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月のかけらを探しに行こう

東方創想話に七夕のパル霖をアップしました。
よろしければ読んでやってください。

でもあれは少々甘みが少ないのでルナ霖。
小さい子を書くと落ち着くよね!外見的な意味で。


霖之助 ルナチャイルド








「もっとちゃんと探しなさいよね!」
「わかってるよ、小さなお客様」


 霖之助は苦笑して、後ろを付いてくる小さな妖精に返事を返した。
 自分で作ったという料理を持って、ルナチャイルドが突然押しかけてきたのが数刻前。


 ――探したいものがあるからこれで手伝いなさい!


 結局それをおかずに一緒に夕食を食べ、夜の竹林へと繰り出したのだ。

 香霖堂は生き物を扱わない。
 だから商品としてではなく、霖之助個人として彼女を手伝う事にした。

 彼なりの目的もあるが、何故だかこの小さい身体で頑張る妖精が気になったというのもある。


「夜なのにけっこう明るいな」
「このあたりはいつもこうよ。それに……月も出てるし」


 迷いの竹林は不思議と月を遮らない。
 空に昇る十六夜の月が、ふたりの姿を照らし出していた。


「昨日あんなに丸かった月が今日はあれだけになってるんだもの。
 きっとどこかにかけらが落ちてるに違いないわ。
 月と言えばこの竹林だって魔法使いが言ってたし……」
「ああ――そうかもしれないね」


 昔の魔理沙もそんな事を言って流れ星を探しに行った事がある。
 あれは流星祈願会のあとだったか。
 結局遅くまで帰ってこない魔理沙を捜しに幻想郷内を駆け回ったのだった。

 霖之助は昔を思い出し、懐かしむと……いつの間にか目の前の妖精に小さかった頃の魔理沙を重ねている事に気が付いた。
 ……だから放っておけないのだろうか。

 どちらにせよ、月の欠片が本当にあるかどうかは定かではない。
 だがあるならば月の道具も落ちてきているかもしれない。
 可能性があるなら動いてみるのも……悪くない。

 それに月を探しに行くのに月の妖精がついているのだ。
 験を担ぐ霖之助は、予感めいたものを感じていた。


「むぅ~……」


 くるくるとロールされた彼女の髪が霖之助に追いつき、追い越す。

 歩幅が違うせいだろう。
 いつの間にかルナチャイルドより結構前を歩いていたらしい。
 妖精の身長では同じように歩いたところで決して追いつけない。

 少し怒ったようにして走るルナチャイルドの姿が一瞬揺らぎ……。


「きゃっ」
「おっと」


 勢い余ってか、突然転びそうになった彼女を後ろから抱きしめるようにして支える。

 月を写したかのようなルナチャイルドのつぶらな瞳が、霖之助の眼前にあった。
 驚きと……それから羞恥の色に染まる。
 みっともないところを見られた、とでも思っているのだろうか。


「……ありがと」


 けれども彼女はぶっきらぼうにだがきちんと礼を示した。
 霖之助はひとつ頷くと、ルナチャイルドの身体を地面に下ろす。


「飛ぶかい?」
「いい。上からだと月が落ちててもわからないもの」
「そうか」


 今度は転ばないように、とルナチャイルドは気をつけて歩き出す。
 一瞬霖之助を気にした素振りを見せ……。


「じゃあ、遠くは僕が探すから君は足下を頼むよ」
「わかったわ」


 小さな歩幅で歩く彼女に合わせ、霖之助は歩みを弛めた。

 違うリズム、でも同じスピード。
 半歩前を歩くルナチャイルドは彼の歩幅が変わった事に気づき、鼓動が高まるのを感じた。


「……ねぇ」
「なんだい?」
「何か話しなさいよ。
 静かなのは嫌いじゃないけど静かすぎるのは嫌なの」
「そうだね……」


 霖之助は一瞬考え、目の前を歩くルナチャイルドの小さな翼を見つめた。


「妖精という種族はみんな夜行性なのかい?」
「そんなわけないじゃない。月の妖精である私だって、いつもは寝てる時間よ。
 今日はその……」
「今日は?」
「……もったいないじゃない」
「何故だい?」
「それは、その……何か拾えるかもしれないからよ!」


 ひとつ叫ぶと、走り去っていくルナチャイルド。
 しかし数メートルも行かないうちに、心細げに立ち止まる。


「……怒った?」
「いや、気にしてないよ」


 突飛な行動は知り合いの少女で慣れている。
 ましてや相手が幼い妖精なら寛大にもなろうというものだ。
 あくまで見た目の話で、実年齢がいくつかはわからなかったが。

 しばらく先ほどと同じように歩く。
 やがて沈黙に耐えかねたのか、ルナチャイルドが声を上げた。


「じゃ、じゃあ。何か喋ってよ。お願いだから」
「しかし道具……いや、月の欠片を見つけないといけないのだろう?」
「そんなのどうだって……ああ、ううん。そうだったわね」


 後ろから見てもわかるくらいシュンとうなだれるルナチャイルドの姿に、
霖之助は内心苦笑しながら頭の中を検索し、話を組み立てる。


「そうだね……じゃあ、月にまつわる話をしようか」
「ほんと?」
「おいおい、前を向いて歩かないと危ないよ……いや、仕方ないな」


 霖之助は彼女を抱き上げ、自らの肩に乗せた。
 状況を把握し、ルナチャイルドの顔が瞬時に赤く染まる。


「ちょ、ちょっと……!」
「済まないが、僕は話し始めると周りが見えなくなるタチでね。
 代わりに周りを見てくれると助かるんだが」
「ふ、ふん。そう言う事なら仕方ないわね」


 霖之助は竹林を歩きながらルナチャイルドに語りかけた。

 月のお姫様の話。
 月で変身する怪物の話。
 月で餅をつく兎の話。
 武装して戦う錬金術師の話。
 月のプリンセスの話。
 赤い月の吸血鬼の話。

 それから、月の神であるツクヨミの話。


「ねえねえ、他には?」
「そうだね、あとは……」


 霖之助が言葉を探していると、突然ルナチャイルドが声を上げた。


「あっ」
「どうした?」
「今何か光ったわ、あそこ」


 彼女が指さす方に目を凝らしてみるが、霖之助には何も見えない。


「ちょっと拾ってくる!」
「ああ、頼むよ」


 月の妖精だから見えたのかもしれない、と期待が高まる。
 しかし……。


「これって……」







「…………」
「何よ魔理沙、呆然としちゃって。あら……」
「あやや、なんですかおふたりとも。こんなところ……で……」
「あら、珍しく今日は店に人が多いの……ね……?」
「うん? なんでこんなにみんな固まってるん……だ……」

「う~ん……」


 衆人の見守る中、ルナチャイルドは霖之助の膝の上で軽く寝返りを打つ。
 体格差のせいか膝の上にすっぽりと収まり、猫のように丸くなっていた。
 ……今は寝返りを打ったせいで、霖之助に抱きつくような形になっているが。


「ん~……」


 ルナチャイルドの手の中にある石が柔らかな輝きを放つ。

 残念ながら見つけたのは月の欠片ではなかった。
 名称:月長石。またはムーンストーン。
 用途は悪霊を祓うこと、予知能力を高めること。


「りんのすけぇ……月ぃ……」


 石言葉は、恋の予感。

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No title

これはいい霖之助、

BGMはみんなの歌のアノ神曲ですか?


これは連載ものですよね?仮タイ:妖精シリーズ。
文才?センス?ともかく此れだから面白い話を書く人は妬ましい

ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる・・・・・・・
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