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子悪魔シリーズ最終話

キリのいい時期なので、先出し最終話。
今後子悪魔シリーズを書く時はこれより少し前の話になりますよと言う。


そして霖之助とパチュリーの娘を考えてみるとする。

人間であり、妖怪であり、生まれながらの魔法使いである。
八卦と五行、七曜を操り、食事や睡眠をほとんど必要とせず、なお魔力で補うことが出来る。
美鈴に師事し、咲夜に習い、レミリアとお茶をし、フランと遊ぶ。
そしてパチュリーと読書をし、小悪魔に突っ込み、霖之助の蘊蓄を聞き流す。


……なんだ、ただのチートキャラか。


霖之助 パチュリー 小悪魔









「最近、パチュリー様の様子がおかしいと思うんですよ」


 心配そうに、小悪魔は言った。
 もちろん彼女に言われるまでもなく、霖之助も確かにパチュリーの変化には霖之助も気付いている。

 だが、それよりも。


「顔が近いよ、小悪魔」
「私とお父様の心の距離を体現してみました」
「じゃあもう少し離れてくれるかな。
 そうだね、美鈴の隣くらいまで」
「あ、いっそ唇を合わせてみるってのはどうでしょう?」
「床とかい?」


 そう言って、霖之助は懐から小悪魔お仕置き用スペルカードを取り出した。
 これはパチュリーが作ったもので、使うと小悪魔の頭上に的確にタライが落ちてくるというものだ。
 ご丁寧にカード型の起術札である。

 恥ずかしがりさんですね、と笑う小悪魔に、ため息ひとつ。


「で。パチュリーがおかしいと?」
「そうなんですよ。
 最近よく眠られてるみたいですし」


 魔法が身体の原動力となっている魔法使いには、基本的に食事も睡眠も必要無い。
 だというのに眠っているのは……つまり、魔法だけでは補えなくなっているということだろう。


「それにお父様が来られたのに起きてこられませんし」
「気付いてないだけじゃないのかい?」
「いえ、お父様のいる場所ならいつでもわかるって言ってましたよ」
「……そうかい」


 探知の魔法だろうか。
 いつの間に……。

 いや、いつからだろう。
 少しだけ、霖之助の背中を冷や汗が伝う。


「そしてなにより、お父様とお母様の性交渉の回数が激減してますよ!」


 決まった、とばかりに小悪魔が言い切った。
 それから付け加えるように、ピンと指を立てる。


「隠しても繋がってるから丸わかりですウフフ」
「いい加減その魔法はどうにかならないのかな」
「いいえ、これは私たちの絆ですから」
「絆、ね」


 言葉の意味としては間違っていないかもしれない。
 だが使い方と使い所は間違っていると思う。確実に。


「で、繋がっててもわからないのかい? パチュリーのことは」
「それがどうも、肝心なところがはっきりしないんですよね」


 言って、彼女は首を傾げた。
 しばらく考えていたようだが……やがて霖之助に不審な視線を送ってくる。


「さてはお父様、何かしました?
 ……ああいや、ナニをしてないんでしたね、最近は」


 大きくため息。
 とても失礼である。


「もしかして、性の不一致とかいうやつなのでは」
「今更かい?」
「……そうでした。あんなプレイやこんなプレイもお手の物でしたね。
 挙げ句の果てにそんなことまで……。
 そして最近のお気に入りのプレイスタイルは」
「思い出さなくていいよ、小悪魔」


 小悪魔の言葉を切り、霖之助は首を振った。

 相変わらず、放っておくとロクなことがない。
 相手してても同じなのだが。


「と言ってもね。ある程度放っておいてもしばらくは大丈夫だと思うよ」
「まあなんてことを!
 お父様はお母様のことが心配じゃないんですか?」
「心配には心配だがね」
「ですよね!」


 霖之助の言葉を聞いて、小悪魔は満足げに頷いた。


「やっぱりお父様も心配なんですね。
 じゃあ私が一肌脱ぐので手伝ってくださいな」
「一肌って……どうする気だい?」
「そうですねぇ……」


 彼女はゆっくりと思考を巡らし……。

 わざとらしく、服を押さえて霖之助を睨んでくる。


「って、なにジロジロ見てるんですか、えっち!
 脱ぐって言ってもそっちの意味じゃないですよ、もう!」
「見てないよ。
 と言うか、娘の裸を見て喜ぶ気はないし」
「え?」


 予想外の言葉だったのだろう。
 彼女は驚きの表情を浮かべていた。


「お父様、今なんて……」
「あら、来てたのね」


 小悪魔の問いを遮るように、聞き慣れた声が響く。

 声のした方を振り返ると、紫色の魔女がやってくるところだった。


「話し声が聞こえたから目が醒めたわ」
「ああ、起こしてしまったかい?」
「構わないわよ。そろそろ起きようと思っていたし」


 言いながら……パチュリーはどこか気怠げな様子で、いつもの席に腰を下ろす。
 それを見れば、小悪魔でなくても彼女の様子がおかしいことに気付くだろう。


「お母様、身体の調子はいかがですか?」
「大丈夫よ」


 心配そうな表情を浮かべる小悪魔に、パチュリーは頷く。


「でも……」
「……お茶、貰えるかしら」
「あ、はい。すぐにお持ちしますね」


 パチュリーの注文で地下の簡易キッチンへと飛んでいく小悪魔を見送り、霖之助は口を開いた。


「パチュリー」
「……そうね。いい頃合いだわ」


 ゆっくりとパチュリーは微笑んだ。
 霖之助はそんな彼女の顔を見て……深く長いため息を漏らす。

 まるでひとつの区切りだというかのように。


「お待たせしました。
 私の愛と蜂蜜をたっぷり入れたハーブティグレートです」
「ねぇ小悪魔」
「はいはいなんでしょ」


 ティーセットを配る小悪魔に、事も無げにパチュリーは言葉を発した。


「そろそろ名前を決めようと思うの」
「ほえ?」


 突然の言葉に驚いたのだろう。
 小悪魔の羽根が大きく広がる。

 それでもお茶を取り落とさなかったのはさすがと言ったところか。


「とうとう必要好感度を満たしたってことですか?
 いやー、長かったですねえ今まで」
「そうね、もう長く経つもの。
 霖之助もいい加減観念したみたいだし」
「まるで僕のせいみたいじゃないか」
「あら、違うのかしら」


 パチュリーの笑顔に、霖之助は視線を逸らした。
 その様子を見て、小悪魔がもう一度問い返す。


「あら、本気で?」
「本気よ」


 頷くパチュリーに、再度小悪魔は驚きを浮かべた。
 その様子を楽しむかのように、パチュリーはゆっくりとお茶を飲む。

 一息吐いたところで、視線を上げた。


「で、どうかしら?」
「そりゃもう願ったり叶ったりですよ!
 とうとう私ルートに入るんですね!」


 言いながら、彼女は羽根をパタパタと揺らす。
 よほど嬉しいようだ。


「それで、お父様から名を付けていただけるんですか?
 それともお母様が?」
「どちらも違うわ」
「……おやや?」


 ぴたり、と羽根が止まった。
 首を傾げる小悪魔に、尚もパチュリーは言葉を重ねる。


「正確には、命名権を譲渡して、その子に付けてもらうの。
 契約の書き換えもあるから、伝えておこうと思って」
「え? ちょ、ちょっと待ってくださいよ」


 小悪魔の顔に、今度は別の驚きが浮かんでいた。
 驚愕と焦り。

 ……それと涙か。


「どういうことですか?
 私、てっきりお父様かお母様に……」
「どうもこうもないわ。言った通りの意味よ」
「え? ええ?」


 オロオロと涙目で彼女は視線を揺らす。

 ……普段明るい小悪魔の、珍しい表情だ。
 それ故に、罪悪感が強い。


「パチュリー……」
「そうね。あまりからかっては可哀想だもの」


 霖之助の声に、パチュリーは肩を竦めた。

 その様子を見て、パッと小悪魔は顔を輝かせる。


「なんだ、冗談ですか。やっぱり……」
「冗談ではないわ。
 さっき言ったでしょう、本気って」
「んんん?」


 まだ混乱している様子の彼女を見て、パチュリーは楽しんでいるようだった。

 やがて満足したのか、答え合わせをするように口を開く。


「子供が出来たの」
「……はぁ」


 短いその言葉に、小悪魔はいまひとつピンと来ていないようだった。
 しばらく霖之助とパチュリーの顔を見比べ……そこでようやく、合点がいったように頷く。


「ん? 子供?
 ああ、なるほどなるほど。それで……」


 改めて、チラッと霖之助に視線を送る小悪魔。


「……なんだい」
「いえいえ、観念したってそういう……。
 とうとう年貢の納め時ですね、お父様」
「レミリアにも同じことを言われたよ。
 それから咲夜にも……」


 それだけ言って、霖之助は黙る。
 こういう場合……父親が語ることはあまりない。


「小悪魔、あなたはお姉さんになるのよ」
「私が……お姉さん?」


 その言葉を、彼女は噛みしめるように口にした。


「それでね、小悪魔。
 その子……私と霖之助の子供に、あなたの名前を付けてもらおうかと思ってるの」
「あ、でも」
「そうね。あなたの契約者が増えることになるわ。
 嫌かしら?」
「いいえとんでもない。
 おふたりのお子様なら、私……」


 そこから先は続かなかった。
 いや、言葉にならなかったと言うべきか。

 そんな小悪魔の頭に、パチュリーはポンと手を置く。


「それともうひとつ。
 ……もしよければ、私たちの子供の名前を付けて欲しいんだけど」
「私が? よろしいのですか?」
「あなただからよ、小悪魔」


 しばらく無言で視線を交わす。
 やがて彼女は決心したかのように、大きく頭を下げた。


「わかりました。
 身に余る光栄ですが、この小悪魔、全力で名前を付けさせていただきます!
 ちょうど姓名判断師もいることですし……」
「……いえ、ちゃんとチェックはするわよ」
「まあ、ね」


 苦笑いを浮かべる霖之助とパチュリー。
 姓名判断師と聞いて、紅い吸血鬼の姿が思い浮かんだせいだろう。

 いや、咲夜は気に入っているようだが……。


「お母様、お父様。
 今までありがとうございました」


 小悪魔は居住まいを正し、恭しく一礼する。
 ふたり以外が名前を付けるとは……つまりそういうことだ。

 そして彼女は、にっこりと笑う。


「これからも変わらぬ忠誠を、おふたりに」
「ええ。よろしくね」
「いや、少しは変わってもらわないと困るがね」


 霖之助は苦笑を浮かべつつ、パチュリーと小悪魔に視線を向けた。


 これから大変なこともあるだろう。
 だが何があっても大丈夫だと思う。


 正式に増えた家族と、新しく増える家族を前に、霖之助はそう確信していた。

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非公開コメント

No title

いいぞ ベイベー!旗を折る店主は霖之助だ!旗を折らない店主はよく訓練された霖之助だ!ホント道草さんのSSは楽園だぜフゥハハハーハァー

(訳:素敵なハッピーエンドをありがとうございました。やはり幸せな結末は良いものだ…。)



No title

…あは、こういうあったかい終わり方は大好きです!
うちのオリキャラは霖之助と美鈴の子供なんですが、霖之助とパチュリーの子供も楽しみですー!

No title

ビューリフォー…

No title

お・・・・おわってしまった・・・・
ハッピーエンドは大好きだし、子供も出来て二人がくっついて良い終わりなのに・・・
最終話というショックが・・・外伝が出てくれるとうれしいですwっと思わず本音が
おつかれさまでした。今後も応援していますので頑張ってくださいw

No title

まさかのターンA方式w
長く続いたシリーズなので感慨深いですね。
数えてみると、子は鎹から含め最終話で19回、それ以前のパチュ霖も設定的に問題ないので含めると23回。
何という長期連載。
しかし読み返してみると、01の時点で霖之助さん小悪魔にナニかされてませんかねw

ハッピーエンドをありがとうございます。そしてこれからも頑張ってください!

No title

夜中にあけましておめでとうございます!!

一週間ぶりくらいに見てみたらいきなり最終話って題名だからなんかと思ったら、ただの先出しですか。あーびびったw

これは実によいハッピーエンド。 これからの小悪魔シリーズも楽しみにしてます^^

拍手の数が108とは何という煩悩www

改めて読み返してみると3人の軌跡がよく分かりますなぁ
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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