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愉快な命蓮寺一家04

突発的に1時間SSやろうぜ! って話だったので。

お題は
・寒気
・果実
・渋
・遠景
だそうです。

というわけで1時間ちょいで書いてみました。
いつも通りの白霖。なんだか命蓮寺オールキャラって感じですけど。


霖之助 白蓮






「……完成だ」


 だんだんと本格的な寒気が流れ込んでくる頃、霖之助は大工道具片手に汗を拭った。

 掘り炬燵の完成である。

 4辺合計で10人近く座れる代物だ。
 まさに会心の作だった。


「立派なのができましたね」
「ああ。と言っても君たちのおかげでもあるんだが」


 白蓮からお茶を受け取りながら、霖之助は頷く。
 命蓮寺に炬燵を作って欲しい、と依頼を受けたのがしばらく前の事。

 ひとりでは到底無理な工事だったが、さすが妖怪と言うべきか。
 人間とは比べものにならない膂力で、重たい木材もひょいと運んでくれたので助かったのだ。

 道具を片付け、雲山にこたつ布団をかけてもらい、天板を乗せる。
 あとは……。


「今、ムラサが炭を持ってきます」
「じゃあ布団はまくっておいたほうがいいかな」


 だが、真の完成にはまだまだ遠い。
 使われて初めて、道具となりうるのだから。


「全く、私は反対したんだがね」


 隣の部屋からやって来たナズーリンはしかし、苦い顔で首を振った。


「寺にこんな堕落の象徴を置くべきではないよ」
「誘惑に打ち勝つのも修行ですよ」
「それはそうだがね」


 彼女の背後からかけられた星の言葉に、ため息。


「うちのご主人様が炬燵の魔力に打ち勝てるとは到底思えないな」
「うぅ、ひどいですよナズーリン」


 半泣きになる星だったが……。
 霖之助はナズーリンの言葉を否定できる気がしなかった。

 ねこは炬燵で丸くなる。
 星は……どうなのだろうか。

 疑問は尽きないが、すぐにわかるだろう。


「そっちは終わったのかい?」
「ああ。全て滞りなく、とは言わないがね」


 歯切れの悪いナズーリンに、霖之助は首を傾げる。


「何かあったのか?」
「何、いつものことさ。
 ぬえに妨害されたり、ご主人様がミスをしただけで」
「……お恥ずかしいです……」


 つまりはいつものことということか。
 苦笑いを浮かべていると、足音と共に声が降ってきた。


「霖之助ー、見て見てー」


 渋柿を手に、ぬえが駆けてくる。

 手には長く切れた柿の皮。
 切れずに長く剥けたのが嬉しいらしい。


「なんだ、上手に剥けたじゃないか」
「でしょー。えへへ」
「ぬえがまともにやったのはそのひとつくらいだけどね」


 ほつりと呟いたナズーリンの言葉を、あえて聞かなかった事にする。
 つまりほとんど彼女が処理したのだろう。
 お疲れ様、と霖之助はこっそり目配せした。


「ヘタのところまで剥かないようにしてくれよ」
「わかってるよーん」
「あとは湯通しして縛って、吊しておけば食べられるようになるさ」
「どれくらいかかるの?」
「1ヶ月ほどかな」
「長ーい」
「そういうものだよ」


 唇を尖らせる彼女に、肩を竦める。


「はいちょっと通りますよ。
 熱いから気をつけて」


 村紗がスコップの上に赤くなった炭を乗せ、そろりそろりと歩いてきた。
 灰の上に置き、炬燵布団を被せる。

 こまめに換気をする必要があるが、それだけの価値がこれにはあった。


「いい時間ですから、休憩しましょうか。
 星達も、一段落付いたようですし」
「あ、じゃああちらを少し片付けてきますね」
「これはどうしたらいいの?」
「捨てたまえ」
「がーん」


 ナズーリンの言葉に、ぬえが愕然とした表情を浮かべる。
 村紗は笑いながらぬえから渋柿と皮を受け取った。


「今こそ修行の成果を見せるときです!」
「……ご主人様、炬燵に入るのに気合いは要らないよ」


 掘り炬燵を前に、星が燃えていた。
 ナズーリンは肩を竦めている。


「はいはい、お好きな方をどうぞ」


 一輪がお茶と、2種類の果実の入ったかごを持ってきた。
 甘柿と青みかん。
 適当に盛ってきたのだろう。
 数が人数分というわけではないようだ。


「まずは座りましょうか」


 白蓮はそう言うと、腰を下ろした。
 上座下座の区別はないらしい。

 まず白蓮が座り、その対面に星とナズーリンが腰掛ける。
 白蓮の左辺に村紗とぬえ、右辺に一輪と雲山。

 雲山は座っているのかどうか、よくわからなかったが。


「ささ、どうぞ」
「僕もいいのかい?」
「ええ、当然ですよ」


 そう言って、白蓮は自分の左を示した。
 座れ、と言うことらしい。


「ではお言葉に甘えて。お邪魔するよ」


 布団の中に足を入れると、まさに天国だった。
 すぐ近くには、白蓮がいる。


「どうぞ、霖之助さん」


 彼女は楽しそうに、みかんと柿を霖之助の前に置いた。

 庭の向こうには人間の里。遠景に天狗の山。
 平和とは、こういうことを言うのだろう。


「すっぱーい」
「こっちのみかんは甘いよ、ぬえ。
 ハズレを引いたかな?」
「むー」


 村紗に笑われ、ぬえが不満そうな声を漏らす。


「私はみかんはちょっと……」
「では私が貰おう」
「じゃあナズーリンの柿を……」
「私のものは私のものだよ、ご主人様」
「そんなぁ」

 ナズーリンの言葉に、星が情けない声。


「一輪ー、雲山貸してよ」
「雲山はものじゃないのよ、ぬえ。
 ダメに決まってるじゃない」
「……雲山を座椅子みたいにしてるやつにそんなこと言われると思わなかった」


 一輪は悠々とくつろいでいた。
 そんな中、霖之助の隣で白蓮が声を上げる。


「そう言えば霖之助さん、今日の夕食はなんにします?」
「なんでもいいよ」
「なんでもが一番困るんですよ」
「そうかい?」


 白蓮は困ったような楽しそうな、そんな表情を浮かべていた。


「じゃあぬえ、なんでもという料理を作ろうじゃないか」
「なにそれ面白そう!」
「面白そうじゃないわよ。
 とばっちりを食らうのは私たちなんだからね」


 ナズーリンとぬえの企みに、村紗が戦々恐々とした顔。
 そんな光景に……霖之助は笑みを零す。


「本当に、なんでもいいんだがね」


 いつの間にか夕食を食べる事まで確定していたが、それすら気にならなかった。


 この中で食べる食事なら、どんなものだって美味しいに違いない。
 炬燵と家族の温もりに囲まれながら、霖之助はそう確信していた。

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あれ?夫婦?


おーい、結婚式の話を忘れていますよー
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