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キャラクターグッズはじめました

諏訪子をちゃんと書くのは八坂大蛇以来のような気がします。
というわけで諏訪霖。

挿絵を韮さんに描いていただきました。


霖之助 諏訪子








 妖怪の山に入り、道に沿って歩く。

 組織化された山は一度入ってしまえば危険は少ない。
 内部は全て身内なのだから当然かもしれない。

 とはいえ最近幻想郷に移ってきた神社があるので、ひとえにそうとも言い切れないのだが。


「やあ、遠いところ呼び出して悪かったね。
 待ってたよ、香霖堂」


 山の中腹、守矢神社の境内で、諏訪子が霖之助を出迎えた。
 飛べれば楽なのだろうが……あいにくと霖之助にその能力はない。


「いや、構わないよ。
 ちょうど麓に用事があったからね」
「なになに、お土産でも持ってきたの?」
「いや、厄神に厄払いをしてもらったのさ。
 そういう道具を拾うことも結構多いんでね」


 そう言って、霖之助は鞄を少し持ち上げた。
 厄除け人形の厄を取ってもらうというのも妙な話だが、実際助かっているのだ。


「なーんだ、そんなこと。
 どうせなら私に頼めばよかったのに」
「ほう、君も厄払いができるのかい?」
「ん? ううん。違うよ」


 あっけらかんとした様子で、諏訪子は笑う。


「もっとタタリを増強させてやろうかなって。
 価値が出るよ、きっと」
「……遠慮しておくよ」


 なんというか、本当にやりそうで怖い。
 霖之助は肩を竦めると、鞄を持ち直し諏訪子に向き直る。


「それで、だ。僕にしか頼めない仕事ってなんだい?」
「まあまあ、こんなところで立ち話もなんだし。
 とりあえずこっちに来てよ」


 諏訪子に導かれるまま、境内を歩く。
 標高が高いせいか風は涼しい。

 夏は過ごしやすいが、冬はどうするのだろうか。


「ささ、あがってあがって」
「いいのかい?」
「うん、今日は早苗もいないし」
「ん? 出掛けてるのかな」
「そうそう」


 神社の玄関で靴を脱ぎ、中に入る。
 外の世界にあった建築物とはいえ、それほど違った様子はないようだった。


「河童のところに呼ばれてね。
 外の世界の道具を解説するらしいよ」
「……ほう」
「あ、今そっちに行ったらよかったと思ったでしょ」


 ひどいなー、と彼女は笑う。

 ……そんなに顔に出ていたのだろうか。
 ひとり考えるが、答えは出ない。


「神奈子も天狗の首領とちょっとねー」
「するとふたりともいないのかい?」
「うん」


 客間に到着し、彼女は頷く。
 つまりこの神社には、今霖之助と諏訪子のふたりだけというわけで。


「多分どっちも夜まで帰ってこないと思うよ。
 だからね……」


 彼女は後ろ手に障子を閉めると、怪しい笑みを浮かべた。


「んふふ、こんなこと、香霖堂にしか頼めないんだ」
 ね、香霖堂。……脱いで?」


 ゆっくりとにじり寄ってくると、彼女は霖之助の服にそっと手をかけた。









「最初からちゃんと説明してくれればいいのにな」
「えー、気付くでしょ、普通」


 ケラケラと笑う諏訪子に、霖之助はため息を吐いた。

 何のことはない、彼女が用意した服に着替えさせられただけだ。
 ……その服が問題なのだが。


「で、これが信仰に何の関わりがあるんだい?」
「わからないかなー」


 霖之助が着ているのはいわゆるTシャツである。
 ただし、中心部にでかでかと諏訪子の姿が描かれていた。


「いわゆるキャラクターグッズってやつだよ、香霖堂。
 今度うちで作って売ろうかと思っててさ」
「ああ、そういうものがあることは知っているけどね」


 定期的に無縁塚に落ちている物のひとつに、キャラクターグッズがある、
 よほど外の世界では作られているのだろう。
 その種類はまさに千差万別だった。


「これを持ってると、つまりそれが好きってことをアピール出来るんだよ。
 外の世界じゃキーホルダーとか携帯のストラップとかに付けてたんだけど、
 こっちじゃあんまりないみたいだし」
「根付のようなものか。
 ふむ、つまり自己主張をするための道具と言うことでいいのかな?」
「う~ん、なんか違うんだけど」


 霖之助の言葉に、しかし諏訪子は首を振った。

 机の上には、試作品らしきキャラクターグッズの山。
 どれも諏訪子の形をしていた。
 よく特徴を掴んでいると思う。


「例えばさ、このシャツ着てる人同士が町ですれ違うじゃない?」
「あまり想像出来ないがね」


 とりあえず、言われた通りに想像してみる。

 ……なかなか難易度が高いイメージだ。


「するとお互いの趣味が丸わかりで自然と話が弾むわけだよ。
 楽しそうなそのふたりを見て、近くの人も買おうって気になるじゃない?
 商品が売れて信仰が増えて万事解決間違いなしよね」
「そう上手く行くとはとても思えないが、なるほど理屈はわかった」


 神社のお守りにも似たようなものはある。
 まあ、自己主張であることに違いはないようだ。


「で、なんでこれが僕じゃないと頼めないのかな?」
「だってこのシャツ、香霖堂で売ってもらうつもりだもん」
「なんだって?」


 思わず聞き返してしまった。
 しかし諏訪子は当然といった様子で頷く。


「だってさー、博麗神社で露天出すわけにも行かないし、人里で売るとありがたみが薄れるでしょー?
 河童に試作品だけ作ってもらったんだけど、量産はこっちでやってねって契約だし」


 博麗神社にも守矢の分社があるが……。
 さすがに露天の管理も霊夢にやらせるわけにはいかないのだろう。

 河童が作るのは基本的に一品物である。
 この場合は量産する機械を作るのだろうか。

 ただし、その機械を誰が動かすのかという話になるのだが。


「その点香霖堂ならどうとでもなるし、雰囲気もバッチリだもん。
 霊夢の服とか作ってるみたいだし、得意なんでしょ?」
「まあ、苦手ではないがね。
 僕にメリットはあるのかい?」
「もちろん」


 待ってましたとばかりに彼女は笑顔を浮かべた。


「知りたい道具があったらいくつか教えてあげるし、人里と香霖堂の間の安全を約束するよ。
 妖精くらいは出るかもしれないけど、客は増えると思うよ」
「まるでうちの立地条件が悪いみたいじゃないか」
「違うの?」
「……ノーコメントだ」


 霖之助は苦い表情を浮かべ……やがてため息を吐いた。


「だがまあ、少しの間やってみる分には構わないよ。
 ずっとやるかはその時次第だがね」
「よかった。
 断られたら七代祟ろうかと思ってたよ」
「それは脅迫というんだ……」


 肩を竦める彼を見て、諏訪子は笑う。

 そこでふと霖之助は、この場に諏訪子のグッズしかない事に気が付いた。


「もしかして、他のふたりがいない時に僕を呼んだのって」
「そうそう、だって邪魔されるんだもん。
 ふたりとも自分のグッズを作りたがるし」


 神にとって人気は信仰、つまり力である。
 その意味で言えば、当然のことだろう。

 ……まあ、いささか目立ちたがりな面が無いとも言えないが。


「だからと言って、このシャツはちょっと問題がある気がするよ」
「あれ、着心地悪い?
 フリーサイズで作ったはずだからサイズは大丈夫だと思ったんだけど」
「いや、そうじゃなくてだね」


キャラクターグッズはじめました

 肝心な所がわかっていない。
 霖之助は肩を竦め、苦笑を浮かべた。

 中心に諏訪子の姿。
 このシャツは、着る側にも一種の覚悟が必要だった。


「さすがに大の大人……それに男が着るには、ちょっとデザインがね」
「そうかなー? かわいいと思うけど」
「かわいいと言われて喜べないんだよ、僕はね」


 そう思う人間は多いに違いない。

 頼まれたから着てみたものの、霖之助はこのシャツを脱ぎたかった。
 間違ってもこの姿を知り合いに見られたくはない。

 ましてや天狗の写真に撮られた日には……。


「……で、この柄は君を象っているんだよな」
「そうそう。何通りか考えたんだけどね。
 率直な感想を聞かせてちょうだいな」
「感想と言っても、どう答えればいいんだ」


 本人を目の前にしてどんな言葉を投げろと言うのか。


「いろいろあるでしょー。
 かわいいとかお持ち帰りしたいとか毎日着たいとか」
「全部褒め言葉じゃないか」
「当然じゃない」


 えへん、と胸を張る諏訪子を、とりあえず見なかったことにした。


「まあ、確かに悪くはないと思うよ。
 量産にも向いてそうだし、子供には受けるんじゃないかな」


 商売人の視線で、道具を観察する。

 ベースは無地のシャツで、生地は上等なものだ。
 洗っても落ちないように特殊なインクで絵を描いているらしい。

 このあたりはさすが河童ということだろうか。
 そういえば、永遠亭のお姫様の運動着も河童製だと聞いたことがあるが。


「う~ん、大人の人には売れないかな」
「子供だけじゃダメなのかい?」
「だってほら、地鎮祭需要とかありそうじゃないの。
 みんなこのシャツ着てさ」
「初めて聞く需要だな」


 確かに諏訪子の能力なら可能かもしれないが……。
 だからと言って、そう建物を建てまくるわけではないし。


「んー、じゃあフィギュアとか作ってみようかな。
 そうじゃなければ……」
「いや、もっと別のアプローチをした方がいいと思うよ」


 そもそもの問題は、少女の絵を身につけることへの抵抗だ。
 だったらやはり、別のものへ置き換えてやるのが一番の近道だろう。


「君の象徴は蛙だろう?
 蛙は昔から縁起のいいものだからね。
 家に帰る、お金が返るといったことに繋がるし、和歌や俳諧でも人気のモチーフだ。
 そのあたりを攻めてみるのもいいんじゃないかな」
「ふ~ん、なるほど。あ、ちょっと待ってて」


 諏訪子は近くの机からスケッチブックと色鉛筆を取り出してくると、机の上に広げた。
 ページをめくり、白紙を用意する。
 他の場所には彼女が描いたらしき絵が並んでいた。意外に上手い。


「よーし、じゃあネタ出していこうよ、香霖堂」
「今からかい?」
「そうそう。だって時間はまだまだあるんだし。
 何なら泊まっていってもいいんだよ」


 そこまで言って、彼女は名案を思いついたかのように目を輝かせる。


「そうだ、せっかくならうちの神主になればいいんだ!
 七代祟れなくなるのは残念だけど。
 大丈夫だって、何とかなるもんだよ、意外と」
「いや、何とかする気は特にないんだが」
「ねぇねぇ、早苗がいい? 神奈子がいい? それとも……」


 まるで決定事項のように喋る諏訪子に、霖之助はどう答えようかと頭を抱えていた。

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No title

諏訪霖と聞いて韮さんとこから飛んできました。
どういう状況かと思ったらこういうことかw

このあとの一家の会話
早「ぬ、抜け駆けです!」
神奈「どういうことだい!」
諏訪「早い者勝ちだよ~」

↑こんなん幻視しましたw
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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