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雲に巻かれて

一輪さん
頭巾の下の髪型を妄想してみました。相方が。

ガーターベルト装備
そして一輪さんは喫煙者。
一輪さんにはガーターベルトが似合うという訴えを続けていきたいと思います。

というわけで一輪×霖之助。
一霖はもっと増えるといい。

霖之助 一輪









「一発芸、煙管から出てくる雲山!」


 香霖堂の縁側で、一輪は声を上げた。
 秋空は天高く、白い雲がぷかぷかと浮いている。


「子供に大人気なんですよ、これ」
「だろうね。何よりわかりやすいことこの上ない」


 霖之助はひとつ頷くと、肩を竦めた。
 煙管を口にくわえ、ゆっくりと煙を吸い込む。

 店内で煙を出すといろいろ困るため、煙管は縁側で吸うことに決めていた。
 それに店には水煙草があるので、特に問題はない。


「惜しむらくは、その雲山がいないことかな」
「今回は気分だけ、ということで」


 彼女が香霖堂に来るのは初めてではない、
 しかしいつも一緒の雲山がいないことに、少しだけ違和感を憶えた。


「で、その芸をするために煙管を持ってるわけか」
「ええ。そう言う建前でですけど」


 そう言って、一輪は煙管を燻らせた。
 彼女の唇から吐き出された煙は、ゆっくりと空に消えていく。


「最近厳しいんですよ。人里で喫煙者に対する風当たりが」
「ああ、そうらしいね。聞いてるよ」
「全く、喫煙者の肩身が狭くて困ります」
「……とても困っているようには見えないが」
「ここは人里じゃないですからね。
 羽根を伸ばし放題というやつです」


 ぷかり、ぷかり。
 霖之助と一輪の煙が交互に溶け、混ざる。

 たまに彼女はこうやって、香霖堂に煙草をふかしに来ていた。
 ナズーリンと縁があるようだったし、何より気が合ったので、霖之助は特に何も言わず彼女を迎え入れた。


「それにここなら、煙草の葉にも困りませんし」
「まあ、それなりに在庫はあるからね。
 同好の士には安くしておくよ」


 たまに買い物もしてくれるわけで。

 煙草は身体に悪いもの、と言う風潮は結構前から広まっていた。
 決定的なのは、天狗の山に神社が出来てからだろう。

 新しく来た山の神は、禁煙と分煙を広めてきた。
 そして幸か不幸か、それはあっさりと幻想郷に受け入れられた。

 早苗は飲酒の年齢もなんとかしたかったようだが……。
 そちらは浸透しなかったようだ。


「身体に悪いといっても、妖怪にはあまり関係のない話なんですが。
 むしろ我慢するほうが身体に悪いですよ」
「確かに、妖怪にとってはそうかもしれないな」
「ま、そこまで重度に依存してるわけではないんですけど」
「何事もほどほど、嗜む程度が一番だよ」


 霖之助はため息とともに煙を吐き出した。
 煙管を灰吹きのふちで軽く叩き、灰を落とす。

 そして新しい葉を入れ……呟いた。


「……霊夢は煙草の煙が苦手みたいでね。
 煙を吸ったあとは、いつも文句を言われたよ」


 懐かしそうに、眼を細めて。
 一輪はそんな彼の言葉を、黙って聞いていた。


「魔理沙は嫌いじゃないみたいだったな。
 よくおじさん臭い、とは言われたがね」
「なるほど。
 こっちはこっちで大変なんですね」
「まあ、ね」


 そう言えば、あの時吸っていた銘柄は霧雨の親父さんと同じものだった気がする。
 親父さんと重ねていたのだろうか。
 ……考えても、仕方ないのだが。

 吸う場所を分けてからはそんな事もほとんど無くなった。
 少しだけ、名残惜しく思う気持ちはあるかもしれない。


「そう言う君は、寺じゃ吸えないのかい?」
「寺のみんなも吸いませんし。
 それに人間の子供も来ますから吸うわけにもいかないんですよね」


 だからこうやって、わざわざ香霖堂まで来ているのだろう。
 とはいえ、香霖堂は喫煙場所ではないのだが。


「しかし煙のにおいが付くんじゃないか?」
「雲山を纏えば解決ですよ」
「それは便利だ」


 雲山は雲、つまり水の塊である。
 消臭くらいはお手の物なのだろう。


「別に隠してるわけじゃないですけどね。
 だからと言ってあまりおおっぴらにやるものでもないですから」
「ん? ああ」


 そこでふと、霖之助は疑問を抱いた。


「それにしても、尼さんは煙草を吸っていいんだったかな」


 煙草は嗜好品であり、贅沢品である。
 質素を旨とする修行僧には如何なものだろうか。

 しかし、彼女の答えは簡潔だった。


「別にいいんですよ。
 こういう体裁を取ってますけど、仏教徒ってわけじゃないですから」
「ふむ?」
「私たちが崇拝してるのは毘沙門天ではなく姐さんですからね」
「なるほど」
「熱心なのは星と……ナズーリンくらいでしょうか」


 そう言って、一輪は微笑んだ。
 つられて霖之助も笑う。

 要領のいいことだ、と思いながら。


「私のようなしがない入道使いは、気ままに過ごすくらいでちょうどいいんです」
「こうやって煙管を吹かしながら、かい?」


 答えの代わりに、一輪は煙を吐き出した。
 その行く末を見届け……霖之助は口を開く。


「ああ、入道といえば……彼はどこに行ったのかな。
 今日は姿が見えないんだが」


 彼、と言う呼称が正しいかはわからなかったが、一輪には伝わったらしい。


「今頃人里で子供に囲まれてるんじゃないですかね。
 さっきも言いましたが、雲山は人気なんですよ。人里で。
 さしずめ子供の信仰集めって所ですね」


 となると、最初に見せた芸じゃなくて単に雲山が人気なだけではないだろうか。
 ……思ったが、言わないでおく。


「君はやらなくていいのかい?」
「私はほら、顔繋ぎですよ。
 店主さんにはナズーリンが世話になったみたいですし、姐さんも興味ありそうだし」
「人里は雲山に任せて、か」
「適材適所、ということで」


 一輪はそう言うと、霖之助に視線を投げた。

 自分は仕事中だと言いたいらしい。
 ……本当に、要領のいいことだ。


「僕にはサボって煙草を吸いに来ているようにしか見えないんだがね」
「あくまでついでですよ。
 営業活動とはひたすら顔を売っておくことだって、人里の店主が」
「物は言いようだな」


 霖之助は肩を竦めた。
 確かに理にはかなっている。
 まずは友達から、と言ったところだろうか。


「じゃあ私がサボりじゃないことを証明してくれるために、いつ寺に来てくれます?」
「そのうち、かな」


 カン、と霖之助は煙管の灰を落とした。
 この辺は真面目な仕事ぶり……と言えるのかもしれない。


「じゃあ私もその気になるまで通いますよ。
 それまでよろしくお願いします」


 前言撤回。
 なんとも気の長い話である。

 霖之助が人間と妖怪のハーフと知っても、彼女は態度を変えることをしなかった。
 姐さんに教えたら喜ぶかしら、と呟いたきりである。

 それから変わらず、たまに来ては煙草を吸う。
 それだけの関係だった。

 ……とても居心地のいい関係だと思う。


「まるで雲みたいだね、君は」
「……それは私が入道使いだからですか?」
「いいや」


 霖之助は空を見上げた。

 雲ひとつ無い晴天も気持ちのいいものだが、やはり空の表情と言ったら雲だろう。
 曇りや雨がないと、面白みがないではないか。


「ムードメーカというのかな。
 何となく掴み所がないが……不可欠な存在だ。
 好意に値するね」
「私も、あなたみたいな人好きですよ」


 霖之助の言葉に答えるように、一輪は口を開く。


「飄々として、好きなことやってて。
 なのにたまに子供っぽいところとかあって。
 すごく自由ですよね。まるで雲みたい」


 ふたりの言葉は煙のようにゆっくりと吐き出され、染みこんでいく。
 彼女の言葉を聞いて……霖之助は大きく息を吐き出した。


「僕は五行で言うところの水だからね。
 あながち間違いでもないかな」
「すると似たもの同士ですか。
 同好の士ですものね」
「……なんだか意味は違う気がするけどね」


 笑顔を浮かべる一輪に、霖之助は苦笑を漏らす。


「ついでに言えば、何か買っていってくれると嬉しいんだがね」
「好感度急上昇ですか」
「天井知らずさ」


 そう言うと、霖之助は空になっていたお茶を注ぎ足した。
 自分と、一輪の分を。


「そうですね、そろそろ新しい煙管が欲しかったんですよね」


 一輪は思い出したように、持っていた煙管を掲げてみせた。
 もうかなりの年代物に見える。


「ほう? 今の持っているのも、なかなかの値打ち物のようだが」
「これにも愛着はあるんですが、たまに気分を変えてみたいので」
「なるほど」


 その気持ちはよくわかる。
 かくいう霖之助も、何本か煙管を持っているわけで。


「じゃあ、うちの商品でも見てみるかい?
 煙管の在庫はあったはずだが……」
「いえ、それには及びませんよ」


 立ち上がりかけた霖之助を、一輪は静止した。
 訝しむ彼の口元に、そっと顔を寄せる。


「実はもう、目処をつけてますので」


 次の瞬間、霖之助がくわえていた煙管は一輪の手の中にあった。
 彼女はその煙管に口を付け、ゆっくりと煙を吸い込む。

 一服したところで……笑顔で言った。


「これ、おいくらですか?」


 霖之助は先ほどまで自分が使っていた煙管を苦笑気味に眺めつつ、肩を竦める。
 売り物じゃないと言うのは簡単だった。

 しかし。


「……それはお気に入りでね。
 少々値が張るが、構わないかな」
「ええ。払えそうになければ返しますから」


 何となく、彼女になら売ってもいいかもしれないと、そう考えていた。

 長い付き合いになりそうだ、と思いながら。

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No title

雲みたいに飄々とした一輪さん、香霖堂にいそうでいなかった人材ですね。
雲山を里にやったのも二人きりになりたかったから…じゃ無くて単に楽したかっただけに見えますね(笑)。

No title

個人的に一輪さんはモジャ子だと思っている

飄々としていて煙草の似合うお姉さんとか大好きです。

No title

キセルから雲山をだして戦うって
なんかカッコよくね
そんなキャラをどこかで見たような

No title

いいですねー、こういうの。
僕自身は全く吸わないんですが、吸うことがあったらキセルがいいですねー。
ちなみに、なぜか「キセルが似合いそう」と言われたことがありますw

No title

道草さんの書くキャラクターは、皆いい味が出てるな~w
面白かったです。乙。
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
リンクはフリーですが、ご一報いただけたら喜びます。

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