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牡丹と巫女

千と二五五さんに書け天測で負けたので、
『18禁(重要)の華霊霖(できれば霖→華→霊→霖)
 罪悪感の沸くような華仙ちゃんのエロシーンがあると嬉しい』というネタを書くことになりました。
華扇霖というか霊華霖というか。

あいにくネチョまで行かない前編ですけど。
会ってないのに勝手に好感度の上がっていく霖之助、と言うのをやりたかったので。ウフフ。


霖之助 華扇 霊夢








「霖之助さん、お茶ちょうだい」


 霊夢が放った言葉に、霖之助は思わず作業の手を止めた。
 メンテナンス中だった時計をカウンターに置き、驚いた顔で彼女を見る。


「霊夢、疲れているのかい?」
「なんでそう思うのよ」
「だって、いつもだったら自分で用意するだろう?」


 勝手にね、と付け加えると、霊夢は視線を逸らした。
 無論ツケに加えているので、タダではないのだが。


「ま、霖之助さんの言う通りなんだけど。
 ちょっとね、さっきまで説教されてて疲れちゃって」
「ふむ? 映姫が神社まで来たのかい?」
「ううん、閻魔じゃないんだけど……」


 首を振る霊夢の前に、霖之助はお茶の入った湯飲みを置いた。
 いつの間にか香霖堂に置いてあった彼女専用の湯飲み。
 これだけで霊夢の来店頻度が窺える。


「ありがと」


 お茶を口に運び、ほぅとため息。
 どのみちそろそろ休憩しようかと思っていたので、タイミング的には問題なかった。

 霖之助も自分の湯飲みにお茶を入れ、一息。


「小町も職業柄説教くさいらしいがね、どちらかというと説教を受けてる姿の方が」
「そうじゃなくて」


 またも否定する霊夢に、霖之助は首を傾げた。
 閻魔でも死神でもなく、説教くさい人妖。

 該当者が思い浮かばない霖之助を見て、霊夢は肩を竦める。


「仙人よ」
「仙人?」
「ええ。霖之助さんは会ったことないのかしら」
「あいにくとね」
「……ま、その方が幸せかも」


 そう言って霊夢は大きく息を吐いた。
 よほど参っているらしい。


「最近神社に顔を出すようになったんだけど、どうにも小言がうるさいのよね。
 あれはダメだとかこれをやれとか、もう疲れちゃって」
「ふむ、まるで保護者だね」
「本当よ。そんなのもう間に合ってるのにね」
「それは誰のことかな?」
「さあ」


 霊夢はとぼけてみせると、湯飲みを口に運んだ。
 幸せそうなその顔を見ていると、細かいことが気にならなくなってくる。


「それにしても仙人か」


 仙人と言えば、天人になるため欲を捨てる修行をしている人間たちのことだ。
 人里から離れて生活しておりあまり見かけることはないが、この幻想郷ではいろいろな仙人がいるため、霊夢が言うように好奇心旺盛な仙人がいてもおかしくない。

 もちろん人間に限らず妖怪が仙人もいる。
 そして仙人と言えば宝貝という道具を持っており、霖之助は是非それを見てみたいと思っていた。


「……霖之助さん?」
「ん?」


 仙人について思いを巡らせる霖之助に、霊夢は何か言いたそうに声をかける。
 だが彼女はその言葉を飲み込み、ため息をひとつ。


「霖之助さん、ひとつ買い取ってもらいたいものがあるんだけど」
「ああ、面白いものなら構わないよ」
「河童から貰ったんだけどね」


 そう言って霊夢は持ってきた鞄から細長いものを取り出した。
 巻いてある新聞紙を取り、カウンターの上に置く。

 ちなみに巻いてあったのは文々。新聞らしい。
 霖之助も見たことのある見出しが躍っていた。


「なるほど、河童の腕か」
「そうなのよ。御神体にしようかと思ったんだけどさっきの仙人にダメ出しされちゃって」
「……霊夢らしいと言えば霊夢らしいね」


 事の顛末を聞き終わり、霖之助は肩を竦める。

 河童の腕と言ってもおもちゃのようなものだ。
 外の世界のマジックハンドという道具によく似ている。

 霊夢も参拝客を集めるためにいろいろやっているらしい。
 鷽を集めたり、ご神木を祀ったり。

 すぐに飽きてしまうせいか、どれも結果は出てないようだが。


「まあ、今日のお茶代くらいにはなるかな」
「えー、明日のお茶代にもならないの?」


 話しているうちに鑑定が終了した。
 むくれる霊夢に、手をあげて制す。


「そう言うセリフはツケを払ってから言うものだよ。
 それにこのタイプの道具は正直珍しくなくてね。
 河童に頼めばいくらでもくれるものだし、現に僕もいくつか持ってるんだ。
 気に入らないなら返すけど」
「持ってても仕方ないのよねぇ」


 彼女のため息で、交渉成立となった。
 と言ってもあまり価値がないのも事実。

 とりあえず何かに改造してみることにした。





「しかし、どんな仙人なんだろうね」
「…………」


 霖之助が漏らした呟きに、霊夢は妙な胸騒ぎを覚えた。

 彼がどこか遠いところに行ってしまいそうな、そんな予感を。

 巫女の勘、だろうか。
 それとも……。









 冬も終わり、鶯の鳴く頃。

 その日は珍しく朝早くから霊夢がやってきた。
 そして彼女が何も言わず疲れたように座ったので、霖之助も何も言わずにお茶を入れる。


「で、ツケを払う目処はついたのかな」
「ごめんなさい……」


 くたり、と霊夢はカウンターに突っ伏した。
 その顔には疲労の色が濃い。


「金を掘るのもダメで、グッズも中止。
 河童へのツケが増えたからむしろマイナスだわ」
「そのツケを立て替えたのは僕だがね」


 少し前、山の方で地滑りが起った。
 それを改善するためにダム計画が持ち上がったのだが……。

 ダムは観光資源になるとかグッズを販売するとか息巻いていたわりに、その後すぐダム計画は中止になった。
 あとに残ったのは、不良在庫とグッズを制作した河童へのツケというわけだ。

 その時の霊夢の落ち込みようは霖之助から見ても痛々しかった。
 今もまだ少し引きずっているようだが。


「で、またあの仙人にいろいろと言われたのかい?」
「ええ、そんなとこ……」
「なかなかいいことじゃないか。面倒を見てくれる人がいるのはそれだけでありがたいことだよ」
「そういうの、ひとりでいいんだけどね」


 霊夢はため息を吐くと、霖之助をじっと眺めた。
 だが彼女の視線の意味がわからなかったらしく、彼は疑問の言葉を重ねる。


「でも、ずいぶん今日は疲れているようだね」
「……誰のせいよ」
「何か言ったかい?」
「なんでも」


 首を振り、気分を切り替えるように身体を起こす霊夢。
 それから思い出すように、こめかみに人差し指を添えた。

 苦い記憶のようで、少しだけ頬が引きつっている。


「この前ちょっと修行してきたのよ。仙人のところで」
「ほう? それで最近姿を見せなかったのかな」
「そうなの。心配した?」
「何か面倒ごとに巻き込まれてるんだろうとは思ったけどね」


 質問にイエスともノーとも答えない霖之助に、霊夢は唇を尖らせた。
 だがいつものことと割り切ったようで、言葉を続ける。


「せっかくグッズまで作ったのにダム計画が中止になっちゃったから、
 代わりにあいつになんか出し物をお願いしようと思ったのよ。
 仙人なら仙人芸とかできると思って。でも怒られちゃったわ」
「いや、それは怒るだろう」


 要するに見せ物になれと言うことだ。
 霊夢としては試しに言ってみただけなのに、それほど怒られるとは思わなかったのだろう。


「そーね。欲にまみれすぎてるとか言われて、あいつの家まで連れて行かれたわ。
 修行だって言われて、竜に掴まれて……」
「竜というと、あの?」
「ええ、子供だったけど」
「ふむ……となると結構徳の高い仙人になるんだろうか」
「知らない。興味もないし」


 話によると、そのあとあの仙人は鳥に乗って飛んできたらしい。
 修行中も動物だらけだったので、今でも霊夢は動物園だと思っているようだ。


「その仙人はどんな家に住んでいたんだい?」
 動物と一緒に住んでいるというわけではなかったのかな」
「ん~……」


 連れて行かれたのは妖怪の山で、住んでいる場所が場所のため早苗とは顔見知り。
 家というより道場だと言っていた。

 だが。


「……霖之助さん、ずいぶんあいつのこと気にかけるのね」
「そうかい?」
「そうよ」


 最近霖之助はことあるごとにあの仙人のことを聞いていた。
 そのことを、霊夢はあまり好ましく思ってないようだった。


「まあ、霊夢の面倒を見ていると聞いたせいかな?
 娘を持った親同士というか、なんか他人とは思えなくてね……ってどうかしたかい?」
「別に」


 不機嫌そうに顔を背ける霊夢を、霖之助は不思議そうに見つめていた。





「霊夢?」
「知らない」


 霖之助は相変わらず、霊夢が何故怒っているかを理解している様子がない。

 ――だから、ますます気に入らない。


「霖之助さんのばか」


 せめて、言っておきたかった。
 きっとわからなくても。

 今のうちに、言っておきたかった。











 最近多かった夕立と雷が一段落し、ようやく天気が落ち着きを取り戻してきた。
 代わりにやってくるのは燦々とした太陽。

 季節はあっという間に夏だった。



「君がうちに来る時はいつも疲れてる気がするね」
「今回ばかりは私のせいじゃないわよ……」


 今日も霊夢は香霖堂のカウンターに突っ伏していた。
 いつも通り霊夢の文のお茶を入れようと立ち上がる霖之助の背中に、彼女の言葉がぶつかる。


「霖之助さん、雷獣って知ってる?」
「ほう、珍しい動物を知ってるね。
 最近全く見てなかったんだが……なるほど、雷に魅入りでもしたかい?」


 雷獣とは文字通り、雷を呼ぶ非常に珍しい獣である。
 雷獣が現れる時の雷には毒があり、その雷に気を取られると廃忘して痴にいたるという厄介なものだ。

 つまりはまあ、やる気がなくなるのである。
 目の前の霊夢のように。


「知ってたの?」
「長く生きてるとね。その様子だと霊夢は知らなかったのかな」
「まあ……そうだけど……」


 霊夢の様子だと、誰かに教えてもらったのだろう。
 霖之助はそう考え、いつもとは別の戸棚に手を伸ばした。

 湯飲みにお湯を注ぎ、完成。


「なにこれ」
「コーン茶さ。雷獣の毒には玉蜀黍がよく効くからね」
「あ、そこまで知ってるんだ」
「まあね。先人の教えというやつだよ」
「私も玉蜀黍は食べたわよ」
「芯ごとかい?」
「ええ、細かく砕いて。それは早苗がやったんだけど」
「だったら立ち所に快復するはずなんだが」
「だるいものはだるいのよ」


 くたびれたするめのように伸びていく霊夢に、霖之助は苦笑を浮かべた。
 やる気が出ないのを雷獣のせいにしているだけのような気もする。


「ちなみにもろこしという和菓子があるがあれは別物だ。
 僕はどっちかというともろこしよりもちきびの方が好きだが」
「食べられればなんだっていいわよ」
「それは僕に何かを期待しているのかな」


 そこまで言って、霖之助はふと気がついたように霊夢に視線を向ける。
 雷獣のことを知らなかったのに、きちんと対処法を取ったというのはつまり。


「もしかして彼女に教えてもらったのかい?」
「霖之助さん、なんでそんなに嬉しそうに言うの?」


 先ほどのやりとりとは打って変わり、彼女の不機嫌な質問返しに若干面を食らう。
 今までこういうことはあまりなかったせいもある。


「いや、別に嬉しそうというわけでも…」
「声色が全然違うじゃない」
「そう……だったかな? いや」
「全然違ったの! 私相手の時と! だって……」
「ごめんください」


 彼女の言葉は、来訪者の声によって途中で遮られた。


「こちらに霊夢がいると聞いたんですけど」
「あ、ああ」


 霖之助が振り向いた先にいたのは、美しい女性。

 桃色の髪をふたつにまとめ、いわゆるお団子にまとめている。
 中華風のドレスと、胸につけた牡丹のような花飾りがよく似合っていた。

 右腕に包帯を巻いているのが、異様と言えば異様だったが。


「……あんた、何しに来たのよ」
「何って、霊夢を捜しにだけど」


 やりとりから察するに、霊夢の知り合いらしい。
 霖之助の視線に気づいてか、彼女は微笑み、会釈をひとつ。


「はじめまして。私は茨華仙、ただの行者です」
「どうも、この店の店主、森近霖之助と言います」
「本名は茨木華扇だって」


 先ほどから何故か不機嫌そうな霊夢の呟きに笑顔で返し、華扇は一歩、霖之助と距離を詰めた。

 にこやかな笑みの下に何を考えているのか窺い知ることはできない。
 だがその笑みはうさんくささよりも正義感と真面目さを感じさせられた。

 カラ回っている、というのは霊夢の評価だが。


「霊夢から話は聞いてますよ。いろいろとね」
「ふむ?」


 霊夢を見るが、彼女は素知らぬ顔。
 いったい華扇にどんな紹介をしたのか、霖之助は珍しく気になっていた。


「霊夢の保護者代わりらしいですね」
「あくまで代わりさ。そう言う君こそ、ずいぶん霊夢の面倒を見ているそうじゃないか。
 こういう場合はありがとう、でいいのかな」
「私が好きでやっていることですから」


 そこでふと、華扇は困ったように頬に手を当てた。


「でも私がいくら言っても言うことを聞いてくれないんですよね。
 いったいどういう教育をされてきたのやら」
「……何か僕に言いたいことがあるようだね。
 君のことも聞いているよ。説教が長いとね。
 霊夢や魔理沙が口をそろえて言っていたな」
「あら、本来経験を積まねばわからないことを言葉という形にしているのですから、多少は長くなって当然でしょう?
 そう言うあなたも話が長いと聞いてますよ。霊夢や魔理沙から」


 ふふふ、とお互い一見にこやかな笑みを浮かべて語り合う。

 一度話してみたいとは思っていたが、とことん議論する価値のある相手のようだ。


「帰る」
「あら、そうですか?」


 しかしそんな矢先、霊夢が突然立ち上がった。
 驚く霖之助をよそに、華扇も同じく立ち上がる。


「ついてこないでよ」
「そうはいきません。私はあなたに用があるのですから」


 華扇に何か言いかけ……霊夢は口を閉じる。


「…………」


 睨むように霖之助と華扇を見比べ、やがて改めて腰を下ろした。


「じゃあ、もう少しいる。用件があるなら霖之助さんに言ってちょうだい」
「霊夢、あまり無茶を言うものではないよ。彼女だって困ってるだろう」
「いいのよ。霖之助さんだって話し足りないんでしょう?」
「え?」


 霊夢の言葉に意表を突かれた。
 そんな風に見えたのだろうか。


「……顔に書いてあるのに」


 戸惑う霖之助に、とどめの一言。
 それきり彼女は黙ってしまった。

 華扇を一瞥もしないまま。


「もしかして、嫌われてるのでしょうか」


 困ったように首を傾げる華扇に、霖之助は少しだけ考えるそぶりを見せる。
 霊夢の態度から明らかなのだが、きっと何か理由があるのだろう、と。


「いや、この子はいつだってこんな感じだよ」


 間違ったことは言ってないはずだ。
 そう思い込むと、霖之助は新たな湯飲みを用意した。

 待ち望んだ相手との会話に、少しだけ心が躍る。



 いつもより高価な煎餅を不機嫌そうに囓る霊夢の視線を、横顔に浴びながら。

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非公開コメント

宝貝は……まぁ仙人ですけどw
華扇の腕は、宝貝だとどんな名前になるんでせうかね……。

続き、楽しみにしてます。

No title

なんて乙女なんだ霊夢ちゃん。
オリジナルの小説だったらポジション的には「すでに主人公に惚れている幼馴染」ですかね?
このポジションのキャラはあまり人気がなさそう(ていうか個人的に好きでないだけ)なのに霊夢だと応援したくなるのは私が東方厨だからでしょうか。

華扇の話は道草さんのが初めてですので非常に楽しみです!
続きも他の話も頑張ってくださいね。

霊夢の嫉妬の念を感じ取って地下の橋姫がアップを始めたようです。

まだまだ少ない華扇とのお話どんな展開になるか期待してます

No title

霊夢が切ない……って書くと、失恋してるみたいですね
でも、霊夢の乙女加減が素晴らしい

昼ドラ…ウフフwww
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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