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愉快な命蓮寺一家01

一条さんが東方で1時間SSやろうぜ! って言ってので参加してみました。

お題は
・秋雨
・読書
・意地っ張り
だそうです。

というわけで1時間で書いてみました。
いつも通り短いですが。


霖之助 白蓮







「霖之助さん、考えてくれましたか?」


 店に来るなり、彼女……白蓮はそう尋ねてきた。

 魔法使いのローブなのだろうか。
 黒いスカートがふわりと揺れる。


「寺のパンフレットに、ねぇ」


 彼女が聞いているのは、先日頼まれた案件についてだ。

 霖之助は机の上にデザイン画を眺めながら、首を捻る。
 曰く、新しく人里に建てた白蓮たちの寺、その紹介用の冊子に出演して欲しいというものだった。


「妖怪のための寺だろう? 僕が写ってもいいのかな」
「あら、貴方だからこそ頼んでるんですよ?
 様々な種族がいてこその、私の理想ですから」
「……それで僕、か」


 確かに人間と妖怪のハーフたる霖之助が一緒に写れば、賑やかしにはなるだろう。
 賑やかしにしかならないと思うが。


「それに店の宣伝にもなりますし。
 ……失礼ですが、あまり流行っているようには見受けられないので」
「秋雨のせいだよ」


 そう言って、霖之助は視線を店の外に向けた。

 もう数日間の間ずっと、雨が降り続いている。
 梅雨とは違い、雨脚が弱いのが救いだが。

 そう言えば白蓮が店にやって来た時、雨具などを持っていないにも関わらず少しも濡れた様子はなかった。
 魔法の力だろうか。

 ……彼女のあとをずっと小傘が付いてきたようだったが。
 傘の出番があると期待していたのだろう。

 全く濡れずに店まで白蓮が到着すると、なんとも悲しそうな顔をしてどこかに去っていった。

 ……少しだけ、同情してしまう。

 それはともかく。


「確かに、雨が降ると客足が遠のくとは言いますね。」
「だろう?
 それに晴耕雨読という言葉もあってね。
 晴れた日に働き、雨の日は読書をするに限るのさ」
「ええ、そうですね。
 素敵だと思います」


 白蓮はそう言うと、たおやかに微笑む。
 笑顔のまま……付け足した。


「でも、お客さんがいないことには変わりありませんよね?」
「……そんなことはない。
 昨日だって客は来たよ。いや、魔理沙だから客じゃないんだが……」


 なにやら呟く霖之助に、彼女はため息を吐いた。
 楽しそうに。


「……意地っ張り」
「何か言ったかい?」
「いえ」


 白蓮はゆっくりと首を振る。
 霖之助を見る目がまるで孫を見るような視線なのが気に掛かるが。


「まあ宣伝をしてくれると言うのなら、十分利にはなるかな。
 ただ写真に写るだけでいいみたいだし……」
「じゃあ、受けてくれるんですか?」
「ああ、構わないよ」


 霖之助は頷き、机の上のパンフレットを折りたたんだ。
 白蓮に手渡しながら、続ける。


「君たちはうちの上得意様になりそうだし。
 縁を結んでおくのも商人としての活動というわけさ」
「こちらも願ったり叶ったりですわ。
 星とナズーリンも、なにやらお世話になったみたいですし。
 一度、しっかりとお礼をしたかったんですよ」
「ああ、彼女たちか」


 宝塔の一件以来、ナズーリンはよく店に現れるようになっていた。
 白蓮はきっと彼女から霖之助の話を聞いたのだろう。


「では早速向かいましょう」
「今からかい?」
「ええ。善は急げと言いますし。
 実は知り合いの新聞記者が寺に待機してるんですよ」


 新聞記者と聞いて、毎度お馴染みな烏天狗の顔が思い浮かぶ。

 まあ彼女のことだ。
 霖之助が行かなくてもスクープを探して寺に張り付いていたのだろうが。


「しかし雨が降っているが、撮影は問題無いのかい?」
「大丈夫ですよ。
 室内で撮ればいいだけですから」
「なるほど……仕方ないな」


 そこまでされれば行かないわけにはいかないだろう。
 出かける準備をしようとしたところで……ふと気が付いた。


「……おや?」


 傘立てから傘の姿が消えている。

 少し前までは、ビニール製の傘が多く刺さっていたのだが。
 そう言えば小傘が何かしていた気がするが……。

 具体的には、自分が入るスペースを確保しようとしていたようだが。
 その時に、元からあった傘をどこかにやったのだろう。


「どうしたんですか?」
「いや、傘がちょっとね……」


 無事な物は古びた番傘がひとつ。
 穴などは空いていないため、使用には問題無いようだが……。


「仕方ない、これで行こう」


 戸締まりを済ませ、外に出る。
 ……自分でやったわりに、こういう時に小傘が現れないのはなんというか。

 だからこそ妖怪になるのかもしれないが。


「あら、私は魔法があるので大丈夫ですよ?」
「そう言うわけにもいかないだろう?」


 歩き出そうとした白蓮は、差し出された傘を見て目を丸くする。


「女性を濡らして歩くわけにもいかないからね。
 里に着いたら、霧雨の親父さんにどやされてしまうよ」
「女性? 私がですか?」
「……君以外に誰がいるんだい」


 霖之助は呆れたため息を漏らした。
 ……肩が少し濡れるが、構わないだろう。


「……そうですね。
 若返った身とはいえ……悪くない気分です」


 白蓮は霖之助に身を寄せ、微笑んだ。
 今までとは少しだけ、違う笑みを。


「あ、貴方の肩が濡れてしまいますわ」
「大丈夫だよ、これくらい」
「そんな……そうですわ」


 首を振る霖之助に、困った表情を浮かべる白蓮。
 そして何か思いついたように、ぱっと笑顔を輝かせた。


「こうすれば、ふたりとも濡れませんね」
「……確かにね」


 霖之助と腕を組み、彼女は間近で顔を見上げる。
 彼女の柔らかな視線に、霖之助は困ったように肩を竦める。



 ――そして里への道を、ふたりゆっくりと歩き出した。

 人間と妖怪、そして半妖が一緒になるために。

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No title

やだこの白蓮さんカワイイ。ナチュラルに相合い傘に持ち込むとは…やりおる…!そして「一緒になる」を一瞬「夫婦(いっしょ)になる」と解釈した私は間違いなく読解力が狂ってるのでしょう。
つーか小傘ちゃん…!(´;ω;`)ブワッ

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