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小さな恋の唄

勇儀霖を書こうとして脇道に逸れ、茶々さんところの映霖を見て僕も映姫様を書こうとして……
何故か横にあったさぽているを見て思いついたネタ。

甚平を着ている霖之助と割烹着を着ているみすちーを想像してたらいつの間にかこんな時間でした。

追記
ゆうまさんに絵を描いていただきました。感謝感激。


霖之助 ミスティア





 霖之助は頭を抱えていた。

 無理難題をふっかけられるのはいつものことだ。
 そしてできるできないに関わらず、困難というものは向こうからやってくるらしい。


「歌いながら喋れる道具、ねぇ」
「はい。なにかありませんか?」


 ミスティアは萎縮するように、小さな身体をさらに縮こまらせる。

 無い、と言うのは簡単だ。
 外の道具はきちんとした使い方をすれば便利なものだが、万能ではない。
 しかしその一言で終わらせてしまうのは、道具屋の矜持が許さなかった。


「録音というのはどうだい? 蓄音機からMD、ボイスレコーダーに至るまで取りそろえているよ。
 ……使い方は自己責任でお願いするけどね」
「でもそれ……音が鳴るだけでしょう?」
「君の歌声が出るはずだが……やはり歌いたいのかい?」
「はい」


 ふむ、と霖之助は頷いた。
 どちらにしろ録音機材を売ったところで使いこなせるとは思えない。


「すまないが、理由を聞かせてくれるかな?」
「えっと」


 彼の言葉に、ミスティアは言葉をまとめるように視線を動かす。
 視線に合わせて羽根がパタパタと羽ばたき、暖簾がゆらゆらと揺れた。


「幸い、最近お客さんは多いんですけど」
「……それはよかったね」


 客が多いと聞いて、若干不機嫌な声を上げる霖之助。
 その様子を見て、慌ててミスティアは続けた。


「一番のお客さんが拗ねないでくださいよ」
「拗ねてない。……それで?」
「はい。えっと、そもそも私が店をやろうと思ったのは焼き鳥に反対したからで……」
「ああ、新聞に書いてあった……気がするね。覚えてるよ」
「覚えててくれましたか」


 嬉しそうにミスティアは羽根をぱたつかせる。
 今度は棚の置物がパタンと倒れた。


「それで、お客さんが増えてきて思ったんです。
 この人たちの前で唄いたいなぁって」
「いつも唄ってるじゃないか」
「あれは鼻歌ですから」
「……違うのか。じゃあリサイタルでも開けばいいだろう」
「でもそしたら串焼きを食べてもらえないじゃないか」
「事前に作り置きしてたらどうだい」
「考えましたけど……やっぱり作りたてを食べてもらいたいです……」


 何とも贅沢な悩みだ。
 だがこの真摯な姿勢が、客が増えた要因なのだろう。

 香霖堂には少しだけ……ほんの少しだけ、足りないと思われるかもしれない姿勢だった。


「だが、それなら道具に頼る必要はないと考えるね」
「え?」
「要するに、君が唄っている間に代わりに焼いてくれる人材を捜せばいいだけの話だ。
 アルバイトでも雇うといい」
「アルバイト、ですか」
「そうだ。ああ、つまみ食いしそうな人間や妖怪、妖精はダメだよ。
 信頼ができて、勘定もちゃんと計算でき……それでいて人前に出せるような人物を選ぶといい」


 なかなかハードルが高いがね、と霖之助は苦笑する。
 しかしミスティアは首を振った。


「大丈夫です、うってつけの人に心当たりがあります」
「そうか、それはよかった」


 商品が売れたわけではないが、霖之助は満足感を覚えていた。

 だがやはり、困難はやってくるもののようだ。









「香霖、とうとう売れない道具屋から転職したのか?」
「売れないは余計だよ、魔理沙……はい、二人前。ちゃんとお代は貰うからな」
「堅いこと言わないでよ。私たちの仲じゃない」
「もちろん君もだよ、霊夢」


 霖之助は屋台のカウンターの中に立っていた

 報酬はミスティアの持つ秘伝のタレの製法。
 初めて食べたときからずっと気になっていた一品だ。

 提案したとき妙に彼女が嬉しそうだったのが気になるが……。


「それにしても賑やかな場所ね」
「ああ、香霖には似合わないぜ」
「僕もそう思うよ」


 森の広場は小さな宴会場になっていた。
 聞こえてくるのはミスティアの歌声。
 設えられたステージで、気持ちよさそうに唄っている。


「でもその格好は似合ってるぜ、香霖」
「ほんと。この串焼きも美味しいし。付け焼き刃とは思えないくらい」
「ああ……特訓させられたからね。君たちにも見せたかったよ……」


 霖之助は口を動かしながらも、流れるような動作で串を焼いていく。


「貰えるかしら」
「ああ、君たちも来たのか」
「ええ。4人前ね」


 お待ちどう、と霖之助は咲夜に料理を手渡した。
 串ごとかぶりつくのは……このメンバーでは無理そうだから、箸と皿を添えて。


「なに、とうとう売れない道具屋から転職したの?」


 やや後ろからついてきたレミリアが、魔理沙とほとんど同じ台詞を放つ。


「よかったわね、魔理沙。夜の王と同じレベルだそうよ」
「ほんとによかったと思ってるのならそんな顔はしないはずだぜ」


 魔理沙は帽子を抑え、表情を隠した。


「な、なによみんなして」
「お嬢様、口元が汚れていますわ」
「ありがと……」


 咲夜にされるがままのレミリアに、魔理沙はますます肩を落とす。


「あれー、皆さんお集まりですねー」
「あら、店主が来たわ。バイト店主じゃなくて」
「店主のバイトだろ?」
「どっちでもいいわよ、そんな事」
「あはは、そうですねー」
「やあ、もういいのかい?」
「はい、しばらくは」


 ミスティアは霖之助の隣に並ぶと、てきぱきと料理をし始めた。
 見ると、ステージでは鬼ふたりが肩を組んで何か唄っている。
 歌姫は小休止中、と言ったところだろうか。


「はい、霖之助さん」
「ああ、こっちも上がったよ」


 息の合ったやりとり。
 阿吽の呼吸というやつだろうか。
 狭いカウンター内なのに、微塵もそれを感じさせない。


「そうしてると、ほんとに居酒屋の主人みたいね」


 レミリアの言葉で、ふたりに視線が集まる。
 いろいろと感情のこもった視線が。


「まあ、似合ってることは確かよね」
「まあな。料理も美味いし」
「そうよね」
「そうか、苦労した甲斐があったというものだ」


 一応の褒め言葉に、霖之助もまんざらではない。
 しかし……。


「はい。だって、霖之助さんはこの店の主人になるんですから。
 つまり、私と……」


 ミスティアの言葉で、空気が止まった。


「……ミスティア。つかぬ事を聞くが、いつの間にそうなったのかな?」
「え? だって――」


 今更何を? といった様子で首を傾げるミスティア。

 元々は霖之助が言い出したことなのだ。
 なぜなら……。


「このタレは、一家の秘伝ですから」

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ミスチならぬ策士ですね~
タレで始まる恋物語www

みすちーかわいいよ かわいい
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