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子悪魔シリーズ23

パチュリーはネコミミが似合うと思います。


霖之助 パチュリー 小悪魔









「アーク小悪魔は無理でもグレーター小悪魔くらいにはクラスチェンジできる気がするんですけど、どう思いますか?」


 どう思いますかと聞かれても、どうなのだろう。
 霖之助が答えに窮していると、対面に座っていたパチュリーが口を開いた。


「レッサー小悪魔で我慢しておきなさい」
「いや、レッサーって小さいって意味じゃなかったかな」
「え?」


 思わず漏らした突っ込みに、キラリと小悪魔の目が光る。


「私、小さいですかね? 結構大きさには自信あるんですけど!」
「いや、そういう意味ではなく」
「大きさではお母様には負けるかもしれませんけど、形は負けてないと思うんですよね。
 見てわからないのなら触っていただいても構いませんよ!」


 寄せてあげて見せつけるように、霖之助ににじり寄ってくる小悪魔。
 息のかかる距離まで顔を近づけ、もう一度首を傾げる。


「構いませんよ?」
「大事なことらしいわよ」
「触れないようにしてるんだがね、いろんな意味で」
「んもう。お父様のいけずー」


 不満そうに唇を尖らせる小悪魔は、そこでようやく霖之助から身体を離した。
 霖之助はため息をつき、ふと疑問を口にする。


「そもそも、そんな簡単にクラスチェンジできるのかい? 要するに転職だろう?」
「あら、簡単ですよ」


 小悪魔はチチチと指を振った。
 ずいぶん自信満々な表情だ。

 もう一度考えてみるが……いまいち想像ができない。


「よくわからないんだが、君の場合は種族を変えるようなものじゃないのかい?」
「いえいえ、自分がそうだと思えばそうなるんですよ!
 お母様だって勝手に魔法使いって名乗ってるじゃないですか」
「人聞きの悪いことを言わないでちょうだい」
「それに、それは実力や結果が伴ってのことだろう」
「まあそうなんですけどー」


 巫女、魔法使い、メイド、吸血鬼。
 妖怪のみならず人間にとっても、職業や種族とは在り方に等しい。

 勝手に名乗っただけで変えられるものと言うわけではないと思うのだが。


「お父様だって勝手に名乗ってますよね? 古道具屋って」
「……結果が伴ってない、と言いたいのかい」
「売れない、を付ければ問題ないわ」
「パチュリー……」


 大きくため息をつき、反論しようと試みるが……。
 客が少ないことは認めざるを得ないので、二の句に困る。

 霖之助は仕方なく、小悪魔に視線を向けた。


「しかしそれが転職なら、悪魔の転職は変わってるね」
「そうですか?」


 小悪魔が変わっているだけという気もするが。
 精神に重きを置く妖怪なら、あながち違うとも言い切れないかもしれない。


「あれ? でも人間もそうやって変わるでしょ?」
「ああ、確かに……。人間が鬼になった事例もあったね」


 不思議そうに声を上げる小悪魔に言われて思い出した
 人間から鬼などの妖怪になった事例はいくつかある。

 確か地下にいる橋姫もその中のひとりだった気がする。
 ただ彼女の場合は明神に頼んでのことだったから、思うだけで転職というわけではないが。

 そうやって霖之助がパルスィの姿を思い浮かべていると……。


「お母様、アレ絶対他の女のこと考えてますよ。どう思います?」
「そうね、間違いないわ」
「いや、なぜ睨まれるんだい」


 考察くらいゆっくりさせて欲しいものである。
 霖之助はひとつ咳払いをすると、パチュリーと小悪魔の顔を見比べた。


「まあ、先ほどの橋姫のことも然りだがね。
 周囲からそう思われていると言うことも重要じゃないかな」


 橋姫は鬼のような姿で21日川に浸っていたらしい。
 つまり畏怖を集めていたと考えられる。

 これを信仰に置き換えれば、早苗のような現人神もその一種だろう。


「むぅ、じゃあ私の強さを見せつけておかないといけないんですかね」
「強いのかい?」
「ええ、そこそこは。具体的に言うと弾の当たり判定をごまかすくらいですかね」
「そう言われてもさっぱりなんだが」


 小悪魔は一応悪魔の端くれらしく、それなりに身体能力は高い。
 だがさすがに他の妖怪に比べると多少劣ってしまうのは仕方のないことだろう。

 ……復活速度は速いのだが。


「でも周りからそう思われてそれになるなら、お母様は猫になると思うんですけど」
「猫?」
「そうです、猫度満点ですよ。96点くらい」
「満点ねぇ」


 パチュリーによると96は3と4で割りきれる数らしい。

 3と4なら108点満点がいい、と小悪魔が主張していたことを思い出した。
 煩悩の数だから、だと。


「だってこの前、お母様はドロボウ猫だって言う話を」
「誰が言ってたのかしら」
「えー、それは企業秘密ですよ☆」


 イヤイヤをするように、小悪魔は首を振った。
 それからムフフという笑みを浮かべ、パチュリーに視線を送る。


「それにお母様、お父様のために猫耳と尻尾を生やす魔法を開発」


 小悪魔の台詞を遮るように、突然白い煙が立ち上った。
 しばらく経って視界が晴れると、そこにいたのは一匹の黒い猫。


「にゃーん!」
「魔女には黒猫だそうよ。でも元がアレじゃいまいちかしら」


 黒猫は何か言いたそうにパチュリーの椅子をカリカリと引っ掻いている。
 霖之助は猫からパチュリー、そして彼女の頭に視線を移した。


「猫耳、ねぇ」
「……嫌いだったかしら」
「いや……」
「むしろ大好きですよね」


 いつの間にか小悪魔は復活していたらしい。
 霖之助はもう驚かなくなっている自分に何より驚いていた。


「ところでお母様は種族魔法使いでしたよね」
「ええ、そうよ」
「別の職業に就こうとか思わなかったんですか?」
「思わなかったわ」


 生まれついての魔法使いが選ぶのは、やはり魔法使いだったようだ。

 しかしもし思うことで種族が変わるのなら、霖之助はどうなるのだろうか。
 人間と妖怪のハーフである、霖之助は。


「まあ、職業はいくつあっても困りませんからね。
 例えばお嫁さんとか☆」


 チラッと小悪魔が視線を向けてきた。


「小悪魔、お嫁さんにはなるんじゃなくてしてもらうのよ」
「あ、そうでした。少女から女にしてもらう感じでしたね!」
「…………」


 激しく突っ込みたい。
 だが突っ込んだら負けな気がする。

 この取り囲まれている感はなんなのだろうか。

 人知れず霖之助が戦慄していると、ふと小悪魔が首を傾げた。


「ところでお父様は、何か別の職業に就こうと思わなかったんですか?」
「さてね」


 話題が変わり安心したかのように、霖之助が思考にふける。


「子供の頃の夢とかなかったんです?」
「昔の記憶はなくてねぇ」


 思い出そうとしても、思い出せない。
 どのみち遙か昔のことだ。すでに忘れてしまっても無理はない。


「まあ、自分になにが向いてるか探すためにいろいろ修行はしてみたよ。旅をしながらね」
「へぇー。魔法使いになろうとは思わなかったんですか?」
「いや、その選択肢はあったんだけどね」


 思えば、自分が何者なのかということを探るため、様々なものに手を伸ばした気もする。
 パチュリーに弟子入りしたのもそのあたりの時期だ。

 だが、自分が魔法使いになろうという気はあまり起きなかった。
 パチュリーという偉大な魔法使いを前に、霖之助の興味が彼女をサポートすることに移っていったからだろう。


「そういえばだんだんと道具の方に興味を持っていったわね」
「あー、やっぱり昔からそうだったんですか」
「やっぱりってなんだいやっぱりって」
「えー? それはその、ねぇ」


 小悪魔は霖之助の視線を軽く受け流すと、頬に人差し指を当ててとぼけてみせる。


「で、いつも言ってる霧雨の親父さんのところで修行したんでしたっけ。
 あれって自分から行ったんですか?」
「もちろんさ。といってもあまり長い期間いたわけじゃないがね」


 何十年も外見の変わらない霖之助は、人里に長くいるととても目立ってしまう。

 だが最近では人里で妖怪の姿をよく見かけるし、そもそも阿求に言わせれば自意識過剰らしい。


「道具屋で修行したから道具屋なんです?」
「僕の能力を生かすためでもあるね。
 霧雨の親父さんのところだとあまり魔法の品を扱わなかったから」


 道具の記憶を共有し、名称と用途を知る。
 その能力を生かすために霖之助は独立し、自分の店を構えた。

 だがやはり自分の店を持つというのはずっとやりたかったことだ。
 遅かれ早かれ、こうしていただろう。


「なるほど、夢が叶ったというわけですね」
「ああ、そうだね」
「夢は叶えるもの。でも問題はそこからよ」
「……今まさに実感中さ」


 パチュリーの言葉に、霖之助は苦笑を浮かべた。

 夢は叶えてしまえばただの現実である。
 これからはその現実といかに付き合っていくかがが焦点だ。


「ところでお父様、次の夢は決まったんですか?」
「次かい? さて、なんだろうね」


 あるようでもあるし、ないようでもある。

 霧雨の親父さんの教えによると、夢はいつも心に抱いておくものらしい。


「あ、すみません、勘違いしてました」
「ん?」
「お父様が次になりたいものはお婿さんでしたね!」
「…………」


 再び話題が戻ってきた。戻ってきてしまった。
 ひょっとしたら今までの会話が長い伏線だったのかもしれない。


「違うわよ」


 首を振るパチュリーが、一筋の光明に見えた気がした。
 しかし。


「婿入りか嫁入りかは、まだこれから決めるんだから」
「あ、そうだったんですね! これは出過ぎた真似を」


 恭しく礼をする小悪魔に、突っ込むべきかどうか悩む。
 だが霖之助が迷っているうちに、どんどん会話は進展していく。


「そういえば式場は決まったんでしたっけ?」
「レミィがやろうとしてたみたいだけど、細かいことがわからないみたいでね。
 なんだかお寺の住職が是非うちでやってくれって言ってたから、ちょっと考えてるんだけど、どうかしら?」
「いや、初耳なんだが……それより」


 言うべきことはたくさんある。
 聞くべきこともたくさんある。

 だが今は、もっと重要なことを確認しておこうと思った。


「……さっきの猫耳の魔法、完成したのかい?」

コメントの投稿

非公開コメント

No title

きっと相方さんがプロフィール画面のパチュリーに猫耳を加えてくれるはず…!

No title

おつかれさまです。
今回は小悪魔が絶好調な話でしたね~^^
それに加えてパチュリーも大分乗ってきていましたしw
猫耳にものすごく興味がある霖之助もおもしろかったです><
次回も期待しています。頑張ってください。

No title

この三人の掛合いが好きすぎて顔がニヤけますww

小悪魔は普段どうり、再生能力は某犬面悪魔に劣らないんではないでしょうかww
パチュリーは泥棒猫ですよね!
他の少女達から大切なモノを奪っていったんですから
霖之助さんは猫耳に興味があったか!やっぱ猫好きなのかwww

このシリーズ大好きなのでこれからも続いてくれる事を願います!

小悪魔とパチェの2人で霖之助をおちょくるのは、やはりいいものだ

ジョブチェンジした小悪魔……INTやWILが高そうなので白魔道士や黒魔道士に向いてそうですね。
あるいはボケのセンス的な意味で竜騎士とか。

小悪魔の発言を借りるならば、パッチェさんは大きいだけで形は悪いと。
何の話かは分かりませんが。
まぁ大きくなるにつれて自らの重さで垂れるとは言いますしね。
えぇ、何の話かは分かりませんが。

No title

ほとんど一瞬で元に戻るこあマジスゲェwww

あと 結婚の話<猫耳魔法 ってどういうことだ霖之助www

No title

猫度、それに96点満点とは・・・
「猫談義」ですね!
懐かしいネタもあって面白かったです!
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道草

Author:道草
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フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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