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紅の王

『紅四重奏』の続きっぽく。
しばらく銀髪強化のつもりが金髪っ子も可愛いですよね!


霖之助 フランドール









「魔王ってどうやったらなれるのかな?」
「……またずいぶん変わったものに興味を持つね、フラン」


 ベッドに寝転びながらぽつりと漏らしたフランドールの言葉に、霖之助は首を傾げた。

 最近訪れる頻度が増えた、フランドールの部屋。
 部屋にはぬいぐるみや家具が増え、以前のような殺風景さはなりを潜めている。
 中でも特筆すべきなのは、来客用の家具が増えた事だろう。
 今霖之助が座っているソファーもそのひとつだ。

 それにしても、今読んでる本の影響だろうか。
 確か彼女が読んでいたのは、異世界を舞台にしたファンタジー活劇漫画だったはずだ。
 天狗の漫画をレミリアが集めているので、それが渡ってきたのだろう。


「だって魔王っていつも楽しそうに笑ってるでしょ?」
「まあそれは様式美というか、魔王といえば笑うものだからね」
「そうなの?」


 魔王と言えば高笑いである。
 それが何故かは霖之助もわからないが、あえて言うなら似合うから、だろうか。
 絶対の自信を持つ者が上げる笑い。

 確かに魔王には似合っていて楽しそうではある。


「それに魔王って一杯仲間がいるんだもの」
「なるほど」


 配下を仲間と呼ぶかはさておき、フランドールにはそう見えたようだ。

 霖之助は読んでいた本を閉じると、ひとつ頷いて彼女に向き直る。
 すると彼の読書タイムが終わったと見てか、フランドールはベッドから身を起こし、霖之助の隣に腰かけた。

 他の用事で紅魔館に来ていた霖之助だったが、ついでに図書館で本を借りたあとフランドールに会うため顔を出した。
 彼女は霖之助が自分以外の用事で来ると、なるべく彼の邪魔をしないよう大人しくしている。
 何でも好きな事をしていいとフランドールが言うので、つい先程借りてきた本を読む事にしたら彼女も本を読み出したのだ。

 ――曰く。おじさまと一緒にいて、同じ事をしているだけでも楽しい、と。


「しかし僕の知り合いに聞いた話によると、王とは孤独なものらしいけどね」
「おじさま、王様とも友達なの?」
「友人というか……まあ、似たようなものだよ」


 霖之助は曖昧な笑みを返しつつ、王の姿を思い浮かべる。
 もっともどちらかと言えば夜の帝王や不死者の女王という呼ばれ方をしているので、王様と言っていいのかは怪しいところだ。


「その王様はね、親友やたくさんの部下もいるが、ただひとり自分の近しい者とはなかなか打ち解ける事が出来ないでいるらしいんだ」
「ふーん、それが孤独の理由?」
「ああ、そうなるかな」
「……馬鹿みたい」
「ふむ、どうしてそう思うんだい?」


 唇を尖らせたフランドールに、霖之助はゆっくりと問いかける。
 誰の事を指しているのか察しているわけではないようだが。


「たったひとりのことなんて無視しちゃえばいいのよ。
 トモダチも仲間もいるのに孤独だなんて、欲張りすぎなんじゃないの?」
「欲張りなのは確かだけどね」


 霖之助は苦笑を浮かべつつ、首を振った。
 それからしばし考え込むと、やがて視線を上げてフランドールに向き直る。


「じゃあ君に100人の友人がいるとして」
「私に? そんなにいないよ?」
「例え話だよ。そしてフランが僕と疎遠になったりしたら、君は友人を選ぶのかな?」
「えっ……」


 その問いに、フランドールは絶句した。
 そしてみるみるうちに瞳が潤んでいく。


「ごめん」
「……おじさまのいじわる」


 頭を下げる霖之助に、フランドールは拗ねたようにそっぽを向いた。
 しばらく彼女はそうしていたが、我慢できなくなったかのように霖之助の服の裾をそっと握った。


「おじさまは私の大事な人だもの。比べるなんて出来ないもん」
「それは光栄だね」


 霖之助はフランドールの頭を撫でながら、笑みを零す。
 彼女は気持ちよさそうに眼を細め、こてんと霖之助に寄りかかった。


「でもやっぱり私、王様になってみたい」
「そうかい?」
「うん。だって王様だったら、好きな時におじさまを部屋に招待できるでしょう?」


 フランドールは上目遣いで彼を見上げる。
 不安げに揺れるその視線を受けながら、霖之助はゆっくりと頷いてみせた。


「僕でよければいつでも……とはなかなかいかないけど、暇があれば顔を出すよ」
「本当? 絶対だからね?」
「もちろんだとも。フランドールがいい子にしているならね」
「うん。約束よ、おじさま」
「ああ、約束だ」


 小指と小指で、指切りひとつ。
 嬉しそうな彼女につられ、霖之助も思わず顔を綻ばせた。


「けどおじさま、王様ってどうやったらなれるの?」


 フランドールはそう言って首を傾げる。
 単純に疑問なのだろう。

 物事に興味と持つのはいい事だ。
 霖之助はそんな事を思いながら、何となく嬉しくなった。


「それはなかなか難しい質問だね。答えるにはまず王という定義から語る必要があるが……」
「えっと、人の上に立つのが王でしょ?」
「ある意味ではその通りだ。しかし何も立つのは人の上ばかりではないよ」


 確かにそれもひとつの王だ。
 覇王、王者などといった用法はまさにその事を指している。

 しかし王の用法はそればかりではないわけで。


「例えて言うなら、僕もひとつの王と言えるかな」
「おじさまもそうなの?」
「まあ、一国一城の主と言えば王と言えなくもないだろう。領民はいないけどね。
 つまり居を構え、個人として独立している事もまた、王たる資質というわけだよ」
「ふぅ~ん?」


 霖之助の言葉に、フランはなにやら考えこんだ。
 眉根を寄せて頭を捻り、霖之助の顔を眺めている。


「うーん、それなら私もどこかに家を建てて暮らしてみようかな?」
「……いや、それはやめた方が良いだろうね。かえって周りの者が心配してしまうだろう」
「むー。そうかもしれないけどー」


 首を振る霖之助に、フランドールはため息をついた。

 まあ、家事が出来そうにない事は自分でもわかっているのだろう。
 裁縫は上手くなってきたが、それ以外がからっきしである。

 それにもし彼女がこの館から出てひとり暮らしなど始めようものなら……。
 霖之助の脳内に心配するレミリアの狼狽っぷりが目に浮かび、知らず苦笑が漏れ出ていた。


「とにかく、おじさまは自分の店を持つ事で王様になったって事よね」
「そうだね。香霖堂という僕の王国に訪れる来訪者をもてなす日々だよ」


 ……認めてくれる相手がいるかどうかはともかくとして。
 それ以前に訪れる客が少ないというのは早急に手を打つべき改善点だろう。


「私はお店なんて持てそうにないし、王様になるのは難しいかも」
「いいや、他にもいろいろ方法はあると思うけど……まずは自分自身の王になるところから始めたらどうかな」
「自分って、私の?」
「そうとも」


 霖之助は大きく頷き、フランドールと視線を合わせた、


「自分自身の王になるのには誰の許可も必要としない。ただ自分を王と定めたからには責任のある行動を取らなければならないし、財政や外交にも目を向けなければならなくなるのさ」
「へー。大変なのね」
「ああ、王とは大変なものだよ」
「でも全部自分でやらないといけないんでしょ? どうしようもなくなる事とかあったりしないの?」
「当然あるよ。そんな時は同盟を頼るんだ」
「同盟?」
「仲間や友人の事さ。もちろん頼るばかりでは同盟関係が成り立たないから、自らも常に磨き続けていかないといけないね」
「……おじさまもそうやってきたの?」
「もちろんだとも」


 霖之助とて、決してひとりで生きてきたわけではない。
 霧雨の親父さんにもずいぶん世話になったし、天狗や死神にもいろいろと借りがあるのも事実だ。

 それに店というのは店主と客がいて初めて成り立つのである。

 自身の王になるという事は、他人が王である事を認める事であるのだ。
 ……まあ、客じゃない常連はどうにかしないといけないのだが。


「私も、私の王様になれるかな」
「なれるさ。フランならきっとね」
「ほんと?」


 フランドールは表情を輝かせ、霖之助に抱きついて来た。
 吸血鬼の有り余る力に一瞬身構えた彼だったが、どうやら杞憂に終わったらしい。

 彼女も最近はずいぶん力の制御が上手くなってきたように思える。
 その一端を霖之助が手伝っていると思うと、少しばかり誇らしくもある。


「フラン、そのうち君を僕の王国に招待しよう」
「本当? おじさまのお店に行っていいの?」
「ああ。もう少しいい子にしていたらね」
「うん。まかせて」


 自信たっぷりに頷くフランドール。
 この調子なら意外とその日は早く訪れるかもしれない。

 そんな事を思いつつ、霖之助はぼんやりと考えを巡らせた。


「ああ、あと王様と言えば王様ゲームとかあるが……」


 ぽつりと呟いたその一言。
 慌てて無かった事にしようとするが、ばっちりとフランドールと目が合った。


「おじさま?」
「いいや、なんでもない」


 否定してみせるが、彼女は好奇心に目を輝かせ、霖之助に迫る。


「どうして? 王様ゲームってどんなの?」
「いいや……なんと説明すべきかな」


 コホンと咳払い。
 フランドールと二人で王様ゲームなど絵的にとても危険な事になりそうな予感がした。
 とりあえず誤魔化すべく霖之助は思考を巡らせ、それから口を開く。


「王様ゲームは、なんというか……そう、ふたりでは出来ないんだ」
「なんだそんなこと」
「じゃあ5人ならいいのよね?」
「おうさまって、どんなゲームをするの?」
「これで条件は揃ったわね」


 いつの間にか、霖之助は4人のフランドールに囲まれていた。
 彼女の能力のひとつだ。
 8つの瞳に射貫かれ、霖之助は肩を竦めてみせる。


「ねえ、おじさま?」
「おにぃちゃん?」
「霖之助?」
「お兄様?」


 フランドールと5人で王様ゲーム。
 状況は更に困った事になった気がする。

 だからと言って逃げられるはずもなく。
 霖之助ひとつため息を吐くと、覚悟を決める事にした。


「じゃあ一度だけ、どんなゲームかやってみせようか」


 前置きしつつ、霖之助はクジを作り始める。

 もし変な事をレミリアにでも吹聴されたら霖之助の生命が危機に晒されかねないだろう。比喩ではなく。
 だから正しい知識を教えておく必要があると。





 ……しかし一度とは言ったものの。
 彼女たちを満足させるまで帰れそうにないと、そんな予感を感じながら。

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フランちゃんならいつか優しい王様になれるはず!(某魔界の王みたく
しかしこの王様ゲームは霖之助が勝っても負けても絶対君主制になりそうだ…

あ、もしくは香霖堂の王女になればいいんじゃないですかね?

No title

フランの成長ぷっりが見られてホクホクしました。
さすが少女を育てることに定評のある霖之助ですなwww
果たして霖之助はフランが圧倒的に有利な王様ゲームを無事に生き残る
ことができるだろうか?・・・色んな意味でね(笑)

・・・夜の帝王が凄くいやらしい言葉に思えたのは私だけだろうか?

No title

霧雨の剣をどこか適当な岩にぶっさして、この剣を抜けたら王様だよと言うどこかで見たお話をやれば(ry

それは兎も角フランちゃんかわいい!
個人的には「おにいさま」が一番ツボです

勇者のくせになまいきだというゲームを思い出しましたw
フランは香霖堂を乗っ取れば王様になれるはず…!


新刊買わせていただきましたー

レミや咲夜はもちろんとパチェこぁと中国とかもそのうち仲間に入って王様ゲームやってそう
レミと咲夜がちゅーとかになって鼻血だしたり
こぁがパチェにデコピンとかですごい怯えながら実行したり…

例大祭お疲れ様でしたー!個人的に五冊買ったつもりで買いましたw新刊は次の休みにゆっくり見たいと思います。次回も期待したいのですが、無理はしないようお願いします。末長く活動出来るようこれからも勝手ながら応援させて頂ければ幸いです。
それはそうと久しぶりのフラ霖ご馳走様でした!悪魔(の妹)に隙を見せた霖之助さんの未来は如何に!次回、『お姉さま、私、女になったわ』に乞うご期待!!
ここまで妄想した自分は終わってると思いますorz
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道草

Author:道草
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