嬉々としてぬえに料理を教えるメイドの姿が思い浮かんだ。
 あの瀟洒なメイドは楽しんでいる感がある。

 ……どうせなら止めてくれればいいものを。


「美鈴にも習ったよ。
 えっとね、料理の最高の調味料はあぃ……あ……」


 言いかけて……ぬえは口ごもった。
 顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を振る。


「なんでもない!
 早く食べないと伸びちゃうよ」
「あ、ああ」


 ぬえの剣幕に圧されるようにして箸を取る。
 ラーメンの汁が飛び散らないよう注意して、一口。


「……美味い。意外と」
「一言多いよー」


 ぬえは唇を尖らせたが、その言葉に気を良くしたようで、笑顔を浮かべながら箸を持つ。


「ああ、すまない。
 いや、しかし……」


 美味しいものに美味しいものを、との意見は間違いでもないのかもしれない。
 カレーだから、かもしれないが。


「……ごちそうさま」


 なんだかんだで完食し、箸を置く霖之助。
 腹もふくれると、何となく落ち着いてきた。

 そこで改めて首を傾げる。
 そもそも、どうして店内でカレーラーメンを食べているのだろうか、と。


「聞かれたので、教えたのですよ」


 突然の声に振り向くと、すぐ側にメイドが立っていた。


「……咲夜か。
 来てくれるのはありがたいが、入り口から入ってきてくれないか」
「あ、この前はありがとー」


 まだ食べていたぬえは、どんぶりから顔を上げ、咲夜に笑顔を向ける。


「ちゃんと入り口から入りましたわ。時を止めて、ですけど。
 ……それにしても、奇妙な光景ですね。
 いつからここはカレーハウスになったのかしら」
「何の因果か、ね。
 幸いにして、いろいろな消臭剤を試せる機会を得たわけではあるが」


 カレーの匂い漂う古道具屋などというイメージが付いてしまっては沽券に関わる。
 客足が遠のく事態になりかねない。

 ……まあ、タイミングよく来る客がいれば、の話だが。


「そう言えば、君の仕業らしいね」
「とんでもない。
 私がお教えしたのは美味しいカレーの作り方ですよ」


 霖之助の視線に、首を振る咲夜。
 その笑顔は、いつも通り完璧だった。


「お嬢様もお好きなんですよ、カレー」
「なるほどね」


 今日のカレーが甘口だった理由に、霖之助は苦笑を漏らした。
 とはいえ、カレーが美味しかったのも頷ける。


「一生懸命練習してましたよ。
 よっぽど美味しいものを作ってあげたかったんでしょうね」
「ん?」


 咲夜の言葉は、聞き逃してしまった。
 聞き逃すタイミングで彼女が呟いたのかもしれない。


「ごちそうさまー」
「おいしかったよ、ありがとう、ぬえ」
「えへへ」


 ぬえはどんぶりを重ねながら、照れた笑顔を浮かべた。

 洗うのは霖之助の仕事だ。
 いつの間にか、そういう役割分担になっていた。


「今度は別の料理にチャレンジしてみようと思うのよ。
 カレーチャーハンとかオムカレーとかおでんカレーとか。
 そうだ、マーボーとカレーを合わせてみるのもいいかも」
「あら、それなら基本に立ち返ってカレーパンとか如何ですか?
 本読みながらでも食べられますし」
「いや、たまには別の料理を食べたいんだが」


 確かに美味いことは違いないが……。
 自分で作ればいいのだが、最近では何となくぬえに任せていた。

 彼女が楽しそうに料理をするからかもしれない。


「それはいいことを聞きました」


 相変わらずの完璧な笑顔で、咲夜が微笑んだ。
 そして懐から何かを取り出し、手渡してくる。

 何となく悪い予感がしたが、無視するわけにもいかないだろう。


「なんだい? 手紙……?」
「ええ、お茶会のお誘いですわ」
「紅魔館でかい?
 しかし、騒がしいのは……」
「あら、今回招待するのはあなたたちおふたりだけですよ。
 もっとも……」


 咲夜はぬえと霖之助を見比べ、肩を竦めた。


「少々騒がしくは、なるでしょうけどね」

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非公開コメント

カレーラーメンや麻婆って結構美味しいですよね。
そして気持ちを自覚した(?)ぬえちゃんの可愛いこと可愛いこと。

No title

耳まで真っ赤になったちびキャラ状態のぬえの姿が一瞬で脳内に浮かびました。しかし道草さんの書くぬえが可愛らしくてしょうがない。相方さんには是非、膝抱っことか頭なでなでの絵を描いていただきたいものです。

No title

ぬーえちゃーん、霖の字は少し贅沢すぎる!
ちくしょうぬえぬえの手料理が食えるとか・・・羨ましい

No title

今更だけどマーボーカレーだと色々と全回復しそうだ.
テイルズ的な意味でw

カレーにチキンカレー味のうまい棒いれて、メッチャ旨かったの思い出した!
あと、続き気になるなぁ~。

続き………はよう……………
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