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コネクト

正月なので初詣的な霊霖。
そういえば今みたいな初詣って明治以降の風習なんですね。
三月精で二年参りの話してたから幻想郷でも今風みたいだと思いますけど。


霖之助 霊夢









 正月のお祭り気分も、1週間ほど経ってしまえば日常のそれへと変わっていく。
 しかしながらどことなく浮ついた気分が残るのは、やはり今年はまだ始まったばかりという期待感によるものだろうか。

 すれ違う人々は、冬の寒気に身を縮めながらも明るい表情だ。
 人里の端にある小川沿いを歩きつつ、霖之助も何となく気分が上向きになってくるのを感じていた。


「こんなところにいたのね」
「うん?」


 聞き慣れた声に振り返ると、鮮やかな紅白がふわりと舞い降りるのが見えた。
 巫女装束の少女は風で跳ねた髪を無造作に手櫛で梳きながら、霖之助の側へと歩みを進める。


「やあ、霊夢じゃないか。君と外で会うのは珍しい気がするね」
「珍しいのは霖之助さんが滅多に外出しないからでしょう」


 唇を尖らせる霊夢に、違いないと肩を竦めて返す霖之助。

 足を止め、彼女が近づくのを待ち。
 なんとなく、そのまま並んで歩き出す。


「こんな寒空に出歩くなんて、何か用事でもあったのかい?」
「別に、ただ何となく飛んでたら霖之助さんの姿が見えただけよ」
「なるほど、まるで糸の切れた凧だね」
「失礼ね、糸くらい付いてるわよ」
「まあ君は風に流されるようなタマじゃないか」


 霖之助はそう言いいながら、彼女の頭にぽんと手を置いた。
 子供扱いしないでよと文句を言う霊夢だったが、手をどかすようなことはない。

 記憶にあるより少し背の伸びた彼女に感慨深いものを覚えながら、霖之助はふと口を開く。


「霊夢、ひょっとしたら君は僕を探していたんじゃないかな」
「……どうしてそう思うのかしら」
「だってさっき、こんなところに……って言ってただろう? もしかしたらと思ってね」
「まったく、細かいことに気がつくんだから」


 少しばつが悪そうに、彼女は顔を背ける。

 先ほど霊夢はただ何となくと言っていた。
 本来の目的を隠し、とぼけたということはつまり。


「大方またお茶が切れたとか言って、香霖堂から持って行くつもりだったってところかな」
「……仕方ないじゃない。お茶飲まないと死ぬほどつらいんだから」
「やれやれ。お金を払えばいつでも売ってあげると言っているのに」
「残念ね。うちにお金はないわよ、霖之助さん」


 どうやら予想は当たっていたらしい。悪い方向へ、だが。
 何故か自信たっぷりに胸を張る霊夢へ、霖之助は疲れたようなため息で返す。

 もっともお金を持ってきたとしても、ツケを返してから買い物をすべきである。
 とはいえ正月から説教する気分でもないので、今のところ保留にすることにした。


「で、死にそうな私をほったらかして霖之助さんは何をしているのかしら」
「見てわかるだろう」
「わかんない」
「少しも考える努力をしなかったね、今」


 相変わらずのマイペースッぷりである。
 だがそれもいつものことなので、霖之助は気を取り直して言葉を続けた。


「今日は初詣に行くつもりだったんだよ」
「初詣って、もう三が日はとっくに過ぎてるわよ」
「初めて参拝すれば、それがすなわち初詣さ」
「ほんとにずぼらね、霖之助さんって」


 霊夢は霖之助を見上げ、苦笑を漏らす。
 前を向いて歩いてないのにぶつかる気配がないのは、さすがと言ったところだ。

 呆れの混じった彼女の視線を受けながら、霖之助はしかし得意げに首を振ってみせた、


「霊夢、神棚は小さな神社だろう?」
「ええ、それはわかってるけど」
「なら神棚に手を合わせるそれも、十分初詣と言っていいんじゃないかな」
「……知らないわよ、神様に怒られても」
「なに、話せばわかってくれるさ」
「だといいけどね」


 そこまで言って、彼女は言葉を切った。
 それからじろりと霖之助を睨み付け、怒ったような声を上げる。


「でも神社に来るなら、言ってくれれば色々準備したのに」
「お気遣いなく。宴会も落ち着いただろうから、今の時期にしたんだよ。
 とは言っても、ただお邪魔するのも気が引けるから……」


 霖之助は腰に付けた収納箱から金属の筒を取り出し、霊夢に差し出した。
 彼女は目を丸くして、まじまじとそれを見つめる。


「お年玉代わりと言ってはなんだけどね」
「……ありがとう、霖之助さん」


 霊夢はお茶の缶を受け取り、大事そうに懐にしまい込んだ。
 鼻歌交じりに笑みを零す彼女に、どうやら喜んでくれたらしいと安堵する。


「ついでに少しばかり、ゴミ拾いでもしていこうかと思ってね」
「あら、それって神社の周りのってこと? 残念ね、それならつい最近お寺のネズミが色々持って行ったばかりよ」
「……そうなのかい?」
「ええ、一歩遅かったわね」


 ショックを隠せない、とばかりに思わず霖之助は立ち止まってしまった。
 ……その様子を霊夢に笑われ、仕方なく歩き出す。

 結界の中心にして端にある博麗神社周辺には、外の世界の道具が落ちていることも多い。
 無縁塚だけではなく、ここも重要な仕入れポイントのひとつであったのだが……どうやら先を越されてしまったようだ。


「これに懲りたら、もっとよく神社に顔を出すことね」
「ああ、そうした方がよさそうだな」
「……待ってるわよ」


 肩を落とす霖之助に、霊夢はぽつりと呟いた。
 その言葉に少しだけ真剣な者が混じっていたように思えたのは……気のせいだっただろうか。

 そういうしているうちに、二人は人里のメインストリートへと足を踏み入れていた。
 知り合いの主人に会釈を交わす霖之助を眺め、霊夢は首を傾げる。


「そういえばだけど、今頃初詣に行こうとしてる霖之助さんは年始の挨拶回りはどうしたのかしら」
「ああ、そっちは来週くらいにやろうかと思ってるよ」
「呆れた、それでも店主なの?」
「もちろんだとも」


 当然だと言わんばかりに頷く霖之助。
 ……だが霊夢の視線に耐えかねたのか、少し肩を竦めて言葉を継ぎ足す。


「まあ上客の方々は幸い向こうから来てくれたから、急いで顔を出すって必要もないかなと思ってね」
「とんだ受け身経営ね、香霖堂って」
「攻めの姿勢ばかりでは足下がお留守になってしまうのさ」


 紅魔館のメイドや森の魔法使いなどは、正月早々に会った覚えがある。
 おそらく神社の宴会へ向かう途中に寄ったのだろう。

 ずっと宴会場となっていた神社の巫女は、逆に身動きが取れなかったというわけだ。


「霖之助さんも来るかと思って、お酒取っておいたのに」
「ほう、まだ残ってるかい?」
「とっくに萃香が飲んじゃったわよ。まったくもう、ずっと待ってたのに」
「それは済まなかったね」
「ま、ちゃんとこうやって来てくれたから許してあげる」
「それはどうも」
「お茶も出してあげるわよ」
「僕があげたばかりだろうに」
「うふふ、貰ったものは私のものよ」


 そう言いながら、霊夢は足取りも軽やかにくるりと回る。
 ずいぶん楽しげな彼女を眺めていると、ふと霊夢が身体を震わせた。


「へくちっ」


 そして彼女は可愛らしいくしゃみをひとつ。


「風邪かい?」
「ううん、ちょっとさっき飛んでた空が寒かっただけ」


 見ないでよ、と彼女は鼻をこする。
 鼻水が出てないことを確認し、慌てて霖之助から見えないように目をこすった。


「寒いなら、この服を着てみても構わないけど」
「んー……」


 霖之助はいつもの服の上に、裾の長いコートを着ていた。
 生地が厚く、熱を逃がさないためこんな気温の日は重宝するのだ。


「いい。私が着ると、引きずっちゃうから」
「そうか。じゃあこれを使ってみるといい」
「……なにこれ」
「使い捨てカイロといってね。こするだけで熱を出す便利な道具なんだよ」
「ほんとだ……あったかい」


 霖之助がポケットに入れていたそれを、霊夢はじっと見つめていた。
 それからふと視線を上げると、首を傾げてみせる。


「でも霖之助さんの分がなくなっちゃうんでしょ?」
「まあね」
「……じゃあ、返すわ」
「いいのかい?」
「ええ、その代わり」


 霊夢は霖之助にカイロを握らせると、手を繋いだままコートのポケットに手を入れた。

 彼女のひんやりとした手のひらが、彼の手を通してカイロの熱をじわりと奪っていく。
 しかしそれを代償にだんだんと温かくなっていく霊夢の手を感じながら、霖之助は霊夢と至近距離で見つめ合った。


「こうすれば、二人ともあったかいわよ」
「歩きにくくないかい?」
「全然」
「……まあ、君がいいなら構わないけどね」


 霖之助は苦笑いを浮かべつつ。
 そこでふと、懐かしむように目を細めた。


「昔はよく、こうやって手を繋いで歩いた気がするよ」
「そうだったかしら」
「あの頃の君は、本当に糸の切れた凧みたいだったからね」


 そんなことを言いながら。
 肩を寄せ合ったまま、神社への道を歩いて行く。

 この調子だと30分といったところだろう。

 飛べばすぐの道のり。
 しかし霊夢はの歩みは、いつもより少し緩やかに感じられた。


 やっぱり歩きにくいのではないかと思いつつ。
 ……霖之助は今のこの時間を、大切にすることにした。












「覚えてるわよ」


 霖之助に聞こえないよう、霊夢はひとり呟いた。
 大きな背中。温かい手。

 初めて繋いでくれたのは。
 繋がっていると感じたのは、彼が初めてだった。

 それは遙かな記憶。
 だが今も変わらず、胸の中にある。


「凧は糸で繋いでおかないと駄目なのよ、霖之助さん」


 願わくば。

 ……この糸が赤い色でありますように、と。

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あけましておめで霊霖 。

正月に神社に来なかった霖之助に対して、ちょいちょい「待ってた」と呟く霊夢がいじらしくて可愛くて。

やはりこの二人は落ち着いた雰囲気が素晴らしいです。

No title

いい霊霖を見た

霊夢も素直になればいいのに^^<28282828

No title

軽いやり取りから垣間見える霊夢の乙女心が・・・ ええのぅ・・・
次はその赤い糸で霖之助さんを絡めとるのですn(夢 想 封 印

霊夢と霖之助って変にいちゃつくより一緒に飛んでる鳥みたいなそれとない感じが一番しっくりきますなー


それと挨拶がてら霖之助を宴会へ誘おうとして花見よろしくお断りされた面子をナチュラルに幻視できた自分が憎い

No title

この話の霖之助は霊夢が探してたのに気づいてて偽物かと思いましたw
でも、肝心なとこに気づかないのがらしかったですね~

No title

コートのポケットの中で手をつなぐなんて、まんま恋人じゃないですか(2828)
そんな乙女な霊夢の願い通りに赤い糸で繋がっていて欲しいものですよ。

・・・もっとも霖之助に繋がっている赤い糸が1本だけのはずがありませんけどwww

途中から、
まさか…まさかアレをするのか……?
と思っていたら見事やってくれました
ポケットの中で手繋ぎを!!

もうこの甘さが堪りませんね
もちろん繋ぎ方は指を交互に絡める
カップル繋ぎですよね

No title

毎度毎度、更新楽しみにさせていただいてます。
どうして道草さんは、こうも上手く話を作れるのか…凧糸からの赤い糸、上手い事書きますなぁ
プロフィール

道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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