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楽しみ方とオススメのワケ

bellmanさんのSS『羽ばたき飛行文書』
http://create.ufufu.mypets.ws/ko_rin_ufufu/data/beki_1577.txt
を読んでて書きたくなった咲霖。

遠い意味のパチュ霖であるかもしれない。

アンタップアップキープ。


霖之助 咲夜 レミリア









「無理だね」
「なんでよ、簡単でしょう!」


 首を振る霖之助に、レミリアは声を荒げた。
 蝙蝠の羽根がピンと伸び、小柄な身体を何倍にも大きく見せる。


「いいこと、店主。あなたが私に逆らってもいいことはひとつもないのよ?」
「それは重々承知している。だが無理なものは無理だよ」


 彼女の放つプレッシャーを受け流しながら、霖之助は肩を竦めた。
 その聞く気のない彼の態度に、レミリアは拗ねたように唇を尖らせる。


「咲夜が薦めてくる漫画ってどれもつまんないんだもん。
 私はもっと面白いものが読みたいのよ」
「本人にそう言ったらいいじゃないか」
「言ったわよ。何回も何回も!」
「はい、言われました」


 レミリアの後ろに控えていたメイドが、完璧な笑顔で答えた。
 香霖堂にこの主従が揃って来るのは少し珍しいかもしれない。


「で、わかりましたって言ったわよね、咲夜」
「その通りですわ、お嬢様。でもちゃんと別の本を渡しましたよね?」
「同じジャンルじゃない! 全部! なんか目がキラキラしたやつ!」


 レミリアは壊れてしまいそうな勢いで机と、その上に置かれた本の表紙を叩く。
 いや、彼女の力ならこんな机くらい簡単に壊せるので、これでも加減しているのだろう。


「同じジャンル、ねぇ」


 机の上にあるのはいわゆる少女漫画というやつで、対してレミリアが好んで読むのは少年漫画系だった。
 一言で言うと趣味が合わないということか。


「レミリアの要望は、咲夜が少女漫画を薦めてくるのをやめさせたい、というわけだね」
「そうよ、簡単でしょう?
 まず根本的に、あなたが咲夜に少女漫画を売らなきゃいいのよ」
「それは営業妨害というものだよ」


 そう言って、霖之助はメイドに視線を移す。


「で、咲夜の要望は……」
「ええ」


 咲夜はにっこりと笑い、一歩進み出た。


「お嬢様に漫画の良さをもっと知ってもらおうと思いまして」


 ひとつ頷くと、手の中に本を出現させる。

 先ほどレミリアが叩いていた少女漫画だ。
 彼女お得意の手品だろう。

 つまり。


「それが無理だと言うんだ。
 正確には、君たちの要望を同時に叶えることが、かな」


 霖之助はため息を吐くと、残りの少なくなったお茶を注ぎ足した。
 自分とレミリア、それから咲夜の分。
 レミリアが机を叩いたにも関わらずお茶が飛び散ってないのは、やはりよくできたメイドが何かしたからか。


「君たちは、矛盾という言葉を知ってるかい」
「当然よ。最強の槍とは私のことね」


 自信たっぷりに頷くレミリア。


「なら、盾担当は美鈴でしょうか」


 それに続くように、咲夜は首を傾げる。


「警備って言う意味なら咲夜じゃない?
 よくネズミは入ってくるけど」
「退治してもキリがないんですよねぇ……」
「いや、そこのところはどうでもいい」
「なによ、店主が振った話なのに」


 レミリアの視線に肩を竦めながら、霖之助はお茶で喉を潤した。
 そこでふと、思い出したように声を上げる。


「美鈴と言えば、彼女も漫画を読むはずだが。
 どっちの味方なのかな」
「当然、美鈴は私のほうよ。この前貸してあげた漫画も気に入ってたみたいだし」
「孤立無援です。くすん」


 シュンと肩を落とす咲夜。
 犬の耳のように跳ねた髪が垂れた耳のようにも見える。

 ただ、嘘泣きと一発でわかるような真似はどうかと思うが。


「賢明な店主なら、どっちに付いたらいいかわかるわよね?」
「そうは言うがね」


 霖之助はレミリアの言葉に首を振り、苦笑を浮かべる。
 そして彼女の飲んでいる紅茶のカップを指さした。


「例えばレミリア、君がティーカップを買うため咲夜をお使いに出すだろう。
 その場合、どこで買ってこいと指示はするのかな」
「いいえ、しないけど……なるほど」
「つまりはそういうことさ。
 もちろんそれだけが理由ではないが……」


 レミリアは幼いが、きちんと話せば会話が成立するから助かる。
 我儘な面も多いが、それはそれ。

 会話が成立しない存在も多い中、香霖堂の数少ない上客のひとりだ。
 もちろんその従者も大事な上客なのだが。


「あら、まるで私が霖之助さんを脅してるみたいですわね」
「違うのかい?」


 いけしゃあしゃあと言ってのける咲夜に、霖之助は疲れた表情で返した。
 彼女の天然っぷりはたまに変なところに行くから困る。


「だいたい、嫌なら読まなきゃいいだろうに」
「だって放置しても、読み終わるまでずっと薦めてくるんだもん。
 気が付いたらいつもその本が手の届くところにあるのよ。
 まるでホラーだわ」
「オススメですので」


 吸血鬼がホラーと言うのもなかなか新鮮である。
 そもそも吸血鬼自体が恐れられる対象のはずなのだが。


「どうしてもと言うなら手段はないこともないがね。
 主たる者、従者の希望くらい聞いてあげたらいいと思うんだけど」
「うー……」


 レミリアはなにやら難しい顔をして唸っていた。
 こうしていると、見た目相当の歳にしか見えない。

 実際数百年生きている妖怪だとしても。


「わかったわよ、しばらくこのままでいいわ」
「現状維持ですね」
「咲夜も、あまり無茶な勧誘は逆効果だよ」
「そうですか? 善処します」


 まあ、いつも通りということだろう。
 というか、霖之助が多少言ったところで彼女たちの関係が変わるとも思えないが。


「結局霖之助さんはどちらの願いも聞いてくれませんでしたね」
「丸く収まったならそれでいいじゃないか」


 咲夜の文句に、霖之助は素知らぬ顔で返した。

 触らぬ神になんとやら。
 下手に首を突っ込むとロクなことはない。


「で、本題だ。君たちのお求めの物はそこに纏めてあるから、好きなだけ買っていくといいよ」


 霖之助はそう言うと近くの本棚を指さし、手元の本へと視線を戻した。

 そもそも最近漫画にハマっているレミリアが、新しい漫画を買いに来たのが事の発端だ。
 話がちょっと変な方向に行ってしまっただけで。

 普段は咲夜や美鈴が買い付けに来るのだが、山の巫女も結構な頻度で買いに来るため、今日は先を越されないよう主自らお出ましとなったわけだ。


「ところで店主はさっきから何を読んでるの?」
「ああ、これかい?」


 漫画を物色しようとしたレミリアは、霖之助が読んでいる本へと目を向けた。


「スペルカードかしら? それにしては見たことがないけど」


 首を傾げるレミリアだが、無理もない。
 これは本単体では成立しないものなのだから。


「いいや。これは外の世界の遊技さ。
 マジックオブ……つまり魔術と銘打たれたカードゲームでね。
 言うなれば頭の中でやるスペルカードかな。この本はその指南書だよ」


 霖之助は机の中からカードを取り出し、並べてみせる。
 デッキと呼ばれる山から交互にカードを引いていき、ルールに則って攻撃を繰り出していくのだ。
 頭脳と運を駆使して勝負する、実に霖之助好みの遊技と言える。


「ああ、パチェがなんかそんな感じのこと言ってたわね。
 最近店主と対戦してるとかなんとか。興味がないから忘れてたわ」
「彼女は実にいい好敵手だよ。
 さすがは魔法使いと言ったところか」


 机の上に並べたカードの中からいくつか抜き出し、レミリアの前に差し出した。
 紅、青、緑、黒、白。
 それぞれ別々の絵柄が描かれている。


「基本的に5色の属性があってね。
 これは五行に関連するのではないかと僕は睨んでいるのだが……。
 パチュリーは様々な属性を使うね。さすが七曜の魔女だ。
 僕は青黒のカードを組み込んでるが……」
「店主の服の色じゃないの、それ」


 そう言ってレミリアは霖之助の手元の本と、それからカードを覗き込むようにしてパラパラとめくる。

 と言っても外の世界でもまだまだ人気があるらしく、そうたくさん在庫があるわけではない。
 紫曰く結構前のバージョンらしい。禁止カードがどうとか言っていた気がする。
 最近のは誰かの忘れたものが偶然流れ着いている程度だ。


「ふ~ん」
「どうだい、君もやってみないかい?」
「やめとくわ、パチェに聞いてもさっぱりだったし」
「そうか……これの漫画もあるんだが」
「そっちは読むわよ」


 レミリアの返答に、霖之助は肩を落とした。
 やはりこう、最初のとっかかりが難しいのだろう。
 魔理沙も同じように断られた。

 アリスは面白そうだと言ってくれたから、やはり向き不向きがあるということか。


「あの、じゃあよろしければ私がお相手しましょうか?」
「咲夜か……う~ん」


 咲夜の申し出はありがたいのだが。

 メイドとカード。
 実に危険な組み合わせのような気がする。


「パチュリー様と同じ反応されますね。傷つきました」
「いや、すまない。つい本音が出てしまった」


 時を操る能力を持つ彼女のことだ。
 何をしでかすか想像が付かない。


「信用されないんですね、私」


 咲夜の悲しそうな声に、霖之助は根負けしたように首を振る。


「わかったわかった。
 能力も技も使わないのなら、相手してもらおうかな」
「ええ。かしこまりました。少ししか使いませんよ」
「少しもダメだ」
「そうなんですか? じゃあやめておきます」
「そこまでかい」
「ライフワークですから」


 あっさりと諦める咲夜に、霖之助は頭が痛くなる思いだった。

 やはり彼女は、よくわからない。


「ふーん、漫画読んでると確かにやりたくなってくるわね」
「興味が湧いたなら……」
「やらないけど」
「…………」


 今日は厄日なのかもしれない、と霖之助は思い始めていた。

 そんな彼を、咲夜は楽しそうに見つめる。


「うん? 読むとやりたくなる……?
 そうだ、わかったわ!」
「何がわかったんだい」


 何か思いついたらしい。
 レミリアの紅い瞳が、なにやら怪しく輝いていた。


「咲夜が少女漫画を好きな理由よ。
 きっと無意識のうちにそれを欲しているのだわ」
「そうですかね?」
「きっとそうよ。恋に恋するお年頃というやつね。
 この前読んだ漫画にそう書いてあったわ」
「そういうものかね」
「間違いないわ。だって私も漫画読むと弾幕ごっこしたくなるもの。
 美鈴もなんかそう言う夢見たって言ってたし……」


 そこまで言うと、レミリアは真っ直ぐに咲夜を指差し、言い放つ。


「というわけで、咲夜。結婚しなさい」
「相手は誰ですか?」
「そこの店主でいいんじゃない?」


 なんてことを言うのだろう。
 あまりの展開に、霖之助は思わず絶句してしまった。

 ……さすがに当事者である咲夜が止めてくれると思ったのだが。


「仕方ないですね。
 結婚しましょうか、霖之助さん」
「いやいやいや、君はそれでいいのかい?」
「お嬢様の命令ですから。それに霖之助さんですし」
「と言ってもね」
「あら、私ではお嫌ですか?」
「嫌とかそういうこと以前に……」


 澄まし顔のメイドと悪巧み顔の吸血鬼に挟まれ、霖之助は頭を抱えた。

 事態は思わぬ方向に進んでいるらしい。
 どこから突っ込んだらいいのかわからず……そうこうしているうちにどんどん話は進展していく。


「私は霖之助さんならって思いましたのに」
「……どう取ればいいのかな」
「どうぞ、お好きなように」
「いい機会だから、咲夜に少女漫画を薦めてきた責任を取るのね」
「そうです、責任取って下さい」
「いや僕が薦めていたわけじゃないんだが」


 まさかこんな事でそのセリフを言われるとは思わなかった。
 いやもちろん言われたかったわけではない。

 そしてレミリアはまた何か思いついたように手をポンと叩いた。
 この現状でもまだ足りないようだ。


「あ、でもすんなりくっついたんじゃ面白くないわね。
 パチェあたりに頼んで対抗馬になって貰おうかしら」
「いきなり強力なライバル出現ですね。でも負けませんよ」


 なにやら闘志を燃やす咲夜。
 だんだん話が大きくなっている気がする。


「店主! 私、少女漫画が楽しめそうな気がするわ!」
「その楽しみ方は間違っている」


 盛り上がっているふたりをよそに、霖之助はため息を吐いた。



 しばらく好きにさせようと。
 話を振られた魔女がなんとか収めてくれるだろう、と期待しながら。





 そしてその判断が誤りだと言うことを、気付かないままに。

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非公開コメント

No title

面白かったです!
紅魔館組のからみはいいなぁ。

面白かったです!

レミリアは少女漫画は楽しめそうだ。
だが、少女漫画には大抵修羅場があるぜ。

No title

収めるどころか火に油注ぐような行為だぞ霖之助www

そして咲霖パチュの三角関係で収まると思ったら咲夜の応援をしていたおぜうが参戦しちゃうんですね、テンプレ的にw
紅魔館はマジ修羅場フラグの巣窟だぜ・・・・・いやまあ幻想郷に乙女がいる限り、そこに修羅場フラグはあるのかww

No title

楽しく読ませて頂きました
霖之助さんが青黒は予想通りでした
でも青茶とかも似合いそうですね

No title

実はこの展開を最初から狙ってないだろうな、咲夜w
このままいくと本妻咲夜愛人パチュとかになるのか……まあ、普通に一夫多妻になるだろうけどw

しかし、マジック……の漫画てデュエルファイター○なんだろうか(古

No title

みえる!むきゅーと鳴いて咲夜と争うぱちぇさんがみえる!
次の次の作品辺りにはっきりとみえるぞ!(チラッチラ

No title

パチェと霖之助が普通に良い雰囲気になってしまって内心泣きたい気持ちになる咲夜さんまで想像した。

MTGで幻想入りしてそうな漫画…初期のデュエルマスターズ?
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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