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便利な言葉

妹ものをやってみよう、というショートショート。
しかし妹を書くと黒歴史の扉が開く……!

便利な言葉だよ家族って!(cv柚)


霖之助 早苗 霊夢








 霖之助は香霖堂への道を早苗と歩いていた。
 先ほど無縁塚の帰りにばったりと会い、店に来る途中だったという彼女とそのまま一緒に行くことにしたのだ。


「しかし運がいいね。僕が帰る前に来ても店は休みだったよ」
「私、運の良さには自信があるんです。
 なんせ神様が二柱もついてますから」
「ああ、神と言えば……」


 他愛もない話をしながら歩き、やがて香霖堂のドアをくぐる。
 出たときのままの店内に……ふと、違和感を覚えた。


「……ん?」
「どうしました?」
「いや、誰かいるような……」
「まさか、泥棒ですか? 私に任せてください!」


 泥棒ならよく来るけど、とは言えない雰囲気だった。
 この少女は融通が利かないところが玉に瑕である。


「霖之助さんは私の後ろにいてください」


 早苗は御札を取り出し、臨戦態勢を取った。
 少女に守られているのは……何となく、気恥ずかしいものがある。

 物々しく店の奥へと向かう早苗に、霖之助は肩を竦めた。


「……早苗。やっぱりそんなに警戒する必要はないと……」
「静かに、縁側に誰かいます!」


 ため息。
 霖之助にはこの騒動の原因が既に予想出来ていた。

 ゆっくりと歩み寄り……。
 早苗は気の抜けた声を上げる。


「霊夢?」
「ああ、だろうと思ったよ」


 霊夢は霖之助の服に身を包み、縁側に干してあった布団の上でうたた寝をしているようだった。
 またなにかで破いたのだろう。
 近くに霊夢の着ていた服が畳んで置いてある。
 修理しろ、と言うことだろうか。

 ちゃっかりと高いお茶が用意されているのは……いつものことだ。


「やれやれ、仕方ないな……」


 霖之助は自然な動作で、寝ている霊夢の頭を撫でた。
 早苗はそんなふたりを眩しそうに見つめ……首を傾げる。


「霖之助さん」
「なんだい?」
「霖之助さんって、霊夢や魔理沙に甘すぎるんじゃないですか?」


 少しだけ、トゲのこもった言葉。
 もちろん霖之助は気づかない。


「まあ、そうかもしれないね」
「どうして……です?」
「簡単さ」


 霖之助は寝ている霊夢を見下ろし、当然のように言った。
 微塵も考える素振りもなく。


「霊夢は、妹みたいなものだから」


 うーん、と霊夢が寝返りを打った。
 霖之助は手を引っ込めると、早苗に向かって苦笑する。


「魔理沙は娘……いや、姪かな?
 どのみち家族のようなもので……多少の甘えは可愛いものさ」


 それに彼女たちもたまには利益を運んでくるわけだし。
 ……本人たちには言えないが。


「甘え……そう、ですね」


 早苗はなにやら納得したように頷いていた。
 霖之助は首を傾げたが……気にしないことにして、踵を返す。


「……もう行こうか。危険はないようだし。
 君たちがいれば、危険なものなんてないと思うけどね」
「ふふ、そうかもしれませんね」


 去っていく霖之助の後に続こうとして、早苗は立ち止まった。
 そして誰に対してと言うわけではなく、ただ呟く。


「今の立場に甘んじているなら……動けなくなりますよ?
 だからといって遠慮はしませんけど」
「早苗?」
「はい、ちょっと待ってくださいね……」


 遠ざかっていく足音。





 何も音のしなくなった縁側で、霊夢はむくりと上体を起こした。


「わかってるわよ、そんなこと……」


 わかっているつもりだった。
 なのに何故、はっきりと言われただけでこんなに苦しいのだろう。


「妹、かぁ……」


 家族。
 便利で、残酷な言葉だ。


「お兄ちゃんの、ばーか……」

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鼻血がっ………

本当にごちそうさまでした
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道草

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