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愉快な命蓮寺一家06

1時間SS改め愉快な命蓮寺一家。
姫街道さんがお茶漬けネタで、と言っていたので便乗して。


霖之助 白蓮









「あの、申し訳ありません。
 お邪魔してしまったみたいですね……」
「いや……」


 カウンターの向かい側で照れたような表情を浮かべる白蓮に、霖之助は曖昧に頷く。


「その、まさかこんな時間からとは思わなかったもので」
「すまない、こちらこそ配慮が足りなかったかな」


 店の外を見ると、太陽は高く上がっていた。
 しかし昼でも朝でもない、微妙な時間帯。

 彼女が驚くのもわからないでもない。


「しかし君とて見るのは初めてではないだろうに」
「そうですけど……」


 やはり店の奥でやるべきだったのだ。
 どうせ客は来ないだろう、という気の弛みもあったのかもしれない。
 ……店主の自分が言う言葉ではないが。


「いつもより激しいので驚いてしまって……。
 殿方というのは、ひとりだとそうなのですか?」
「いや、今回はたまたまだよ。
 いつもは君たちと一緒の時と変わらないと思うが」


 寺で一緒にする時は、もっと……そう、紳士的なのだ。
 たまたま今日という日に見られてしまっただけで。


「そうですか、もし遠慮されてるのでしたら、と……。
 あ、私に気にせず続けて下さい」
「そうかい?
 ……ああ、君も一緒にどうかな?」
「私もですか?」


 霖之助の勧めに、困ったように白蓮は彼とそれとを見比べた。


「あの、やはり出直した方がよろしいのでしょうか」
「……いや、別に帰れと言ってるわけじゃなくてね」


 恐る恐る、という様子で尋ねる彼女に、霖之助はようやく思い当たった。

 霖之助の手の中にあるそれ……お茶漬けを客に勧めることの意味を。
 ぶぶ漬け、とも言う。


「すまない、お茶も出さずに」
「あ、お構いなく……」


 慌てて霖之助は急須を持ち、お茶を注ぐ。
 一見の客相手にこんな事はしないのだが、彼女は常連だ。

 霊夢専用の湯飲みしかなかったので使ったのだが……洗って置いておけば大丈夫だろう。
 たぶん。


「ちょっと待っててくれ」
「はい」


 霖之助はどんぶりを持ち上げ、残りの米をかっ込むようにして咀嚼する。
 少々行儀が悪いが……というか先ほど見られてしまったのだが、今更隠しても仕方がない。


「すごい食べっぷりですね」
「ああ、ちょっとね。
 お茶漬けはこうやって食べるのが一番美味いと聞いて実験してたんだよ」


 ちょうど食べ終わり、霖之助はどんぶりを片付けた。

 やはり早苗の言う通り『ただいまお茶づけ中』という張り紙をしておくべきだったかもしれない。


「……ごちそうさま。
 待たせたね。用件はなんだい?」
「あ、はい。実はシャンプーを売ってもらおうかと思いまして」
「ああ、もう無くなったのかな」
「ええ、みんな結構使うものですから」
「了解。いろいろと新製品も入っていてね。
 まとめて用意しよう」
「お願いします」


 霖之助は立ち上がり、近くのダンボール箱を開いた。
 店に置ききれない在庫を入れているのだが、場合によっては常連のための取り置きも入れてあったりする。


「それにしても、こんなことまで君がやるんだね」
「え?」


 彼の言葉に、白蓮は首を傾げる。


「お使いくらい、ぬえやナズーリンにでも頼めば楽だろうに」
「あの……別の子の方がよかったですか?」
「いや、君が来てくれるのは嬉しいが……」
「そうですか」


 なにやら嬉しそうな白蓮に、霖之助は笑みを浮かべた。
 選び終わった商品をまとめ、カウンターに乗せる。


「よし、これくらいかな」
「すみません、毎度毎度」
「いいや、ついでに感想も聞かせて貰っているからね。
 女性にとっての使い心地なんて僕にはわからないし……」


 こういった商品はわりと種類が多いのだが、男の霖之助では石鹸より綺麗になるかな、程度の違いしかわからないので困る。
 と言っても適当に売るとクレームが来たりするのでおろそかに出来ないのだ。

 女性にとっての髪がいかに大事かというのがよくわかる。

 ……だからと言って違いはわからないが。


「このシャンプーなんか、用途が世界を嫉妬させることらしいよ」
「そうなのですか?」
「売り文句だろう。結構そういう商品が多いからね。
 シャンプーではないが、君と響き合うとか世界と繋がるとか、見ていて飽きないよ」


 霖之助の能力……道具の名前と用途がわかる程度の能力は、便利ではあるが万能ではない。
 それに外の道具の多様さの前にはむしろ用途がわかる方が困惑する場合もあるのだ。

 まあ、さすがにゲームボーイを紫に持って行かれるようなことはもう無いのだが……。


「髪質や好みに合わせて使うものは選ばれるからね。
 情報は多いに越したことはない」


 そう言って霖之助はシャンプーやコンディショナーを種類別に袋に入れ分けた。
 こういうものは背面に使用法が書いてあるから楽だ。

 とはいえ、シャンプーはともかくコンディショナーとかリンスとかトリートメントまで分けられていくと、名前はいいとして用法がだんだん怪しくなっていくのだが。


「そういえば、寺で一番髪が長いのは君になるのかな?」
「そう……かもしれませんね」
「じゃあ、しっかりと評価をお願いするよ」
「はい、任せて下さい」


 白蓮は楽しげに頷くと、霖之助からシャンプーの入った袋を受け取った。

 実際、こういったケア用品の需要はわりとある。
 もちろんこういったものを買っていくのは余裕のある……そこそこ名の通った人妖達なので、
支払いについてもなかなか期待できるのだ。

 ならばそれらの顧客に対して売るための努力はするべきである。


「ああ、さっきの話だが……」
「はい?」
「お茶漬けの、だよ。
 京都の方でぶぶ漬けを出すのは帰れということ、という話があってね」
「ええ」


 白蓮も知っているから出直そうとしたのだろう。
 しかし。


「いろいろと聞いてみたんだが、京都では実際にそう言ったことはやらないらしいね。
 やった試しもやられた人もいないとかで……」
「そうなんですか?」
「ああ、どうやらそういう、京都には暗黙の了解があるよと言う例え話が広まった結果ようだが……。
 どうしてそれだけが独り歩きしたのかはわからないな。
 僕が思うにぶぶ漬けとは身内に出すような料理であり、それを出すと言うことは……」


 説明を続ける霖之助に、しかし途中で白蓮は口を挟んだ。


「……聞いてみた?」
「あ、ああ」


 雰囲気に気圧されたかのように、霖之助は言葉を切る。


「昨日……いや、今朝までミスティアの屋台で飲んでいてね。
 偶然地下の面々と会って話を聞いていたんだよ。
 パルスィが京都出身だと言うし……」
「そうなんですか……一晩中……」


 白蓮の呟きはあくまで静かだった。
 だが何となく、プレッシャーのようなものを霖之助は感じていた。

 ……理由はわからないが。


「その話になったあと、ついでにミスティアにメニューの開発を頼まれたんだよ。
 さっぱりしたものを希望してたんで、お茶漬けの元を売ろうかと考えてて」
「それでさっき、お茶漬けを食べられてたんですね」
「そういうことだ」


 言って霖之助は、近くの小袋を取り出した。
 件のお茶漬けの元がたくさん入っている。

 ちなみにさっき食べていたのは鮭茶漬けだった。


「さっきの食べ方は、早苗に聞いてね」
「早苗さんに……」


 少女の名を出すたびに、白蓮の表情が無表情になっていく気がする。

 守矢神社の他の神も居たのだが、言わないでおくことにした。
 なんとなく。


「それで、文が取材に使わせてくれといってきてだね」
「…………」


 メキィ、とどこからか音がした。
 見ると、白蓮の手元にある金属のお盆が綺麗に割れていた。


「あ、すみません。私としたことが……」


 霊夢の湯飲みじゃなくてよかったと本当に思う。
 お盆が壊れたことより、まずそちらに安堵してしまった。


「これ、買い取らせてもらいますね」
「あ、ああ」


 どれほどの力だとこうなるのだろうか。
 普通に使っていれば、まず壊れるはずがないはずなのだが。


「そうだ、ついでと言ってはなんだが」


 危険を感じ、霖之助は話題を変えることにした。
 手元のお茶漬けの元を袋から出し、カウンターの上に並べる。


「一通り試食してから売りたかったんだが、ひとりじゃ食べきれなくてね。
 寺の面々にもお願いしていいかな?」
「私たちにですか?」
「ああ。どうせミスティアの屋台のお客は君たちみたいな少女が多いからね」
「そ、そうですか」


 照れたように白蓮は俯いた。

 少女とひとまとめに言ってしまったが……まあ、特に問題はない。


「あ、でしたら霖之助さんもご一緒に如何ですか?」
「僕もかい?」
「ええ。食事は皆で食べた方が楽しいですし……。
 それにその場で感想を聞いた方が確実でしょう?」
「確かにね」


 生の声を聞くのが一番である。
 そうと決まれば、と霖之助は予定を立て始めた。


「さすがに連続でお茶漬けは飽きるから、明日でもいいかな?」
「はい、霖之助さんならいつでも歓迎ですよ」


 白蓮はシャンプー代を支払いながら、笑顔を浮かべた。
 そしてそっと、付け加える。


「それにお茶漬けは身内の料理みたいですからね」

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No title

身内・・・だと・・・

もうすでに家族の一員として認識していると言うことでしょうか。ちゃっかり誘う口実まで作って、本人が来たら「他の所(女性)にはやらない」という意思表示もしれっとするんですね。但し、招かれた当人だけが知らぬと。

メキィは例のあれですね。

さて、遅くなりましたが初めまして。
度々こちらのサイトを訪れさせてもらっている者です。
普段は見るだけに徹していますが何気なしにしてみた次第です。
では、長文失礼しました。

No title

中盤のくだりを読んでいてメキィの予感がしたと思ったら案の定・・・お盆は犠牲に(ry
それでもちゃんと買い取る辺りはさすが白蓮さんといったところ
咲夜さんやアリスに負けず劣らず良客ポジションが似合う気がします
嫉妬する白蓮さんマジ少女

また、リンクに追加して頂きありがとうございました

No title

前半にやましい気持ちを抱いたのは私だけ……では無いと信じて。
白蓮さんは少女でしょう問題無い筈です、筈ですったら。

No title

毎度の事ながらわからないようでわかる懐ネタが多くて、ツッコミ所の抜粋に困るwww恐らく香霖堂の在庫には、生まれた意味を知るシャンプーとか、昇天ジャ○プー(非売品)があるのではと思います。
しかし嫉妬する白蓮さんもかわいいなチクショウ。霖之助はもう命蓮寺に嫁いじゃえばいいよ、白蓮さんなら絶対幸せにしてくれると思うから。

No title

メキィはあのスレのネタじゃないか
天狗じゃ天狗の仕業じゃ
星の頭がいつつぶれるか心配です

聖の身内発言これは、霖之助を家族として見ている
つまりメキィした利用は、自分の旦那が他の少女と仲良くしているのに対して嫉妬したんですね。



聖「私というものが居ながらどういう事です?(ニコッ)」

毎回楽しみに拝見させてもらってます。
いやぁ……白蓮乙女。霖之助はもうくっついちゃえばいいのに。

No title

まさかのメキィネタwww

あと霖之助の一言一言に一喜一憂する聖かわいいです^q^

No title

メキィww

パルスィさんの能力絶好調w

No title

メキィに不覚にもww
白蓮さんまじ乙女
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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